Forever Friends

OB工藤くん

あたしは弓道初心者で、その上、とてつもなくドジだったので、
フツーのひとはあまりやらない怪我をよくしていた。
高校でも弓道部だった工藤くんが見かねて、よく指導
してくれたんだよね。
ありがたかったな。

定期戦で帝大のリケ女に見初められたときは、
正直、感動したよ。
このお姉さんは観る目があるな！ってね。
30過ぎの工藤くんを見ると、その先見性に
ますます頭が下がるのです。
弓道の先輩ではあったけれども、工藤くんは
お姉さんがふたりいる弟で、しかも文系のヲタくんで、
心許ないところがとてもかわいい青年だったのです。
それが、こんなカッコいいオトナの男になるとはね。

うちのダンナさん、主将の力也先輩というのは、
どこからどう見ても、優しくて頼もしくて、
男の中の男！という感じでした。
おつきあいが深まる中で、どんどんそのイメージは
崩れていったけどね。
優しくなくなったとか、そういうんじゃなくて、
意外と頼りないというか、弱い面が見えるように
なったのでした。
仮にもみんなの主将をつかまえて、あれこれ言うわけには
いかないから、工藤くんにだけは言ったんだけど、
工藤くんはニコニコして、

「男なんてそんなもんだよ」

そう言って、ロンダさんに安心しきってるんだよ、
と付け加えた。
ひとを寛がせることができるのなら、喜ばしいことだと
思ったよ。
あたしたちが結婚してからは、
夫を育てるのは奥さんだし、素敵な奥さんでいさせるのは
ダンナさんだと思うとも言っていたよね。

おかげさまでうちらも結構いい夫婦になってるんじゃないかな。
工藤くんとこに負けないくらいにね。