Forever Friends

てるる

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工藤くんというひと

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工藤くんは、しゅっとした眼鏡男子。
いかにも文系ヲタくんな感じだけど、
朗らかで、笑うとなかなかかわいい。
自分の好きな作家やマンガのことになると、
極端に饒舌で、多分本人が思っている以上に、
たくさんしゃべってると思うんだけど、
無邪気に自分の考えを披歴しているのを
放置しておくのが面白かった。
実際、感心してたけどね。

うちら女子の間では、そんなこんなで、
ルックスは悪くないけど、ちょっぴり残念な
工藤くんだったんだけど、
弓を引く姿は、さすがに高校からやってただけあって、
堂に入っててカッコよかったな。
調子に乗るから、本人には言ってやんないけどね。
そして、その凛々しい仮の姿にまんまと
やられちゃったのが、帝大のリケ女さんだったわけ。
2学年上だったから、うちのダンナさんと
一緒ね。
まあ、あたしもヒトのこと言えないんだけど、
特殊な場所で出会ったら、騙されるよね。
ユニフォームは3割増しに見えちゃうから。

ダブル・デートこそしなかったけど、
同じ「弓道部の先輩」とおつきあいして、
後には遠距離恋愛をする仲として、
工藤くんとあたしは、関係を深めていった。
恋愛感情じゃないの。
深い深い友情です。

ひょっとすると、女友だちよりも、
カレシ(ダンナ)よりも、理解あるとこが
あると思えるくらい。

工藤くんは、気分が乗ると、
ものすごい長文のメールを送ってくる。
気分が乗らなくても、ほぼ毎日よもやま話を
送ってくる。
今は高校で世界史を教えているんだけど、
女の子みたいに、学校であったこととか、
つぶさに報告してくれる。
筆マメ、なのね。
連絡事項1行しか送ってこない
ダンナとは大違い。
まあ、毎日顔を合わせて生活を共にしている
ダンナと、趣味の世界でつながっている
工藤くんとは、話す内容も違うし、
当たり前だとは思うけど、知らないひとが
見たら、ビックリするかもしれない。

卒業後から、カノジョと別れても、
ヨリ戻して結婚してからも、その習慣は
途切れない。
だって、お友だちだもん。

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