ヰタ・ピクトアリス

明日も同じ太陽は昇らない

かもしれない。

ということで、ときどき突拍子もない
（と、フツーのひとは思うらしい）
行動をするのですが。

オフに日帰りで金沢21世紀美術館に
行ってきました。
ただ江口寿史展を観るためだけに。
ただそれだけのために！
滞在時間の2倍の時間の往復で！
乗り鉄なので、旅の車窓自体がご馳走
なのですが。

そんな先ちゃん好き！？

いえ、別に…。

ファンなどと言うと、怒られるレベルですからね。
いつぞや、江口氏が、足のラインにこだわりすぎて
どうじゃこうじゃ、という話を読んで、

ああ、このひとマンガ描けなくなるな

と、思ったら案の定でｗ
もはやイラストレータとしてその才能を
走らせている状態でしょうかね、今となっては。

マンガは必ずしもきれいな画を描く必要はなくて、
もちろん、徹頭徹尾美麗な絵柄で人気を博している
描き手はいらっしゃいますが、江口先生のコダワリは
そこじゃないのですね、多分。

線。
ひたすら、線。
その美しさを極めたい。

そう思ってしまうと、マンガの中での線の
追求とは似て非なるものになると思うのですよ。

描きたいのが、マンガじゃなくて、
線になってしまっている感じ。


何はともあれ、
江口寿史の美少女、美女の素晴らしさ。

江戸時代に開花した、浮世絵の美人画の
系譜といえましょう。

描くほうは「大首絵など」と、自嘲気味になりがちですが、
観るほうはそうならない。
美しい肖像はいつ見ても見厭きるということがない。

江口先生の女の子の魅力とは、なんだろうかと
ずっと思っていたのだけど、
あ、この子はあの子に似ている！
なんなら自分に似ている！と思える

GirlNextDoor

感でもあり、同時に、
彼がヤリタイ（失礼）女の子ではなく、
「なりたい」女の子であるから
だということが今回の展覧会でわかったのは
収穫だった。

これは表現者としてはたいへん興味深い。

わたしたちは、多かれ少なかれ、
なんらかの理想を具現化するように
描くものだと思うのですが、
江口先生が、自ら

こんな素敵な女の子になりたい！

という心が、江口ガールズを、男に受ける単なる
かわいこちゃんで終わらせない何かを
持つ理由だと思われるのです。

女性が描く女性というものは、こうはならない。
女性ならではの汚いところが透けて見えると思う。

わたしが描く女の子が殿方に評判が芳しいのは、
恐らく、自分が好きな（そういう言い方をすれば
ヤリタイ）女の子として描くからだろう。
ファンタジー要素がわりと強いかもしれない。


江戸時代のポップであった浮世絵。
その末裔であるところの江口先生の
作品展が金沢21世紀美術館で開催されたのは、
とても似つかわしいと思ったことです。