19 / 45
2章
18話「閑話休題」
しおりを挟む
明日は日付の上では学校が休みの日。瀬名とサテラの帰宅後、水城達は生活基準会議を開き、互いが互いに妥協できるような点を挙げ、そしてこれから生活していく事に決めた。
水城が彼女達に出した条件は『互いに深く干渉せず、節度を持つ事』だ。
簡単に言えば、(主にミシアは)色々と危ないので、同じ屋根の下ではあるが、お互いの生活の邪魔をしないようにする事が水城の条件。(主にミシアは)危険なので、節度を持つ事が重要らしい。
対するミシアの条件は『いつでも水城様のお側でニコニコしながらご奉仕ライフ』らしい。最初から話にならないので即却下された。
残るエルメスについては、水城としても少しはマシな考えで条件を出してくれるだろうと期待はしていた。エルメスも、ミシアの条件は話にならないのを見越して、水城の考えを受け取っていたらしい。
そんなエルメスの出した条件は『生活の全ての中心はあたし。とりあえず貢ぎなさい』だった。
水城はその晩、二人を家から追い出した。
で、夜が明けて朝。自室のベッドで快眠していた水城は、二人を追い出していた事を思い出して、そう言えばあの二人は何をやっているんだろう的な感覚で起き上がった。
「え」
目の前の光景が受け入れられず水城は再び眠る事にした。休みだしゆっくりしたいのは人として当然の考えなのだ。間違ってない。
「おはようございます水城様。大丈夫です。別にナニもしていませんよ。ナニも」
「ん、うぅ……あれ、水城起きたの?ていうか起きなさいよ早く。変なの当たって気持ち悪かったんだから」
ベッドで仰向けになっている水城の、その両サイドには、絵に描いたような超展開。その名を『朝起きたら美少女が布団の中にいたよ(二人)』という展開。しかもこの二人、ごく自然と声をかけてくるものだから、水城はもうたまらず。
「ここから、出ていけぇぇぇぇっ!!!」
朝から全力で叫んだ。
「お前ら今日飯抜きな」
まあ当然の措置である。ベッドの上にあぐらをかいて腕を組んで座っている水城は、視線の先で正座している契約魔二人にそう告げた。
「それは別に構いませんが、水城様。本日のご予定はいかが致しましょう。朝からずっしりやりますか。やりましょうか」
「部屋の備品とか揃えたいし買い物に行きたいんだけど。人間の文化あんまり分かってないし」
まったくもって反省の様子が伺えないので、水城は二人を放置してさっとベッドに横になり、そして寝ようとする。
が、それで二人が黙るはずもなく、容赦なくベッドに侵入してくるのだ。ちなみにシングルサイズなので三人はかなりきつい。
「水城様、それはつまりGOのサインでございますね?ええ、捧げましょう。私の身体」
「お、起きなさいよ。御神の案内くらいできるでしょっ」
色々当たったりして本当に朝からずっしりなりそうなので、水城はもう半ば諦めたように一言。
「はいはい分かりました。街に買い物に出かけましょうか……」
エルメスは心底嬉しそうにしていたが、ミシアはとても残念そうにしていた。流石に発情しすぎだと思われる。
午前十一時を回った頃。
水城はミシアとエルメスを引き連れ、商店街の近くにある大型のショッピングモールにやってきた。エルメスいわく、部屋が質素だとなんだか嫌だから、それなりに飾り付けをしたいとの事だ。
「水城の部屋って結構片付いてるわよね。あれで八畳くらいよね?」
水城と並んで歩くエルメスは自分より身長の高い水城を見上げながらそう問うた。
「よくわかったな。そう、一応八畳で……まぁ、勉強机とベッドとタンスとかあればいいかなって感じにはしてる」
水城的には、部屋にあまりものを置きたくないのもあるが、そもそもこれといって趣味もないし部屋が汚れにくいのだ。あるとすれば、娯楽部部員から借りた小説くらい。
「エルメスは趣味とかそういうの、あるのか?」
と、今度は水城からエルメスへの質問。
「あたし?うーん、どうかしら。現界のサブカルなんてあんまり分からないし、好きなものって特にないのよね」
「そうなのか。てっきりどこかの誰かさんみたいに異常なまでに精通してそうだったんだけど」
チラリ。二人して後方に視線を見やる。
「……?何か?」
後方の人物は首を傾げる。おそらく本人はあまり自覚もしていないだろうが、正直普通の人からするとかなり危ない思考回路をしている。と水城は思っている。
「まあ、その内見つけるわよ。こ、これから長く一緒にいるわけだし」
「そうだな」
趣味を持つのはいい事だ。趣味を持ってない水城でさえそう思う。
「ていうか、そういうの無いのに探しに来たって、備品なんか見つかるのか」
「うぇ、ま、まぁ、ほらそこはっ、ね」
明らかに挙動不審なのだが、水城は特に気にもとめずいい感じの店がないか周囲を見渡す。
「エルメス。あなたの行動からは違う意図が窺えます。もしや、デー」「わー!!!!」
ミシアが何か言いかけたのをエルメスが制した。
「ただでさえ見た目が目立つんだから、騒がないでくれ……」
周りを歩く人間からのなんとも言えない視線に、水城は溜め息を吐いた。
水城が彼女達に出した条件は『互いに深く干渉せず、節度を持つ事』だ。
簡単に言えば、(主にミシアは)色々と危ないので、同じ屋根の下ではあるが、お互いの生活の邪魔をしないようにする事が水城の条件。(主にミシアは)危険なので、節度を持つ事が重要らしい。
対するミシアの条件は『いつでも水城様のお側でニコニコしながらご奉仕ライフ』らしい。最初から話にならないので即却下された。
残るエルメスについては、水城としても少しはマシな考えで条件を出してくれるだろうと期待はしていた。エルメスも、ミシアの条件は話にならないのを見越して、水城の考えを受け取っていたらしい。
そんなエルメスの出した条件は『生活の全ての中心はあたし。とりあえず貢ぎなさい』だった。
水城はその晩、二人を家から追い出した。
で、夜が明けて朝。自室のベッドで快眠していた水城は、二人を追い出していた事を思い出して、そう言えばあの二人は何をやっているんだろう的な感覚で起き上がった。
「え」
目の前の光景が受け入れられず水城は再び眠る事にした。休みだしゆっくりしたいのは人として当然の考えなのだ。間違ってない。
「おはようございます水城様。大丈夫です。別にナニもしていませんよ。ナニも」
「ん、うぅ……あれ、水城起きたの?ていうか起きなさいよ早く。変なの当たって気持ち悪かったんだから」
ベッドで仰向けになっている水城の、その両サイドには、絵に描いたような超展開。その名を『朝起きたら美少女が布団の中にいたよ(二人)』という展開。しかもこの二人、ごく自然と声をかけてくるものだから、水城はもうたまらず。
「ここから、出ていけぇぇぇぇっ!!!」
朝から全力で叫んだ。
「お前ら今日飯抜きな」
まあ当然の措置である。ベッドの上にあぐらをかいて腕を組んで座っている水城は、視線の先で正座している契約魔二人にそう告げた。
「それは別に構いませんが、水城様。本日のご予定はいかが致しましょう。朝からずっしりやりますか。やりましょうか」
「部屋の備品とか揃えたいし買い物に行きたいんだけど。人間の文化あんまり分かってないし」
まったくもって反省の様子が伺えないので、水城は二人を放置してさっとベッドに横になり、そして寝ようとする。
が、それで二人が黙るはずもなく、容赦なくベッドに侵入してくるのだ。ちなみにシングルサイズなので三人はかなりきつい。
「水城様、それはつまりGOのサインでございますね?ええ、捧げましょう。私の身体」
「お、起きなさいよ。御神の案内くらいできるでしょっ」
色々当たったりして本当に朝からずっしりなりそうなので、水城はもう半ば諦めたように一言。
「はいはい分かりました。街に買い物に出かけましょうか……」
エルメスは心底嬉しそうにしていたが、ミシアはとても残念そうにしていた。流石に発情しすぎだと思われる。
午前十一時を回った頃。
水城はミシアとエルメスを引き連れ、商店街の近くにある大型のショッピングモールにやってきた。エルメスいわく、部屋が質素だとなんだか嫌だから、それなりに飾り付けをしたいとの事だ。
「水城の部屋って結構片付いてるわよね。あれで八畳くらいよね?」
水城と並んで歩くエルメスは自分より身長の高い水城を見上げながらそう問うた。
「よくわかったな。そう、一応八畳で……まぁ、勉強机とベッドとタンスとかあればいいかなって感じにはしてる」
水城的には、部屋にあまりものを置きたくないのもあるが、そもそもこれといって趣味もないし部屋が汚れにくいのだ。あるとすれば、娯楽部部員から借りた小説くらい。
「エルメスは趣味とかそういうの、あるのか?」
と、今度は水城からエルメスへの質問。
「あたし?うーん、どうかしら。現界のサブカルなんてあんまり分からないし、好きなものって特にないのよね」
「そうなのか。てっきりどこかの誰かさんみたいに異常なまでに精通してそうだったんだけど」
チラリ。二人して後方に視線を見やる。
「……?何か?」
後方の人物は首を傾げる。おそらく本人はあまり自覚もしていないだろうが、正直普通の人からするとかなり危ない思考回路をしている。と水城は思っている。
「まあ、その内見つけるわよ。こ、これから長く一緒にいるわけだし」
「そうだな」
趣味を持つのはいい事だ。趣味を持ってない水城でさえそう思う。
「ていうか、そういうの無いのに探しに来たって、備品なんか見つかるのか」
「うぇ、ま、まぁ、ほらそこはっ、ね」
明らかに挙動不審なのだが、水城は特に気にもとめずいい感じの店がないか周囲を見渡す。
「エルメス。あなたの行動からは違う意図が窺えます。もしや、デー」「わー!!!!」
ミシアが何か言いかけたのをエルメスが制した。
「ただでさえ見た目が目立つんだから、騒がないでくれ……」
周りを歩く人間からのなんとも言えない視線に、水城は溜め息を吐いた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる