あの頃の夏には

ありふれた日常の中

その日の夜の19時頃、家に着いた。

「ただいまー！」疲れきった声で恵美が言うと

「おかえりー！お母さん今日遅くなるってーー」

玄関に来るなり、寧々はついつい報告してしまう。

「ご飯は？」

「まだだよ。」

「じゃあ、なにか作るよ。」

「オムライス！」

「昨日もオムライスだったような気はするけど・・・・」

「今日は、煮付けにしよう！！魚ね」

「えーーー、魚苦手！」

キッチンまで向かうと、外着のまま料理を始めた。

「魚もちゃんと食べなきゃねー」冷蔵庫から直産のカレイを出して、

切り身を入れていく。


「ぶーー！！」
寧々のフテ顔がとても可愛い。

「ちゃんと食べたらご褒美もあるけどなあーー」

「またアイスでしょ！」

「ピンポーン！！」

いつものパターンで寧々もすっかり馴れていた。

料理をしながら今日寝ることの楽しみを待ち焦がれていた。

優斗さんの世界へ行きたいと。