廻る

haco.

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もっと昔ばなし

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平安時代初期、「米桜」という美しい高貴な姫が空から降りてくるものを見上げていた。

「あれはなんなのかしら」

夜風が肌に触るともう暮れも近くなることから時<時間>を肌で感じていた。

空から降り立つ美しい円形の物が地へと降りたってきた。

ただ、光っていた円形が地に降りてから輝きをなくしていった。

降りたった場所へと米桜が近づくと

草花の合間から光り輝く子が寝そべっていた。

「あらまあー。空から赤ちゃんが来たのね。主はどこへいるのかい?」
と言い、赤ん坊を腕に抱えた。

赤ん坊は不思議にも笑みを浮かべながら、ただ米桜を見続けていた。

寝殿造<建物>内に連れ込んでいく。

「よしよし!おまえさんはどこから来たん?」赤ん坊に尋ねる。

「母君はどこへいるのかい?父君は?」

答えるはずもない赤ん坊に向かって話をする。

「頬がぷくぷくして可愛いのー。おまえさんの母君がくるまで平家でみようぞ」

赤ん坊を「三条光」と名付けた。
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