遠い記憶、遠い未来。

haco.

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予知と夢

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鳥の囀りと朝日が部屋に差し込まれている。

カーテンを半開きにしていたせいで目に染みていた。

「まぶしい・・・」

思わず手で塞いで、閉じていた目を開けた。

ホテルの一室で寝ていたのに、セイカは思わずため息がもれた。
久しぶりのベッドで寝れたのに幸せを感じていた。


「うーーーん!」手を伸ばした。

「やっぱベッドで寝るのは気持ちいいわね」


ここは、函館市。市内にある「リゾートホテル OTAL」

なんとも、北海道らしい名前である。
ただリゾートではないとツッコんでしまうことが。
この場所から海が遠いところに見えるからだ。

レストランまでエレベーターに乗って一階まで向かうと、鏡越しにうつる自分とご対面をしてしまう。
エレベーター内は、セイカ1人のために動いてくれている。
すっかり、お姫様気分になっていた。

一階まで降りる音が聞こえては、すぐにレストランへと向かった。

朝ご飯はたしかに作られていた。

あさりの味噌汁とご飯にかけるようの卵が小皿に盛ってある。炊飯ジャーに炊ける音と匂いが
レストランを包み込んでは、セイカのお腹の音が返答しはじめた。

「ありがと。透吾さん」

旅を通じて透吾の過去を知ってきたこともあった。

ミユの母は、山内透吾自身のことをずっと日記を通じて、記録してきた。
その日記を旅と共に歩んできて、透吾の過去がわかってきた。

昨夜も一室で夜遅くまで最後の日記を読んでいた。


          ※

「1985年12月16日」


神隠しにあったかのように透吾は、何ヶ月間もいないことがあった。
だいたいが深夜の1時ぐらいに帰ることが多い。

何度か聞いてみるが、口を開かなかった。
ただ、なにかを急いでるように見える。

それがなになのか、私は知るよしもなかった。

「1986年1月30日」
突然のことだった。早朝、私が起きてからリビングに向かうと彼は
私を待っていた。

「あなたが書いている日記、ありますよね。」

知らないはずなのに、突然のことだった。

「私に見せなくていいんですが、私のことを記録していてください。これを読むものに」

読むものに?私は疑問を抱いた。彼はなにかを隠している、というかなにかを実行しようとしている。
頭によぎった。

その頃から透吾と私の距離になにか不安なものが漂いはじめた。

          ※
セイカは、合間に入っていたであろう、ページがちぎられているのに気づいた。
何度か書いてはゴミ行きにしたのだろう。
次のページを開くと年号は変わっていた。

「1987年5月6日」

私は、透吾についてほんとの目的であるか、確信ではないがわかってきたような気がしてきた。
先の未来がわかることでなにかを成し遂げようとしている。
ただ、「それ」がわからない。 

ただ、言えることは綴っているこの日記はその「誰か」に渡すものである。


          ※

次のページを開くと真っ白が続いているだけだった。
透吾は、私にこの日記を見せるために、彼らを操作してきたのかもしれない。
「中田家」を。

そして、私を創造してこの世界の「アダムとイブ」を作ろうとしている。
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