遠い記憶、遠い未来。

haco.

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孤独のない

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「やっと、街が見えてきたわ」

ただ目の前にガラクタのように転がる石積みが存在していた。

「ここは・・」

セイカは周りを見渡してみた。

先ほどの砂地とは違う、自然並木と石が積み重なっていた。
人工的な石には名前が彫ってある。


「長浦家」「相内家」

「ここはつまり、霊園ってことなのね」
「地図で見てみると・・・「都立八王子霊園」」

もう誰も手をつけてない霊園はただの茂みになっている

ひび割れた石積みの合間から大木の根っこが絡みついている。
カラフルに目立つ野花が立派に成長していた。

自然の尊さを目に潤わせながら岩石に座ってこの景色を眺めた。

もう夕暮れも近い・・

茂みに入り込んで、枝を拾い集めた。
火を灯さなければ、暗闇は近い。

いつものようにテントを張り始める。

「今日は久しぶりのテント暮らしね」

砂漠ではうまく立たなかったせいで、寝袋に包まるしかなかった。
寒さはそこまで感じなかったが、星空だけは満喫できていた。

今では、砂漠地からやっと解放された。
おそらく地図の記す東京の街は、どう変わっているのか。

あの頃、父の「HASUMIグループ」が東京の街に染まっていた時代。
まだ建物は存在するものなのか。もしかしたら、「山内透吾」につながる情報は
なにかあるのかもしれない。

まだ、あればの話。

蓮でいた頃は、悲しいことばかりが多かった。
自分の存在がただの写し絵であったこと。
父との対立。

そんな時代も今では、なんの意味も持たない。

あの頃は、「孤独」だった。
でも今は「孤独でない」。

なぜ?

ふと疑問が湧いた。

今は1人ではあるが、孤独と感じてはいなかった。

その理由は、拒むものがだれもいないからかもしれない。



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