遠い記憶、遠い未来。

haco.

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幻影の陰

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腕時計のカレンダーに目を向くと「6151/2/15」と表示されている。
気付けばもう年越しすぎている。

1人でいるからか、もう行事は関係ないやと言わないばかりにただ過ぎていっていた。
正月もバレンタインなども人がいない以上、意味がもうなかった。

サキやミユがいた頃は、よくご挨拶しに行ったものだ。
正月になるとミユは母に会いにいくためにたくさんのおめかしをしていた。

化粧が濃ゆ過ぎないかと思うほど。よく突っ込んでいる蓮がいた。
言われる度に傷つくミユ。

そんな会話は当たり前だった。
車に乗り込み、自動運転おまかせで進んでいく。
街の狭間も通り過ぎて福岡市に住むミユの母宅まで行った。

母である彼女は、よく蓮とあう度に
「写鏡の彼」とよく言っていた。

山内透吾のことを知ってるからだろう。
彼女にとって、透吾はとても大切な存在なのだから。

蓮と会う度に、懐かしく思えるのだろう。

ただ、思うことがあった。
ミユの母は伝承2代目であるわけで、直接に山内透吾と話をしたことが
なければ会ったこともない。

なぜ、彼女は「懐かしい」と言えるのだろう。

いや、それは違う。。。ふと蓮は一つのルーツを思い出していた。

彼女の母、梨花が生前に言っていたことがあった。
「彼<山内透吾>を知るすべは、肌に直接触れば分かるわ」
と蓮に話をしてくれた。

まだ、彼女が小学3年の頃だったそうだ。
母に連れられて、病院で眠る山内透吾にあったことが一度だけあった。
母に言われるがまま、彼の手に触れると「宇宙」を見たと言っていた。
それは、セイカの記憶であることに間違いない。
中田家では、それは儀式のように彼を大事にしていた。

透吾に誰か触れれば、記憶を鑑賞するように、蓮も過去を知ることができることを。

彼自身が「地球」と同じなのだから。
「地球の神」であるがゆえに、その力は解き放っていたことを。

ミユの母は、ミユの3回忌の時に帰る際に言ったことがあった。

「もし、あの山内透吾のことで知りたいことがあれば、訪ねてくださいな」
と残し、自宅へと戻っていった。


今、現在、誰も存在しないこの時代でセイカは、答えを知れる人間は直接、本人に
会うことしかない。

セイカとしての複製の記憶しかないが、彼と会えば必ず「鍵」は外れるはず。

そして、託してくれたノートにもまだ、そのページには辿り着いてないが
鍵となるメッセージがあること。

今、現在、静岡県は「富士宮市」まで来ていた。

あの「富士山」が見えているはずだった。
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