遠い記憶、遠い未来。

haco.

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コンビニ

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12月に入ると、寒さがさらに肌につく。

現在地が示す場所は、岐阜県は「穂積駅」。

線路上に戻って、本土を登っていくと見えてきた。

久しぶりに見る駅に、見渡す限りのマンションや一軒家の廃墟が立ち並んでいた。
倒壊した駅内には、苔と根っこが張り付いてあった。

駅内から出ると、見渡す限り崩れていた。空の青さだけが目立つ様に存在していた。


鼻息しながら、リュックの肩紐に両手で持ちながら立ちすくようにして周りを見渡した。
駅から離れた場所に倒壊したコンビニが何店舗か存在していた。

止めていた足を進めながらコンビニまで向かう。

立ち寄ったのにも理由がある。

持っている食料がもうすぐでつきそうだった。
3ヶ月も森林を彷徨っていたのだから、当然である。

歩くほどに見当たらない都会を求めては、この地へ来た。

横断歩道を渡ると、横転した車がどこもかしこも存在している。
合間をくぐりぬけて、その先にあるコンビニまで着いた。

外観を見渡して、店内を外から覗いてみる。

屋根は倒壊してないから、店内はとても暗くてじめじめしていた。

セイカは、室内へと足を踏み入れるとひやっとした空気を感じた。
ずっと暗く保たれていた店内は、ほとんど陽にあたらない、当然だ。

床はほとんど、苔が埋め尽くされている、くしゃっと水音を立てながら歩いていると
床一面が苔と水で覆い尽くされていた。

「どこから水が来てるの?・・・」

耳を澄ましてみる・・。川の流れる音が聞こえてくる。

「どこだろう?」

小さな音色を聞く様に、その音が流れる方向へと向かっていくと。
崩れた壁の隙間から水が流れていた。

空いた穴から光が差し込み、暗い室内へと流れていく。

セイカは壁奥のドアに気づくと、ゆっくりと開けてみた。

ちゅるちゅる・・・・

水の小さな滝音がひびきながら、コンビニの真横に枝分けれのように流れている川が
連なっていた。

茂みと目立つ岩肌から透き通る川面が光でてらついている。

この町も自然と重なりあうように分け合っている。

「まあ、天然水ということかしらね」
水筒を水面に寄せて、水をすくう。

口に含むと、水の柔らかさで喉が満たされた。

「おいしい!」

水筒にいっぱいになるで入れて蓋をした。

このコンビニに入らなければわからなかった。

そして、店内に入っては倉庫に眠っているカップラーメンにレトルトの味噌汁などを
リュックに詰め込み店を後にした。

人が作り出していったものはこうも今でも存在していた。
コンビニがあること。

残していったものたちに感謝を込めながらさらに北へと向かった。


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