遠い記憶、遠い未来。

haco.

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森林

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たき火の炎に真っ赤な顔を染めながら、山々の向うから、梟が長閑にホォーホォーと鳴く。

深く沈みゆく真夜中の山々は鬱蒼としていて、背中を縮こませながら炎の暖かさを肌に感じていた。

真夏の夜中でも自然に囲まれた世界は、とても寒かった。

地図が位置しているこの地は、2000年も前は街並みが栄えていて、人々の高らな笑い声が聞こえていたはず。
現実世界では、もうすでに木々とゴツゴツと広がる岩山しか存在していない。

セイカは、渓流で網を張って釣り上げた「ヤマメ」を串刺しにして炙っていた。
久々にカブリつく魚はとても新鮮で美味しい。
白身がほくりと湯気をたてる。

「おいしい・・」

口の中で味がとろけながら、喉が「ゴクリ」とたてながら飲み込んでいく。

「やっぱり、新鮮なものは美味しいわね」

いっぱい噛み締めていた。


網にかけたあ4匹は保存用にスモーク状態にさせている。

リュックに詰まる分だけ、幸せになれた気分になれた。

「これでよし!当分これで困らないわ」

自然の恵みは、人々がいなくなろうとも途絶えることはなかった。
落葉高木に林檎がみのり、野いちごも自然の中ですくすくと育ってる。

昨日に積んできた野いちごをタッパーに移したのを開けると一口食べた。

「甘いけどまだ苦いわね・・」

最初は、山を抜けていくのは、怖かったけど。
今でもまんざらでもなく楽しんでいた。

どの時代でも山は自然の恵みを育んでいた。

命は絶やすことなくあり続けている。

いつもセイカは思っていたことがある。

「命を頂きます」と思いながら、命を糧にしている自分がいることを。


「また、明日も頑張らなきゃ」






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