遠い記憶、遠い未来。

haco.

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呼吸する旅へ

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セイカはここで一区切りすると、倒れたマンションの隙間から這い出て、澄み渡る青空を眺めては外の空気を吸った。


どこかで思っていた。

山内透吾は、苦しんでいたのではなかったのかもしれないと。

そう思う理由とすれば、どの時代で生きたとしても支えてくれた家族はいたはずだ。
自分の過去を話さずすれば、家族は幸せだったのだろうか。セイカは少し考えが違った。

彼の壮絶な人生を話すことが関わる人たちには理解をしてくれてたはずだ。
でもあえて言ってこなかったということは、今ある家族を巻き込みたくなかった。
だからかもしれない。幸せなんていうのは、言えたからではない。言わない選択であっても
家族の幸せだけを見つめれば良い。
そんな考えだった。

今では運命共同体であるが、この世界に残された運命は彼と今のセイカだけだ。

そんな大切な彼自身の思いを私は少し分かったような気がした。

遠くの地、北海道にいるであろう本人に早く会いたかった。

今でも寝ているであろう

「山内透吾」に。
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