遠い記憶、遠い未来。

haco.

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回想

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不思議な夢を見た。

重々しい響きとともに大海原の中で波に飲まれていた。

意識は少しはっきりしている。でも確かなことはある。そこには一人の女性が手を握っていた。飲まれていく波の中で必死に手を取り合っていた。

握り続けていた手は痛みが激しくなってきた。

離すものか・・・と願いながら手を握っている。

でも我慢の限界だった。

波の力はもっと激しさが増してきた。

もう、だめだ・・・ごめんよ。 ミユナ・・・

手の力が抜けていく・・・

朦朧とする中で・・・深く沈んでいく・・渦の中で・・意識が・・



《コポコポ・・・・》



「え!ミユナ?」


目を覚ますと、汗が顔周りにびっしょりついていた。

起き上がるとベッドの横のタオルで顔をふいた。

なぜか手が震えていた。

「あれ?泣いてる?」

目を擦った腕に涙がびしょ濡れになってる。

自分が泣いていることにようやく気付いた。

怖い夢を見ていたのか・・・

ドアをノックする音が聞こえてきた。

「トントン」

「大丈夫かい?」

聞いたことがある声が聞こえてきた。


「セイカ。怖い夢でも見たのかい?」

「パパあ、怖い夢見たの・・・」

「どんな夢を見たんだい?」


「あのねえ・・・水の中にいて。水が生きてたの!それでね。一緒にいた誰かの手を離ししてしまったの」

「そうか。それは怖かったね」

「うん・・・」

「もう大丈夫だよ。ここは安心だから」

パパは、我が子を大切にハグをしていた。

「よしよし」

パパに撫でてもらい、安心をしていた。

ようやく、落ち着くとパパの声がなにかとハウリングしているように聞こえてきた。

《ダ、ダイジョ・・・・・・ブ》


その時パパの顔がノイズが入るように歪んでいた。


周りを見渡すと、海の中の渦のように部屋が曲がっていく。

《蓮・・・・》

《蓮・・生きて・・・》

パパの顔が、レンの姿に変わっていた。あの星のレン・・・

目に見えるすべてがまた歪んでゆく。

これは《無》の回想だった。

渦は、さらに大きくなっていった。








意識ははっきりとしてきた。






ここは・・どこ?


「は!」

目を開けると、全てを飲み込んだ海の中心に蓮は浮いていた。

「はあ・・はあ・・・」

空から火山灰が降ってきていた。

真っ赤に染まった空はこの世界を支配したかのようにただ広がっていた。

見渡す限り、遠いところからも火山の生きる鼓動が聞こえてくる。
吹き上げる黒い煙と噴火していくマグマの波がこの地を溶かしている。


「地球が・・。また元に戻ろうとしているのか・・・」

サキは・・テツは・・・

カオル・・・・

ミユナ・・・・ルリ・・・・


「ちくしょーーーー‼️全て返せーーーーーー‼︎」



蓮はまた一人になってしまった。


リセットしていく地球の中心で









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