66 / 121
回想
しおりを挟む
不思議な夢を見た。
重々しい響きとともに大海原の中で波に飲まれていた。
意識は少しはっきりしている。でも確かなことはある。そこには一人の女性が手を握っていた。飲まれていく波の中で必死に手を取り合っていた。
握り続けていた手は痛みが激しくなってきた。
離すものか・・・と願いながら手を握っている。
でも我慢の限界だった。
波の力はもっと激しさが増してきた。
もう、だめだ・・・ごめんよ。 ミユナ・・・
手の力が抜けていく・・・
朦朧とする中で・・・深く沈んでいく・・渦の中で・・意識が・・
《コポコポ・・・・》
「え!ミユナ?」
目を覚ますと、汗が顔周りにびっしょりついていた。
起き上がるとベッドの横のタオルで顔をふいた。
なぜか手が震えていた。
「あれ?泣いてる?」
目を擦った腕に涙がびしょ濡れになってる。
自分が泣いていることにようやく気付いた。
怖い夢を見ていたのか・・・
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「トントン」
「大丈夫かい?」
聞いたことがある声が聞こえてきた。
「セイカ。怖い夢でも見たのかい?」
「パパあ、怖い夢見たの・・・」
「どんな夢を見たんだい?」
「あのねえ・・・水の中にいて。水が生きてたの!それでね。一緒にいた誰かの手を離ししてしまったの」
「そうか。それは怖かったね」
「うん・・・」
「もう大丈夫だよ。ここは安心だから」
パパは、我が子を大切にハグをしていた。
「よしよし」
パパに撫でてもらい、安心をしていた。
ようやく、落ち着くとパパの声がなにかとハウリングしているように聞こえてきた。
《ダ、ダイジョ・・・・・・ブ》
その時パパの顔がノイズが入るように歪んでいた。
周りを見渡すと、海の中の渦のように部屋が曲がっていく。
《蓮・・・・》
《蓮・・生きて・・・》
パパの顔が、レンの姿に変わっていた。あの星のレン・・・
目に見えるすべてがまた歪んでゆく。
これは《無》の回想だった。
渦は、さらに大きくなっていった。
意識ははっきりとしてきた。
ここは・・どこ?
「は!」
目を開けると、全てを飲み込んだ海の中心に蓮は浮いていた。
「はあ・・はあ・・・」
空から火山灰が降ってきていた。
真っ赤に染まった空はこの世界を支配したかのようにただ広がっていた。
見渡す限り、遠いところからも火山の生きる鼓動が聞こえてくる。
吹き上げる黒い煙と噴火していくマグマの波がこの地を溶かしている。
「地球が・・。また元に戻ろうとしているのか・・・」
サキは・・テツは・・・
カオル・・・・
ミユナ・・・・ルリ・・・・
「ちくしょーーーー‼️全て返せーーーーーー‼︎」
蓮はまた一人になってしまった。
リセットしていく地球の中心で
重々しい響きとともに大海原の中で波に飲まれていた。
意識は少しはっきりしている。でも確かなことはある。そこには一人の女性が手を握っていた。飲まれていく波の中で必死に手を取り合っていた。
握り続けていた手は痛みが激しくなってきた。
離すものか・・・と願いながら手を握っている。
でも我慢の限界だった。
波の力はもっと激しさが増してきた。
もう、だめだ・・・ごめんよ。 ミユナ・・・
手の力が抜けていく・・・
朦朧とする中で・・・深く沈んでいく・・渦の中で・・意識が・・
《コポコポ・・・・》
「え!ミユナ?」
目を覚ますと、汗が顔周りにびっしょりついていた。
起き上がるとベッドの横のタオルで顔をふいた。
なぜか手が震えていた。
「あれ?泣いてる?」
目を擦った腕に涙がびしょ濡れになってる。
自分が泣いていることにようやく気付いた。
怖い夢を見ていたのか・・・
ドアをノックする音が聞こえてきた。
「トントン」
「大丈夫かい?」
聞いたことがある声が聞こえてきた。
「セイカ。怖い夢でも見たのかい?」
「パパあ、怖い夢見たの・・・」
「どんな夢を見たんだい?」
「あのねえ・・・水の中にいて。水が生きてたの!それでね。一緒にいた誰かの手を離ししてしまったの」
「そうか。それは怖かったね」
「うん・・・」
「もう大丈夫だよ。ここは安心だから」
パパは、我が子を大切にハグをしていた。
「よしよし」
パパに撫でてもらい、安心をしていた。
ようやく、落ち着くとパパの声がなにかとハウリングしているように聞こえてきた。
《ダ、ダイジョ・・・・・・ブ》
その時パパの顔がノイズが入るように歪んでいた。
周りを見渡すと、海の中の渦のように部屋が曲がっていく。
《蓮・・・・》
《蓮・・生きて・・・》
パパの顔が、レンの姿に変わっていた。あの星のレン・・・
目に見えるすべてがまた歪んでゆく。
これは《無》の回想だった。
渦は、さらに大きくなっていった。
意識ははっきりとしてきた。
ここは・・どこ?
「は!」
目を開けると、全てを飲み込んだ海の中心に蓮は浮いていた。
「はあ・・はあ・・・」
空から火山灰が降ってきていた。
真っ赤に染まった空はこの世界を支配したかのようにただ広がっていた。
見渡す限り、遠いところからも火山の生きる鼓動が聞こえてくる。
吹き上げる黒い煙と噴火していくマグマの波がこの地を溶かしている。
「地球が・・。また元に戻ろうとしているのか・・・」
サキは・・テツは・・・
カオル・・・・
ミユナ・・・・ルリ・・・・
「ちくしょーーーー‼️全て返せーーーーーー‼︎」
蓮はまた一人になってしまった。
リセットしていく地球の中心で
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
子育て失敗の尻拭いは婚約者の務めではございません。
章槻雅希
ファンタジー
学院の卒業パーティで王太子は婚約者を断罪し、婚約破棄した。
真実の愛に目覚めた王太子が愛しい平民の少女を守るために断行した愚行。
破棄された令嬢は何も反論せずに退場する。彼女は疲れ切っていた。
そして一週間後、令嬢は国王に呼び出される。
けれど、その時すでにこの王国には終焉が訪れていた。
タグに「ざまぁ」を入れてはいますが、これざまぁというには重いかな……。
小説家になろう様にも投稿。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】転生した悪役令嬢の断罪
神宮寺 あおい
恋愛
公爵令嬢エレナ・ウェルズは思い出した。
前世で楽しんでいたゲームの中の悪役令嬢に転生していることを。
このままいけば断罪後に修道院行きか国外追放かはたまた死刑か。
なぜ、婚約者がいる身でありながら浮気をした皇太子はお咎めなしなのか。
なぜ、多くの貴族子弟に言い寄り人の婚約者を奪った男爵令嬢は無罪なのか。
冤罪で罪に問われるなんて納得いかない。
悪いことをした人がその報いを受けないなんて許さない。
ならば私が断罪して差し上げましょう。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
【完結】間違えたなら謝ってよね! ~悔しいので羨ましがられるほど幸せになります~
綾雅(りょうが)電子書籍発売中!
ファンタジー
「こんな役立たずは要らん! 捨ててこい!!」
何が起きたのか分からず、茫然とする。要らない? 捨てる? きょとんとしたまま捨てられた私は、なぜか幼くなっていた。ハイキングに行って少し道に迷っただけなのに?
後に聖女召喚で間違われたと知るが、だったら責任取って育てるなり、元に戻すなりしてよ! 謝罪のひとつもないのは、納得できない!!
負けん気の強いサラは、見返すために幸せになることを誓う。途端に幸せが舞い込み続けて? いつも笑顔のサラの周りには、聖獣達が集った。
やっぱり聖女だから戻ってくれ? 絶対にお断りします(*´艸`*)
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/06/22……完結
2022/03/26……アルファポリス、HOT女性向け 11位
2022/03/19……小説家になろう、異世界転生/転移(ファンタジー)日間 26位
2022/03/18……エブリスタ、トレンド(ファンタジー)1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる