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セイカの記憶
しおりを挟む「マルデック星?」
「ここが・・・。まるで地球と変わらないな。」とファルファトは言った。
《マルデック文明は、様々な技術を駆使して作られた文明。地球に存在する文明はマルデックから受け継がれてきたものなのです。》
「アトランティス文明、メソポタミア文明、マヤ文明もそうなのか?」
《はい。すべての文明においてマルデックから生まれたものたち》
「なるほど、精密に作られたピラミッドから見れば、異星人が作った理屈は通る、その説は現実的に唱えた研究者は数少ない。」
ファルファトは、深く考えていた。
《さあ、次の場所へ行きましょう。本当の真実は、ここから》
見ていた病室から、また別の場所へと向かっていた。
地鳴りがする音が広がっていた。見渡す限り、街が崩れ始めている。街並みを見れば、まるでアメリカのニューヨーク市街に似てい るが、どこか違う雰囲気もある。
立ち尽くしていると、横切る影がいた。
髪が腰まである、ウェーブの髪を揺らしながら走る女性がいた。隣りの男も、崩れて行く街並みを駆け抜けていく。
「あれは君か」
《はい、生前、この世界での研究者でした。》
「何故、地殻変動が起きている、星自体に響き渡っているように見える」
下からの地鳴りはさらに加速している。
過ぎ去る、幻の少女セイカとその彼はこの星を脱出しようとしていた。
残り少ない星の命が終わろうとしていた。
《この世界の終息を迎えているのです。原因となっていたのが、何度も核戦争が生み出した結果。私達、マルデック人は罪のない人達を剥奪してきました。私の父と母も犠牲になりました。》
セイカは、悲しみのあまりに泣きそうになっていた。
ファルファトの顔に汗が滴り落ちていく。そして愕然としていた。
「そんなことが・・・」
セイカは「そして・・・」と言葉を発するとある場所へと移動していた。
そこは宇宙基地に立っていた。
《ここは宇宙船の空港、私と彼は、消滅する前に、宇宙船に乗り込んだのです。》
幻のセイカは、その男と崩れ去っていく基地の中を走り続けていた。
まるでこっちの存在してないように気付いていなかった。
目的の場所まで行くと、小型の宇宙船が待っていたかのように準備されいた。おそらく彼が用意していたのだろう。
男は、手を差し伸べ「さあ、早く!乗るんだ!」と言うが
「他の人達は乗せないの?」とセイカは言った。
「もう無理だ。そんな余裕はない」と言い返された。
諦めたセイカは彼の言われがまま、乗り込んだ。
地鳴りがさらに激しくなっていく。宇宙船自体にかかる揺れで
倒れかかっていた。
それでも体勢を立て直すと、その彼は操縦部屋で、ハンドルを握って飛び立とうとしていた。
その時。
その光景を見ていたファルファトは、思わず「あれは!・・・」
「ノアの箱舟なのか!」
宇宙船のボディに「NOA」と象形文字で書かれているのに気付いた。
セイカの乗る宇宙船は、追いかけるように上昇していく。
ファルファトも宇宙船の中で彼らを見続けている。
「おそらくあの大型宇宙船に、何万人とマルデック人が入ってる・・・」
《ルヒア王率いる王族たちがすでに乗っていたのです。あのNOA号に。》
「ルヒア王?」
《この星を配下に一つの文化を作られた方です。彼は領土を広げるために、罪のない民を殺し続けました。》
《私の父も母も》
セイカは悲しい顔で言う。
「あ!消えた。」ファルファトは、大型宇宙船が瞬時に消えたのにびっくりすると。
「俺たちも急ぐぞ!!」と操縦している彼は手をレバーで引いた。
船がさらに上昇していくと、加速装置を勢いよく押した。
船はガタガタ揺れると機内が浮いているのがわかった。
機体は、重力に歯向かうように空へと加速していく。
「あわわわ・・・」ファルファトは、床に手を置くことしかできない。揺れている。。。
操縦室から見る外の世界は、雲をかき分けていた。
雲と雷がうずまきながらも機体は大気圏へと出た。
静まりかえった空の後ろから、なにかが迫っていた
マグマの蒸気が空高く追いかけていた。
もう、星は限界に近いようだ。
地獄の地鳴りがなるように星は亀裂を始めていく。
宇宙圏内に入ると最後の爆発を起こした。
核が見せる最後の抵抗を。
炎の光が機体の周りを覆っていく。
「もう少しだ。。。。レバーをもっと強くもっと」
男は精一杯の力をこめて。スピードは加速していった。
「ドオオオオン・・・・!!!」
炎はチリとなっていく。
機体はほどなくして、宇宙で停止をした。
「あっぶなかった・・・・心臓に悪すぎるよ」
ファルファトは汗をぬぐうと。立ち上がった。
「ここは・・宇宙か・・・」
「初めてみた」
《これが彼らがしてきたすべてなのです》
「・・・・・。つまりこれはあれか。人間が悪化させていったすべてということか。」ファルファトは悔やんでいた。
ただ、この状況の幻のセイカ達は、孤独な運命へとさらに追い詰められていくことになる。
「宇宙のたった一つの孤独を」
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