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ある話
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トルコのアララト山の山頂付近で、古代遺跡の研究家の
ファルファト教授は、ひと息つくために岩山の麓で折りたたみの椅子を組み立ててコーヒーの入ったポットをカップに注ぎこんだ。
記事で見た写真に関心をいだき行こうと思った。
「ノアの箱舟は、ほんとにあった!」と見出しの記事を見て、写真の中に木造で作られた船が実際に発見されたという記事だった。
まだイスタンブール大学に在学中の時に、歴史考古学を専攻にトルコの歴史を学んでいた。
ある日の昼間に、学内にある図書室を見ていると、古新聞紙のコーナーに目立つように掲載されていた。
「ノアの箱舟は、実在した!」の見出しに、思わず息を呑んていた。
「旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」を探す中国とトルコの探検家チームが、漂着したといわれるトルコのアララト山の山頂付近で、方舟の木片を発見したと発表した。」と書いてある。
ファルファトは、行かずには入れなかった。
小さい頃に母から私達は、マルデック人であった血筋は忘れないで、と言われたことがあった。
なにか「繋がり」があるようにファルファトは思えた。
「マルデック」と「ノア」の関係性をこの目で確かめたかった。
コーヒーを飲み終えると、立ち上がり椅子を折りたたんでさらに頂上へと歩いた。
道中に、下山する団体とすれ違った。あいさつを交してさらに奥に進んでゆく。
あることに気付いた。鳥達の鳴声が聞こえてたはずなのにいつの間にか聞こえなくなっていた。
さっきまで平面だった道がごつごつした岩に変わっていく。
その先にあるものに目を向けると不思議な形をした場所へと着いた。
まるで船の底のような形の場所が、周辺の岩肌と比べて見てみるとここだけ凹んでいた。。
なにか巨大で重い物体が置かれていた可能性はある。
でも、周辺を見渡してみるがら船らしき物体は見当たらない。
茂みが少しあるが、どこにも見つからない。
その時だった。断片な形状の岩肌の頂上に、人影が見えた。
ファルファトは、それは幻に見えたのだ。
人影のいる場所まで来た時に気付いた。
立っていた場所から凹んでいた場所を見ると、岩山の奥地に森林が広がっている。
森林の隙間から覗くものがあった。
木造の船が、土と重なり合うように倒れているのに気付いた。
岩山を下っていくと森林の闇へとファルファトは入っていく。
見えてきたのは、確かに先ほど見た船だった。
ノアの箱舟はほんとに実在したのだ。
一眼レフカメラを手に取ると箱舟を撮影しはじめた。
カメラ越しで見るとふと疑問が浮かんでいた。
考古学として考える上で、この船に木の古さを感じない。
古代から古くある物なら、木造の質はカビ色に近くなるはずだ。
それに木造の目は、樹齢のシワがしっかりとついている。そしてシワの数は、5歳ということになる。
つまり、この木造の船が出来て年数が浅いことになる。
「これはノアではない!?」
「どういうことだ。これがもし、ノアの箱舟としよう。あの平たい岩山のあの面積を、この木造の船で広げるのは、明らかに無理だ。もっと、今のような飛行機のようなものでない限り、岩肌の面積は作れない!」
「その通りですよ!」
背後から、声をかけられた。
振り向くと
「ん?日本人?それとも・・・」
いづれにしてもアジア系の軽装な黒色のパーカーにジーンズ姿の男が立っていた。
「君はいったい・・・」
優しい目をしていた。まだ若い顔をしている。
「あなたのような分析ができる方は初めてだ。」
人ひとり分の小岩の上に座っていた。
「この場所には誰もいなかったはずだ!」
怪しい目で黒パーカーの男を睨んでいた。
「自分も今、来たばかりなんですよ。そしたら、お兄さんが先にいらしてたもので。」
「どういうことだ?」
「テレポートで飛んできたと言っても信じますか?」
「ほんとにあるなら信じる価値はあるが。。」
「ちょっと待ってくださいね」と言って姿が一瞬にして消えてしまった。
3分後、一瞬にして小岩の上に戻ってきていた。
「え」
ダウンジャケットにジーンズ姿で服装が変わっていた。
「これでわかりましたか?」
「何者なんだ。君は。ノアと関係があるのか」
「この船はフェイクで作られたものなんですよ」
「ほんとのノアは、」
指を下にさした。
「ここの地下にある」
男の名前は、「羽角蓮」と名乗っていた。
この男と未知なる世界へ行こうとは、この時は思ってなかった。
ファルファト教授は、ひと息つくために岩山の麓で折りたたみの椅子を組み立ててコーヒーの入ったポットをカップに注ぎこんだ。
記事で見た写真に関心をいだき行こうと思った。
「ノアの箱舟は、ほんとにあった!」と見出しの記事を見て、写真の中に木造で作られた船が実際に発見されたという記事だった。
まだイスタンブール大学に在学中の時に、歴史考古学を専攻にトルコの歴史を学んでいた。
ある日の昼間に、学内にある図書室を見ていると、古新聞紙のコーナーに目立つように掲載されていた。
「ノアの箱舟は、実在した!」の見出しに、思わず息を呑んていた。
「旧約聖書に登場する「ノアの箱舟」を探す中国とトルコの探検家チームが、漂着したといわれるトルコのアララト山の山頂付近で、方舟の木片を発見したと発表した。」と書いてある。
ファルファトは、行かずには入れなかった。
小さい頃に母から私達は、マルデック人であった血筋は忘れないで、と言われたことがあった。
なにか「繋がり」があるようにファルファトは思えた。
「マルデック」と「ノア」の関係性をこの目で確かめたかった。
コーヒーを飲み終えると、立ち上がり椅子を折りたたんでさらに頂上へと歩いた。
道中に、下山する団体とすれ違った。あいさつを交してさらに奥に進んでゆく。
あることに気付いた。鳥達の鳴声が聞こえてたはずなのにいつの間にか聞こえなくなっていた。
さっきまで平面だった道がごつごつした岩に変わっていく。
その先にあるものに目を向けると不思議な形をした場所へと着いた。
まるで船の底のような形の場所が、周辺の岩肌と比べて見てみるとここだけ凹んでいた。。
なにか巨大で重い物体が置かれていた可能性はある。
でも、周辺を見渡してみるがら船らしき物体は見当たらない。
茂みが少しあるが、どこにも見つからない。
その時だった。断片な形状の岩肌の頂上に、人影が見えた。
ファルファトは、それは幻に見えたのだ。
人影のいる場所まで来た時に気付いた。
立っていた場所から凹んでいた場所を見ると、岩山の奥地に森林が広がっている。
森林の隙間から覗くものがあった。
木造の船が、土と重なり合うように倒れているのに気付いた。
岩山を下っていくと森林の闇へとファルファトは入っていく。
見えてきたのは、確かに先ほど見た船だった。
ノアの箱舟はほんとに実在したのだ。
一眼レフカメラを手に取ると箱舟を撮影しはじめた。
カメラ越しで見るとふと疑問が浮かんでいた。
考古学として考える上で、この船に木の古さを感じない。
古代から古くある物なら、木造の質はカビ色に近くなるはずだ。
それに木造の目は、樹齢のシワがしっかりとついている。そしてシワの数は、5歳ということになる。
つまり、この木造の船が出来て年数が浅いことになる。
「これはノアではない!?」
「どういうことだ。これがもし、ノアの箱舟としよう。あの平たい岩山のあの面積を、この木造の船で広げるのは、明らかに無理だ。もっと、今のような飛行機のようなものでない限り、岩肌の面積は作れない!」
「その通りですよ!」
背後から、声をかけられた。
振り向くと
「ん?日本人?それとも・・・」
いづれにしてもアジア系の軽装な黒色のパーカーにジーンズ姿の男が立っていた。
「君はいったい・・・」
優しい目をしていた。まだ若い顔をしている。
「あなたのような分析ができる方は初めてだ。」
人ひとり分の小岩の上に座っていた。
「この場所には誰もいなかったはずだ!」
怪しい目で黒パーカーの男を睨んでいた。
「自分も今、来たばかりなんですよ。そしたら、お兄さんが先にいらしてたもので。」
「どういうことだ?」
「テレポートで飛んできたと言っても信じますか?」
「ほんとにあるなら信じる価値はあるが。。」
「ちょっと待ってくださいね」と言って姿が一瞬にして消えてしまった。
3分後、一瞬にして小岩の上に戻ってきていた。
「え」
ダウンジャケットにジーンズ姿で服装が変わっていた。
「これでわかりましたか?」
「何者なんだ。君は。ノアと関係があるのか」
「この船はフェイクで作られたものなんですよ」
「ほんとのノアは、」
指を下にさした。
「ここの地下にある」
男の名前は、「羽角蓮」と名乗っていた。
この男と未知なる世界へ行こうとは、この時は思ってなかった。
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