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忘却の空
しおりを挟む蓮の部屋でサキは寝ていた、ふと「朝の何時間だろうか」と思いながら時計の針を見ると8時をまわっていた。
まだ8時か・・・
ベッドから見える外の景色を眺めながら昨日のことを思い出していた。
蓮の辛そうな顔を。
もう一人の「自分」と対面した時のあの顔が。
あの時、サキはどうすることも出来なかった。
ちゃんと部屋から引き離すべきだったと悔やんでいた。
初めて見るもう1人の蓮は、いや!厳密に言えば「山内透吾」は
蓮が見てどう思っているのだろう。
生まれてきた意味に蓮は後悔しているのか。頭の中が瞑想していた。
「アチ!」キッチンから蓮の声が聞こえている。
起き上がるとキッチンまで向かってみた。
「おはよう」
「あっおはよ!サキの分のご飯も作ってるよ」
いつもの蓮だと思いたかった。でも見ていて分かる。
無理に明るくしているだけだと。
テーブルに、目玉焼きに食パンとサラダを揃えると
「なあ、サキ!俺な。お前に変わりに社長やってほしいんだ」
突然、蓮は社長辞表を言ってきた。
「おい!蓮。俺はならないぞ!」
「それにお前が作った会社だぞ!」
蓮は、椅子に座ると「俺のビジョンが見えたんだ」
「会社にはテツとカオルがいて、サキは社長をしてた。当の自分がいないことに気付いたんだ。」
「たかが、夢だろ?」とサキは冷たく言った。
「いや。あの時、もう1人の自分と会った時に見えたんだ。彼が起きる頃には、俺は起動停止すると。心の中に話しかけてきたんだ。」
「山内透吾がか?」
「うん」
「おそらくオヤジの研究から想定外のことだろうと思う」
「俺と山内透吾は、シンクロしあってるんだ」
「山内透吾が滅びれば自分は、助かる!」
「俺が死ねば、山内透吾は息を吹き返すんだ」
「どっちかでしかない」
サキは、聞くことしか出来なかった。反論もできない。
「俺はじゅうぶん生きたさ。ただのクローンでしかないんだから」
「蓮・・・」
「テツとカオルにはどうするんだよ」サキの顔には寂しさが滲み出ていた。
「伝えてくれ。俺がクローンだったってことを」
「サキにはほんとに迷惑かけぱっなしだ。もう十分だ。」
さっきまで温かったはずのパンと目玉焼きはもう冷めていた。
「もう、探さないでくれ。ここには来れない。人間でもない俺がいる所じゃない」
サキは玄関にすでにもう荷物は揃えているのが見えた。
蓮は立ち上がり、玄関まで向かった。
サキは追いかけたが、ドアが閉まるその瞬間。
「ありがとう」
蓮は満面の笑みでドアを閉めて行った。
サキは、ずっと蓮を救いだそうとしていた。
でも、自分の手では結局、救うことは出来なかった。
こうなってしまった責任は「自分」なのだから。
わ
まだ8時か・・・
ベッドから見える外の景色を眺めながら昨日のことを思い出していた。
蓮の辛そうな顔を。
もう一人の「自分」と対面した時のあの顔が。
あの時、サキはどうすることも出来なかった。
ちゃんと部屋から引き離すべきだったと悔やんでいた。
初めて見るもう1人の蓮は、いや!厳密に言えば「山内透吾」は
蓮が見てどう思っているのだろう。
生まれてきた意味に蓮は後悔しているのか。頭の中が瞑想していた。
「アチ!」キッチンから蓮の声が聞こえている。
起き上がるとキッチンまで向かってみた。
「おはよう」
「あっおはよ!サキの分のご飯も作ってるよ」
いつもの蓮だと思いたかった。でも見ていて分かる。
無理に明るくしているだけだと。
テーブルに、目玉焼きに食パンとサラダを揃えると
「なあ、サキ!俺な。お前に変わりに社長やってほしいんだ」
突然、蓮は社長辞表を言ってきた。
「おい!蓮。俺はならないぞ!」
「それにお前が作った会社だぞ!」
蓮は、椅子に座ると「俺のビジョンが見えたんだ」
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「たかが、夢だろ?」とサキは冷たく言った。
「いや。あの時、もう1人の自分と会った時に見えたんだ。彼が起きる頃には、俺は起動停止すると。心の中に話しかけてきたんだ。」
「山内透吾がか?」
「うん」
「おそらくオヤジの研究から想定外のことだろうと思う」
「俺と山内透吾は、シンクロしあってるんだ」
「山内透吾が滅びれば自分は、助かる!」
「俺が死ねば、山内透吾は息を吹き返すんだ」
「どっちかでしかない」
サキは、聞くことしか出来なかった。反論もできない。
「俺はじゅうぶん生きたさ。ただのクローンでしかないんだから」
「蓮・・・」
「テツとカオルにはどうするんだよ」サキの顔には寂しさが滲み出ていた。
「伝えてくれ。俺がクローンだったってことを」
「サキにはほんとに迷惑かけぱっなしだ。もう十分だ。」
さっきまで温かったはずのパンと目玉焼きはもう冷めていた。
「もう、探さないでくれ。ここには来れない。人間でもない俺がいる所じゃない」
サキは玄関にすでにもう荷物は揃えているのが見えた。
蓮は立ち上がり、玄関まで向かった。
サキは追いかけたが、ドアが閉まるその瞬間。
「ありがとう」
蓮は満面の笑みでドアを閉めて行った。
サキは、ずっと蓮を救いだそうとしていた。
でも、自分の手では結局、救うことは出来なかった。
こうなってしまった責任は「自分」なのだから。
わ
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