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愛情という名
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「うまい!このソースどうやって作ってるんですか?」と私が言うと
「そのハンバーグは私のお母さんから教えてもらった、家族の味なの。赤ワインが特にポイントなのよ。興味あるなら、レシピ書いてあげますよ。」
山内家から離れていまや、昭和56年。ずっと独り身でいたのか。
久しぶりに人の手料理に感動を覚えていた。
私の席から左右に兄弟が座っていて。興味津々な目で見てくる。
左に座っているのが中学3年の梨花が座っている。
ツインテイルな髪で、たまに髪をイジる癖がある。
右に座っているのが小学6年の廉という少年で、
名前だけで聞くと「レン」と思い出す。。
「ねぇねぇ。お兄ちゃんは、ほんとにいろんな歴史知ってるの?」
と廉は言ってきた。
「まだ食事中よ。後で話聞きなさい!」
と由美子が言うと
「はあーい」と廉は言った。
梨花は
「お兄さんってどこかNOxってグループの岸山くんに似てるんだよね。」
と言ってくるが、まったくテレビや音楽を見ない自分にはわからない話だった。
とりあえず「ありがとう」と言うだけだった。
ひと息ついて。
「さあ、まあ、ソファに腰かけてゆっくりしよう」と中田は
言った。
「お茶入れますわね」と由美子が言うと
「ありがとうございます!ご飯おいしかったです。」
と私は言った。
中田は、よし!と言うと「君をもっと知る上で、君のことをもっとしりたい。今後、どうしていくべきか。君はどう思ってるんだね?」
「正直、申しますと自分でもわからないんです。。自分がどうして行きたいか。」と私。
間に挟むように由美子が
「私は、まだ正直、信じられないところはあります。どこからどう見ても私たちよりもお若いですし。昔から生きてたなんて信じられないですわ」
「おい!由美子。」と中田は言ったが、
「奥さんの言うこともわかります。」と私は言った。
「これは信じてもらいたくて、中田家に伺ったわけでなく。自分だけの為にだけの自分が納得できる話を勧めたいんです。」
「自分だけの為?」と由美子が言うと
「はい。自分だけの為です。」と私は言った。
「その為には私達のような存在は必要なんだよ。」と眉毛をくねらせながらも中田は言うと
「まだ自分に責任感じてるんだね。君は。。」と続けて中田は言った。
私は「その前に話したいことがあります。」と切り出すと
「奥さんを見ていてふと思い出した事あるんです。名字は、中川ではありませんか?中川由美子ですね」
「はっはい!」と的に命中したような顔に由美子は困惑した。
「なぜ、わかったんですか?もしかして夫が?」
手をふり違う違うと中田は言った。
「あなたがまだ小さい頃に、あなたの父にお会いになった時があります。その時にはまだ生まれて何ヶ月ぐらいだったでしょうか。
父の象二郎さんは、私によくしてくれました。身寄りのない私を会社の社員として受け入れてくれて。職場によく赤ちゃんを連れてきてはあなたをいつも抱きかかえてました。」
「今日伺うまでにこんな繋がりになるなんて思いもしませんでした。」
「父のことご存知だったんですね。びっくりですわ」
「象二郎さんは、最後の最後まで由美子さんのことを思ってました。」
象二郎は、胃ガンを発病しており、その時折、透吾はお見舞いに行ったりしていた。亡くなる三日前に、象二郎は伝言を残していた。
「未来の由美子は幸せだろうかの。。なあ、君は、わかるのだろ。未来が。。私の目にうつるのは神様なんだろ。由美子の幸せを見てやってくれ、、」
死にゆく者には私の幻が見えるのだろう。あの「セイカ」と言う存在が。
その話を聞いた由美子は、エプロンで涙をふきながらも
「ありがとう。。お父さん。。会いたいよ。。」
中田は、慰めるように由美子の背中に手を置いた。
どの時代でもそうだった。親はいつも子のことを思う。
切なくて儚くてもそこには必ず愛情がある。
象二郎の託した言葉はどれだけの愛情があるかひしひしに
伝わってくる。
そんな自分にも託された言葉はある
「生きてくれ」と。
「そのハンバーグは私のお母さんから教えてもらった、家族の味なの。赤ワインが特にポイントなのよ。興味あるなら、レシピ書いてあげますよ。」
山内家から離れていまや、昭和56年。ずっと独り身でいたのか。
久しぶりに人の手料理に感動を覚えていた。
私の席から左右に兄弟が座っていて。興味津々な目で見てくる。
左に座っているのが中学3年の梨花が座っている。
ツインテイルな髪で、たまに髪をイジる癖がある。
右に座っているのが小学6年の廉という少年で、
名前だけで聞くと「レン」と思い出す。。
「ねぇねぇ。お兄ちゃんは、ほんとにいろんな歴史知ってるの?」
と廉は言ってきた。
「まだ食事中よ。後で話聞きなさい!」
と由美子が言うと
「はあーい」と廉は言った。
梨花は
「お兄さんってどこかNOxってグループの岸山くんに似てるんだよね。」
と言ってくるが、まったくテレビや音楽を見ない自分にはわからない話だった。
とりあえず「ありがとう」と言うだけだった。
ひと息ついて。
「さあ、まあ、ソファに腰かけてゆっくりしよう」と中田は
言った。
「お茶入れますわね」と由美子が言うと
「ありがとうございます!ご飯おいしかったです。」
と私は言った。
中田は、よし!と言うと「君をもっと知る上で、君のことをもっとしりたい。今後、どうしていくべきか。君はどう思ってるんだね?」
「正直、申しますと自分でもわからないんです。。自分がどうして行きたいか。」と私。
間に挟むように由美子が
「私は、まだ正直、信じられないところはあります。どこからどう見ても私たちよりもお若いですし。昔から生きてたなんて信じられないですわ」
「おい!由美子。」と中田は言ったが、
「奥さんの言うこともわかります。」と私は言った。
「これは信じてもらいたくて、中田家に伺ったわけでなく。自分だけの為にだけの自分が納得できる話を勧めたいんです。」
「自分だけの為?」と由美子が言うと
「はい。自分だけの為です。」と私は言った。
「その為には私達のような存在は必要なんだよ。」と眉毛をくねらせながらも中田は言うと
「まだ自分に責任感じてるんだね。君は。。」と続けて中田は言った。
私は「その前に話したいことがあります。」と切り出すと
「奥さんを見ていてふと思い出した事あるんです。名字は、中川ではありませんか?中川由美子ですね」
「はっはい!」と的に命中したような顔に由美子は困惑した。
「なぜ、わかったんですか?もしかして夫が?」
手をふり違う違うと中田は言った。
「あなたがまだ小さい頃に、あなたの父にお会いになった時があります。その時にはまだ生まれて何ヶ月ぐらいだったでしょうか。
父の象二郎さんは、私によくしてくれました。身寄りのない私を会社の社員として受け入れてくれて。職場によく赤ちゃんを連れてきてはあなたをいつも抱きかかえてました。」
「今日伺うまでにこんな繋がりになるなんて思いもしませんでした。」
「父のことご存知だったんですね。びっくりですわ」
「象二郎さんは、最後の最後まで由美子さんのことを思ってました。」
象二郎は、胃ガンを発病しており、その時折、透吾はお見舞いに行ったりしていた。亡くなる三日前に、象二郎は伝言を残していた。
「未来の由美子は幸せだろうかの。。なあ、君は、わかるのだろ。未来が。。私の目にうつるのは神様なんだろ。由美子の幸せを見てやってくれ、、」
死にゆく者には私の幻が見えるのだろう。あの「セイカ」と言う存在が。
その話を聞いた由美子は、エプロンで涙をふきながらも
「ありがとう。。お父さん。。会いたいよ。。」
中田は、慰めるように由美子の背中に手を置いた。
どの時代でもそうだった。親はいつも子のことを思う。
切なくて儚くてもそこには必ず愛情がある。
象二郎の託した言葉はどれだけの愛情があるかひしひしに
伝わってくる。
そんな自分にも託された言葉はある
「生きてくれ」と。
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