遠い記憶、遠い未来。

haco.

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願いの果てに

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宇宙に漂い続けて正確かどうかはわからないが、1ヶ月が経った。

私たちはずっとこの先をどうするかふたりで考えていた。

レンは操縦室で時々、どこか暮らせる星がないか信号を送ったが、
当たり前のようにそれは返信はこない。

宇宙の中、静かに日々が過ぎてゆき2年もたった。

2年間の間、信号は送り続けていた。

それでもどこからも来ない。


信号には星に住む生態系の生き物に意思的に送ることができるが、
それらしい動きは見られない。
何度も見返すが、それでも見られない。

何度も繰り返した。

ただ宇宙の孤独を感じながら


また1年とさらに1年と。。



この宇宙の中で、もう5年は過ぎようとしてた。

もう5年も過ぎたレンには疲れ果てた顔と食欲も通らないほど
やせ細っていた。

最近よく溜息をつくようになるレンだった。
下を向き、また一つ溜息をついてる

「ちょっとでも休憩したらどう?」とワタシが言うと

「……………」

虚ろな目でなにかを訴えている

「レン。。」


レンは苦しんでいた。

私はそんなレンを支えようとするが

やせ細った身体をゆっくりと動かして
「気休めはよしてくれ」
と言うだけだった。

この宇宙空間での二人でいる「孤独」は
私達を追い詰めていた。

いつかは願う自然や大気を感じたいと。
いつになったら、空や海や自然を見ることができるのだろう。

星が恋しい。。。そんな思いが積もるばかり。

お父さんやお母さんがいて、教会を共に過ごしてきたリンとラン。
どれも記憶の彼方へと通り過ぎている


静まる宇宙の時間の中。
ただ、ずっと静かだった。



そんなある日のこと
寝室で私が寝てる時だった。

首に何かがふれ、目を開けるとレンが首を絞めはじめた。

「や、やめて。。」

「もう。二人で死のう。。。」
「オレも後で追いかけるから。。。」
涙が私の顔に降り注ぐ。


もうレンはレンでなくなっていた。

「やめて!!」

手を振りかざし、レンの身体ごとベッドから倒れていった。

「もういやだ!こんな生活は、あの星とともに死ぬべきだった。」


バシン!!

レンの頬にビンタした。

打った頬から赤く染まり、レンの顔がさらに醜く思えた。

「私はあなたを信じてるのに、あなたはなぜそうやって逃げるの!!」

「最初会った頃から、あなたの隣にいることが暖かく思えたのに」
「なのに、今のレンはそういう私から逃げてるようにしか見えないの!」

泣きたかったのは私もだ。

涙が込み上げてくる。

苦しい。苦しいよ。誰もいない。この世界が。

ふとレンの懐にナイフが見えた。

そのナイフを握り、手を上げると自らの首にかざした。

「もう。。いい。。。」

枯れたはずの涙とやせ細ってる体に力を込め、

首に刺した。
それはまるでスローモーションのようにゆっくりと差し込まれてゆく。

気力を失くした私は止めることはしなかった。
それがレンが求めるものなら。


倒れてるレンを見ていたが息はもうしていない。


この船に、

私は一人になっていた。

静まり返った宇宙船の中で
突然、警告音が鳴り始めた。

「ブーーーー!」

もしかして!
私はとっさに操縦室に入った。

レンはこの宇宙船を破壊するつもりだ。

逃げ場のない状況で、私は考えていた。

確か、宇宙船の中に分離できる一人入れるぐらいの
脱出機モジュールがある。

「あと3分で、宇宙船起動停止!アナウンスに従い、行動してください!」

とアナウンスが入ると脱出機まで走っていく。
壁のプレートを頼りに進んでゆくと「分離入口」のプレートを見つけた。横の壁にOnとOffスイッチがあるのに気付いた。

「On」のボタンを押すと扉をがゆっくりと開け始めた。
身体を脱出機に入り込むと狭い空間だけに壁一面にいろんなボタンが存在していた。どのボタンを押せば動くのか試すしか、なかった。
「あー!どれ!どれなの!」
いくつものボタンを押していく。

またアナウンスが鳴り始めた。
「残り1分」

「ブーーーー!」

とずっとなり続けていた警告音が
さらに、激しさを増していた。


ガタンッ!
プシューッ!!


やった。と思いながら
宇宙船から離れてゆく。

安心したのも一瞬だった。
宇宙船が爆発すると同時に
脱出機の入口に破損が。


そのまま脱出機と宇宙船の間で宇宙に放り出され、漂っていた。


宇宙船と脱出機はすべて巻き込まれながらも爆発を繰り返していた。
宇宙でたった一つの爆発の音は鳴り響きながらも。


爆発とともにセイカの身体全体が宇宙におしよせていった。

宇宙に立った1人だけ浮いていた。


セイカはもう悟っていた。

私はすべてをなくしたと。

「もう私は。。この宇宙で死ぬだけなの。。」


涙ながしながら今までの過去が走馬灯のように走っていく。

お母さんに抱きかかえられる小さい私。
その横でお父さんの笑顔がこちらを伺う。

レンとランとリンが自分の手をとり、
教会の外ではしゃぐ姿。

「懐かしいなあ。私もすぐいくよ…」

目を閉じた


その時だった。

目の前のセイカの身体が光っていた。
まるで光を羽織っているかのように。

セイカ自身の行く先が分かったような気がする。

この世界で「私」は星の糧となるための覚悟が

目を閉じてセイカのエネルギーを覚醒させる為に足を組み、腕で抱きしめていた。

自分でも不思議なぐらい光のエネルギーは大きくなっている。

もっと膨大に。更に。






ガタンッ!

ガタンッ!

シューーー!

隕石がセイカと科学反応を起こしている


ガタガタガタガタ!!!!

無数の隕石がセイカと共鳴しあっていた。


それはマルデックで散った隕石のカケラだった。

隕石が私の周りを囲んでいる。

それは私の故郷が守ってくれてるように感じた。

散った隕石たちはセイカの周りを大きく頑丈により大きく隕石達が、密集していく

膨大なエネルギーが、溢れるぐらいにぶつかりながらも隕石は星の形へと形成していくと

さらに大きくしていく。

もっと巨大な丸形の隕石が近づいてきて
私の星と接触しながらもさらに飛んでいった。
その隕石の名は「月」と呼ばれていた。


これはいつしかお父さんが言っていた。


「私の力」


隕石はさらに大きくぶつかり合いながらまたひとつの星を
作り始めた。


それは彼女自身の願いが形となっていく。

「もう悲しまない世界を、私だけの思いを乗せた星へと。」




「このアース《地球》に」







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