遠い記憶、遠い未来。

haco.

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運命

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「ねえねえ」

後ろを振り向くと、男の子から初めて声をかけられた

セイカにとってパパ以外の男と話すのは初めてだった

「どうしたの?」

「セイカだよね?覚えてないかな?」

と言われても、セイカは覚えてなかった

目の前を見回すと、教会の外で生物学の勉強をグループ分けで
していた



「前に都で家族で来たことあっただろ。オレ、その町で商売人の息子で手伝いしてたんだぜ」

「あ!」セイカはその言葉で思い出した

よくパパの仕事ついでに都で荷物おろしを手伝いしていた

パパが路上販売を始めると
よくママと都の町を歩いて、買い物したり、遊んだりしていた

とある店の前で立ち止まり、古い本が並ぶ古書店で
興味のある本をママに買ってもらったりしていた

その店の息子が、今目の前にいる

「思い出してくれた?」

「うちのパパとママもあの都でね。亡くなったんだ。おそらく君もそうだろう?」

「うん・・・」

思い出したくない思い出を呼び覚ました
どうあがいてもあの頃には戻れない

パパとママが殺された後、わたしの手でかざしていたら、
私の力で、生き返ることもできたのかな?

そんな後悔で頭がよぎってしまう。

ちょうど今の時間がお腹が空くと同時に

「ちょうどお昼の時間だ。ねえ一緒に食べよ。」
とその子は言ってきた


「ごめん。友達と食べるの。また今度ね」
と嫌ではなかったけど。約束は約束。

「名前だけでも教えてもらえないかな?」

「セイカだよ。」

「オレ、キク・レンって言うんだ。レンでいいよ」

レンは思いっきりの笑顔を見せてはにかんだ

今までなかった状況なのか、心がときめいていた
その笑顔は反則いがいのなにものでもなかった

これからの人生、レンと深く関わるとは思いもしなかった

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