遠い記憶、遠い未来。

ラン

どれだけ泣いただろう？
夢の中でパパとママが笑顔を振りまきながら、
泣いている私を抱えている。

それが夢だと現実に戻される。

目を覚ますと、涙で枕が濡れていた。

「はあ～」とため息をつきながら、天井を眺めていた。

ここは、家ではないどこか遠い地の天井であることに
またため息をつく。

横を見ると間をあけてとなりのベッドで「ラン」が寝ていた。
ここに来て、最初に友達になった子である。

最初来た時に私よりもっと泣いてて、鼻水が出る結末。
泣きなれてなかった私は、一週間も経てば、慣れるものなのだと
実感していた。

でも時たまに、思い出して泣くこともあった。それがまた今日も泣いていた。

ランと私は、お互いに近寄るまで時間はかからなかった。
お互い、泣きながらもティッシュの取り合いをして、お互い気が合うように

それを認めあっていた。

ここの教会にきてから、朝は各部屋でグループで食事して
そのあと、大広間に出てから、グループBと書かれた教室に
２０人で分けられた。
学問を学ぶ時間があり、それもすべてマザーに教育されていた。

親と離されて、どのくらいたったのだろう？とふと思いつつ。
教会での生活もいつの日か、当たり前になってきた。

ランとはよくお互い住んでいた頃の話でいろんな辛い経験も話あうほどになっていた

「ねえねえ、セイカ。この教会を卒業できる日は来るのかしらね」

「マザーの話では、成人を迎えると共に、卒業をして、都会での一人暮らしとして旅立つとか
言ってたよね？」とセイカ。


ランは「そうかあー。それだったら、また二人だけでも暮らせる環境も作っていきたいね」。

「そうだね」

そういえば、考えてもみなかった。
自分の将来のこと。

父と母といた頃は、子供の夢なんて思い描いてなかったけど。
もう今では16歳となっている。

心はそのままでも体はひとつひとつ、大人へと変わっていく。
胸も少しで始めている最近。

ほんとうは父と母に自分の成長を見ていてほしかった。

でも今は、ランと生きているこの世界で。お互いの成長は長く見ているつもりであった。

夕日が部屋に照らされる時間に、廊下の方から漂う、ご飯でお腹がなった。

「もうすぐご飯だね。」

「今日はなにかしら」