遠い記憶、遠い未来。

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第一章 一日の出来事

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「セイカ!!」


「セイカ!!!」


遠いところから声が聞こえてきた。

「よかったあー」

その顔がドアップで目の前に映った。

よく見ると父が心配したような顔して
こちらを覗き込んでいる

頭をナデナデとしてきて、少し嫌がる私がいた

「パパ、どうしたの?」

自分の体勢をよく見ると、

地面に倒れていて、横にお気に入りのうさぎの人形が
横たわり、自分も倒れていることに気づいた

どうやら、道を歩いているときにお生茂る草と岩のカタマリの
間に、足を取られ、倒れていたのだ

それから一時間ほど意識がなかったらしい

「うわーーーーーんん!!!」
自分が泣きたいはずなのに、パパのほうが泣いていた

そんなに大げさに?と思ったけど

そんなパパを見て、かわいいんだからなんて思ったりした。

「よしよし!」なんて言って、パパを慰めると

「あありがどーーー」

涙と感謝の声が重なりあっていた。

大げさなパパだなあと思った。


土下座するように座ったパパを
私がよいしょっと立ち上がり、パパを持ち上げた。

女の体という点もあり、なかなか上がらなかった。
それにまだ5歳としての体であるのにも関わらず「よいっしょ!」とパパを立たせた。

「やれやれ・・」
と思いつつ。

見渡す限り、草原と少ししかない木々の間の道を
歩きつづけた

この日、パパと初めてのおでかけ。

それなのに、少し怪我しただけの大げさな日だった

草原の間の道を進んでいくと

なにも周りになかったはずなのに

夕日に照らされる一軒のシルエットが見えてきた

我が家だ

もう夕方の時間もあって家の上にそびえ立つ煙突から
おいしい匂いが漂っていた

パパも私もヘトヘトになりながらも

ドアを開けた


「ただいまあ!!」


「おかえり!」

ママは言った。







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