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第4章 沢田くんと夢の遊園地
沢田くんとお化け屋敷2
しおりを挟む異変にはすぐに気がついた。
私の決死の提案のあと、沢田くんの声が途絶えたのだ。
「沢田くん……?」
おそるおそる沢田くんの顔を覗き込むと、彼の意識は完全にどこかへ飛んでいた。目を開いたままなのに焦点があっていない。
「沢田くん、しっかりして!」
「えっ! あ、うん【あ、うんってなんだよ。金剛力士像か俺は】」
あれ、このやりとり激しくデジャヴ。
もしかして沢田くん、この小説の3ページ目まで意識が飛んでたの⁉︎ もう9万字到達しているのに、88000字遡っちゃったのっ?
意識飛びすぎだよ、沢田くん!
【いや、待って。ええええええええええーーーっ!!! 佐藤さん、今なんて⁉︎ 俺の手と佐藤さんの手をどうしろって⁉︎ 絶対に離れない接着剤で朝までくっつけておこうって──⁉︎】
そこまで言ってないよ!
「驚かせてごめんね沢田くん。やっぱり、ダメだよね……?」
私はうつむいて沢田くんを見ないようにした。見つめてしまったら、沢田くんがプレッシャーを感じて逃げ出してしまいそうで怖かったのだ。
無理って言われそうで、怖かった。だから私の方から逃げた。それなのに。
「むり……!」
予防線を張っても、それが聞こえた瞬間、ズキッと胸が痛んだ。
ああ、やっぱり沢田くんにはまだそこまでの勇気、ないよね。
ガッカリしちゃダメだ。
自分が勝手に高いハードル置いたくせに、ガッカリするなんてひどいよね。
冗談だよって言って笑っちゃおうか。ほら、笑え景子!
岩のように固まったほっぺをグニグニ引っ張ってやろうかと思った時だった。
【佐藤さん……かわいい無理かわいい。可愛すぎて逆に無理。この可愛さ天使級。え、お化け屋敷? 嘘だろ、天国の間違いだろ! ここだけは佐藤さんと手をつないでもオッケーだとか、どんだけ幸せ俺に与える気なのお化け屋敷。アホか!! 逆に死ね!!】
えっ、と思わず顔を上げると、沢田くんはプルプル震えながら私に向かって手を出した。
「……これでいい?」
わざと目をそらして呟いたその横顔に、私のハートはズッキュウウウウウン!!! と撃ち抜かれた。
え、なにこのお化け屋敷。嘘でしょ、天国の間違いでしょ! どんだけ幸せ私に与える気なの、アホか!! 逆に死ねーーーーっ!!!!
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