沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第3章 沢田くんと炎のドッジボール

沢田くんとハニートラップ

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「二人きりで話って……?」
 なんだろう。森島くんはにっこり笑っているけど、黒さがちょっと滲み出ている。
 
【森島くん、あんなに佐藤さんに近づいて……。何を話してるんだ⁉︎ き、気になる……!!】
 沢田くんは落ち着かない様子で何度も私たちに視線を送っていた。すると、

「じゃあ、行こうか」
 さりげなく、森島くんが私の背中に触れた。

【ああああああああああああ~~~っ!!! さ、さ、触った……!!。゚(゚´Д`゚)゚。】

 沢田くんの悲痛な叫び声がして、私はすぐに森島くんから離れた。

「話ならここで聞くよ。早く話して」
 
【ちっ】

 森島くんは心の中で舌打ち。よくもまあここまで内面と外面のキャラを変えられるものだと感心する。

【まあいいか。沢田もこっちを見ているし、これはこれで好都合か】

 森島くんの呟きで、私はなんとなく彼の意図を察した。
 つまり、森島くんは沢田くんを動揺させようとしているのだ。


「佐藤さん、髪の毛切って正解だったよね。超可愛いよ」
「……ありがとう」
「あと、今日大活躍なんだって? すごいな。特訓でもしたの?」
「うん、まあ、少し……」
「そっか。やっぱり、沢田が狙いなの?」


 森島くんは声のトーンを落として私だけに聞こえるようにささやく。
「だったらちょっと残念だな。佐藤さんとは敵になりたくなかったから」

 寂しそうな眼差しでドキドキさせるような一言。
 普通の女子なら多分一発アウトだろうと思うけど。


【沢田は試合中に佐藤さんが狙われると自分が身代わりになってまで助けようとしたっていう噂だからな。佐藤さんとの仲を引き裂けば、沢田のモチベーションは下がってBチームは自滅する。フフフ……】


 残念ながら、森島くんの心の声は私にダダ漏れですからね。
 どんな卑怯な手を使おうと、私には通用しないよ!

 けど。


【佐藤さんが、森島くんと仲良くしゃべっている──。゚(゚´Д`゚)゚。ただそれだけなのに何故だろう、胸が痛いっ……!】


 残念ながら、沢田くんにはめっちゃ効いてるんだな、これが!
 どうしよう、このままだと沢田くんのモチベーションが下がっちゃう!!



 
 
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