沢田くんはおしゃべり

ゆづ

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第3章 沢田くんと炎のドッジボール

沢田くんと作戦会議2

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「前に出たか。いい度胸だな、沢田。決着をつけようぜ!」

 小野田くんが怖い笑顔ですごむ。でも心の中は、

【なーんてな! いっぺん言ってみたかったんだよな~こんな悪者のセリフ!ヽ(*^ω^*)ノ】

 はしゃぎすぎですよ、この人。一方の沢田くんは、

【はああああ~~! 殺されるよ~~!!。゚(゚´ω`゚)゚。】

 せっかくカッコ良かったのに、ぴよこに逆戻り。
 この後、どうなっちゃうんだろう??


「行くぞ沢田!!」
 小野田くんが大きなフォームで振りかぶる!


【くらえっ!! 獅子千烈大火焔ししせんれつだいかえん地獄車じごくぐるまーーーーっ!!!】


 ヤバいよ小野田くん!
 なんか、厨二っぽい必殺技名つけてるーーー!!!
 すると沢田くんは静かに手のひらをZの形に動かして刮目かつもくした!


【ぼっちボール、シン最終奥義……『こころのかべ』!!!】


 こっちも色んな意味でヤバい奥義を出して来た!!!
 その部分カタカナにしたらあからさまだからやめてーっ!!


 うおおおおお!! と雄叫びをあげて小野田くんがシュートを放った。
 試合も終盤なのに衰えない勢いで飛んでくる豪速球!


【体の中心で──受け止める!!】

 
 次の瞬間、沢田くんの体が衝撃で押され、数十センチ後退した。
 沢田くんを中心にして衝撃波の風が生まれ、波紋のように広がる。
 私は一瞬、砂煙が目に入って顔を背けた。

 いったい、どうなったの……⁉︎

 すぐに目をこすってよく見ると、ボールは……沢田くんの腕の中に収まっていた。
 あの豪速球を、沢田くんが正々堂々と受け止めたのだ──。


【やった……!】
「す……すごい!」
 
 Bチームからも大歓声が響く。
 やっぱりやればできる男、沢田空。クールで熱いチームリーダー、沢田空。
 みんなの歓声からはそんな言葉が乱れ飛ぶ。


 私は思わず沢田くんのそばに駆け寄った。


「やったね、沢田くん!」
「さ、佐藤さん……俺……【ボール、取れたよっ。゚(゚´ω`゚)゚。】」

 泣きそうな沢田くんに、私ももらい泣きしそうになりながら言った。

「沢田くん……カッコ良かったよ!!!」


 その時だ。
 私を見た沢田くんの目がこれ以上ないほど大きく見開かれた。


【かっ……カッコ……良かった……⁉︎】

 
 しまった、と思った時にはもう遅かった。


【佐藤さんが俺のことカッコ良かったって……うわあああああ、心臓があああ!!! ズッキュウウウウウウン!!】


 沢田くんはボールを抱えたまま地面に倒れ込んだ。
 
 

「さ……沢田くーん!!」


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