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第1章 沢田くんと恋の予感
沢田くんとお弁当3
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言っちゃっていいかな。
私は美味しそうにご飯を食べる沢田くんを見ながら思う。
もし良かったら、これからも一緒にお弁当食べない?
……なーんて、やっぱり言えない。彼女でもないのに、おこがましいよね。
【優しい人だな、佐藤さん】
沢田くんの心の声が、風に乗って綿毛のようにふわふわと私に届く。
【消しゴムの時もそうだったけど、よく気がついてくれて、嫌味とか全然ないし……こんないい人、初めて】
やばい。耳が赤くなりそう。
【これからも……佐藤さんと一緒にお弁当食べられたらいいのに】
私は思わず沢田くんの横顔を見た。
彼の真っ直ぐな瞳は、空に向けられている。
ドッドッドッドッとやけにうるさい音が聞こえると思ったら、私の心臓の音だった。
どうしよう。勇気を出して……言っちゃう⁉︎
沢田くんとお弁当、ずっと一緒に食べたいよって。
本当に、言っちゃう⁉︎
スカートの上に置いた手を握りしめて、「あの……」と言いかけた時だ。
【あっ! 俺いま調子に乗った⁉︎ バカバカバカバカ、佐藤さんが俺みたいなネクラと一緒にごはんなんて食べたいと思うわけないだろーっ! この身の程知らずのバカチンがーっ!!!】
沢田くんは急に私の方にキリッとした顔を向けて、ペコッと小さく頭を下げた。
【ありがとう、佐藤さん……素敵な時間を過ごさせてもらいましたよ】
いえいえ、と私も頭を下げると、沢田くんはその間にそそくさと弁当箱に蓋をして、脱兎のごとく屋上を出ていってしまった。
しばらく呆然とそれを見送った後、私は青い空に向かってため息をついた。
「あーあ……勇気、もっと早く出せば良かった」
また明日、誘ってみようかな?
うーん……やっぱり私みたいな地味キャラが沢田くんを誘うとか。身の程知らずもいいところだよね。
いつの間にか沢田くんと同じことを考えていることに気づいて、私は頬を緩めた。
私と沢田くんって、実は似たもの同士なのかもしれない。
私は美味しそうにご飯を食べる沢田くんを見ながら思う。
もし良かったら、これからも一緒にお弁当食べない?
……なーんて、やっぱり言えない。彼女でもないのに、おこがましいよね。
【優しい人だな、佐藤さん】
沢田くんの心の声が、風に乗って綿毛のようにふわふわと私に届く。
【消しゴムの時もそうだったけど、よく気がついてくれて、嫌味とか全然ないし……こんないい人、初めて】
やばい。耳が赤くなりそう。
【これからも……佐藤さんと一緒にお弁当食べられたらいいのに】
私は思わず沢田くんの横顔を見た。
彼の真っ直ぐな瞳は、空に向けられている。
ドッドッドッドッとやけにうるさい音が聞こえると思ったら、私の心臓の音だった。
どうしよう。勇気を出して……言っちゃう⁉︎
沢田くんとお弁当、ずっと一緒に食べたいよって。
本当に、言っちゃう⁉︎
スカートの上に置いた手を握りしめて、「あの……」と言いかけた時だ。
【あっ! 俺いま調子に乗った⁉︎ バカバカバカバカ、佐藤さんが俺みたいなネクラと一緒にごはんなんて食べたいと思うわけないだろーっ! この身の程知らずのバカチンがーっ!!!】
沢田くんは急に私の方にキリッとした顔を向けて、ペコッと小さく頭を下げた。
【ありがとう、佐藤さん……素敵な時間を過ごさせてもらいましたよ】
いえいえ、と私も頭を下げると、沢田くんはその間にそそくさと弁当箱に蓋をして、脱兎のごとく屋上を出ていってしまった。
しばらく呆然とそれを見送った後、私は青い空に向かってため息をついた。
「あーあ……勇気、もっと早く出せば良かった」
また明日、誘ってみようかな?
うーん……やっぱり私みたいな地味キャラが沢田くんを誘うとか。身の程知らずもいいところだよね。
いつの間にか沢田くんと同じことを考えていることに気づいて、私は頬を緩めた。
私と沢田くんって、実は似たもの同士なのかもしれない。
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