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ラカトリア学園 高等部
70 ミーアの想い 1
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泣いているミーアを俺は振りほどくことも出来ず。
声をかけることも躊躇っていた。
「本当に、良かったです。アレス様が、居なくってずっと不安でした」
俺なんかのことを本気で心配していたのだろうか?
何も言わず勝手に居なくなって、うす汚れた格好をした俺を見てどう思ったのだろう。
「もしかしたらと思うと……私は」
強く抱きしめられたことで、俺はそのぬくもりよりも罪悪感に包まれていた。ミーアが流している涙は、俺が流させているからか?
何でここに二人がいるのか……何も言わず居なくなった俺を、この部屋で帰りを待っていたというのか?
完全に突き放すこともなく、中途半端に続けた結果がこれなのか?
「悪かった」
「何をされていても構いません。ですが、何か一言だけでも残してください。私でなくとも良いのです。置いていかれるのには慣れておりますから」
言葉が出なかった。
置いていかれる……あの時の事を言っているのだろう。
理由もなく突然突き放したあの日のことを……それでも彼女は俺から離れようとはしなかった。
脳裏には、幼いミーアが泣いている姿が写っていた。
あの頃のように、笑って過ごしてくれればそれだけで良かった。その隣に俺の姿がなかったとしても……俺には達成することがあるから。
「アレス様とこの学園でまた会えただけで、こうして触れ合えるだけで私はそれで十分なのです」
学園で出会った時も、もしレフリアが居なければあの時俺の所へと来ていたのかもしれない。
だからこそ、彼女とはちゃんと切り離すべきだったんだ……俺の押さえが効かなくなる前に、これ以上俺なんかのことでミーアを悲しませないため。
アレスが……ミーアを本気で好きにならないためにも!
「ミーア。そろそろ離してくれ」
「嫌です。離したくはありません」
腕を掴み引き離そうとすると、両腕に力を込めて強く抱きしめている。
今パメラを起こせばミーアは離れてくれるだろうか? 最悪二人に抱きつかれる可能性すらある。
引き剥がそうにも、首を何度も振り止めるように促してくる。
「ミーア頼む。乱暴なことはしたくはない」
「もう少しだけでいいので、お願いします」
俺は掴んでいた手をそのままミーアの頭へと伸ばすと、その手に彼女は頬を当ててきた。
流されてどうする……ミーアは俺じゃなくて、婚約者であるアレスを好きなだけで、ゲームではこれが当たり前のことなんだ。
そのシナリオを壊すためにも、嫌われる必要があった。それだというのに、俺は何をやっている?
この想いさえも、今の俺がアレスになっているからこそ生まれたもの。だからあの時ミーアに心惹かれただけなんだ。
この世界は元々そう決まっていたゲームなんだ!
今こうしている仕草に嬉しいと思うのも、指に合わなくなったあの指輪を未だに首から下げて大事にしてくれているのも、全部作られたまがい物にしか過ぎない。
あの時、あの誕生日の日に、俺はアレスとして生きることを決意した。
その結果がこれか?
ミーアとこの場所を見たことで、例えどんなに罵られようとも、惨めだろうとも!
殺したりはしないと、そんなことは絶対にしないと!
だが、俺はそのためだけの存在でいい……この苦しみもただのまがい物だ。
頭ではそんな事をわかっていたつもりで、流されていただけに過ぎない。
ミーアのためにと、後付にして来た結果がこれなんだ!
両手で優しくつつみ、頬で手の感触を感じ取っているミーア。
俺はその手を乱暴に振り払った。
「アレス様?」
「いい加減にしろ! お前達はすぐに自分の部屋に戻れ!」
ミーアの肩を押し、布団ごと寝ていたパメラの床に転げるように落とした。
俺は後何をすればいい……何をすればお前達は離れてくれる。
パメラは俺の顔を見るなり、手を伸ばし抱きつこうとしたがその手を叩いた。
「アレス様。どうして……なぜですか?」
声をかけることも躊躇っていた。
「本当に、良かったです。アレス様が、居なくってずっと不安でした」
俺なんかのことを本気で心配していたのだろうか?
何も言わず勝手に居なくなって、うす汚れた格好をした俺を見てどう思ったのだろう。
「もしかしたらと思うと……私は」
強く抱きしめられたことで、俺はそのぬくもりよりも罪悪感に包まれていた。ミーアが流している涙は、俺が流させているからか?
何でここに二人がいるのか……何も言わず居なくなった俺を、この部屋で帰りを待っていたというのか?
完全に突き放すこともなく、中途半端に続けた結果がこれなのか?
「悪かった」
「何をされていても構いません。ですが、何か一言だけでも残してください。私でなくとも良いのです。置いていかれるのには慣れておりますから」
言葉が出なかった。
置いていかれる……あの時の事を言っているのだろう。
理由もなく突然突き放したあの日のことを……それでも彼女は俺から離れようとはしなかった。
脳裏には、幼いミーアが泣いている姿が写っていた。
あの頃のように、笑って過ごしてくれればそれだけで良かった。その隣に俺の姿がなかったとしても……俺には達成することがあるから。
「アレス様とこの学園でまた会えただけで、こうして触れ合えるだけで私はそれで十分なのです」
学園で出会った時も、もしレフリアが居なければあの時俺の所へと来ていたのかもしれない。
だからこそ、彼女とはちゃんと切り離すべきだったんだ……俺の押さえが効かなくなる前に、これ以上俺なんかのことでミーアを悲しませないため。
アレスが……ミーアを本気で好きにならないためにも!
「ミーア。そろそろ離してくれ」
「嫌です。離したくはありません」
腕を掴み引き離そうとすると、両腕に力を込めて強く抱きしめている。
今パメラを起こせばミーアは離れてくれるだろうか? 最悪二人に抱きつかれる可能性すらある。
引き剥がそうにも、首を何度も振り止めるように促してくる。
「ミーア頼む。乱暴なことはしたくはない」
「もう少しだけでいいので、お願いします」
俺は掴んでいた手をそのままミーアの頭へと伸ばすと、その手に彼女は頬を当ててきた。
流されてどうする……ミーアは俺じゃなくて、婚約者であるアレスを好きなだけで、ゲームではこれが当たり前のことなんだ。
そのシナリオを壊すためにも、嫌われる必要があった。それだというのに、俺は何をやっている?
この想いさえも、今の俺がアレスになっているからこそ生まれたもの。だからあの時ミーアに心惹かれただけなんだ。
この世界は元々そう決まっていたゲームなんだ!
今こうしている仕草に嬉しいと思うのも、指に合わなくなったあの指輪を未だに首から下げて大事にしてくれているのも、全部作られたまがい物にしか過ぎない。
あの時、あの誕生日の日に、俺はアレスとして生きることを決意した。
その結果がこれか?
ミーアとこの場所を見たことで、例えどんなに罵られようとも、惨めだろうとも!
殺したりはしないと、そんなことは絶対にしないと!
だが、俺はそのためだけの存在でいい……この苦しみもただのまがい物だ。
頭ではそんな事をわかっていたつもりで、流されていただけに過ぎない。
ミーアのためにと、後付にして来た結果がこれなんだ!
両手で優しくつつみ、頬で手の感触を感じ取っているミーア。
俺はその手を乱暴に振り払った。
「アレス様?」
「いい加減にしろ! お前達はすぐに自分の部屋に戻れ!」
ミーアの肩を押し、布団ごと寝ていたパメラの床に転げるように落とした。
俺は後何をすればいい……何をすればお前達は離れてくれる。
パメラは俺の顔を見るなり、手を伸ばし抱きつこうとしたがその手を叩いた。
「アレス様。どうして……なぜですか?」
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