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転生した異世界の生活
08 異世界の街へ 1
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それから二ヶ月が経ち、今の生活にも慣れ始めてきた。それでも、姉上によりおもちゃは続いてはいるが、これはもはや俺は諦めている
そんな中でも体力作りは順調で、屋敷の中をある程度歩き回っても疲れて休憩することも少なくなった。
寝る前の筋トレは意外と効果的なようで、もう少し量を増やしてもいい頃かもしれないな。
「アレス様。本日は街へ行ってみませんか?」
「街に? いいの? 行ってみたい」
「それでは、馬車の用意を、アレス様はこちらでお待ち下さい」
「うん、ありがとう」
街か、ここからだとよく見えないし一体どんな感じなんだろう。
ゲームのような町並みでも、実際見るとでは違うんだろうな。
「セドラ!!」
「離せソフィ。私はアレス様の支度で忙しいだ」
「私達を置いて、二人で街に行くなんて許しません! アークに言いつけますよ」
「アレス様が街に行きたいと申されているのです。私はアレス様の専用執事。私がお仕えしているのは旦那様ではなく、アレス様唯一人です。だから、お前は屋敷でじっとしていろ」
何というか無茶苦茶な会話だ。
母上からすれば、俺と一緒に出掛けたいとは思うだろうけど……でもねセドラ、誘ってきたのはセドラだった気がするのだけど。言い争っているので……あえて余計なことは言わないでおこう。
「よりにもよってこの日を選ぶなんて、貴方図ったわね」
「さて、なんの事でございましょうか。私には分かりかねますので、それでは失礼します。奥様」
いくら何でも、あからさま過ぎる。それにしても、煽る必要がどこにあるんだよ。
今日という日がセドラにとって何か都合がいいのだろうけど……あー、母上泣いちゃっているよ。
これまで外に出掛けるということも無かったのだから、悔しい気持ちになるのも分かる。
俺も甘い言葉に惑わされて、家族のことをもう少し考えるべきだったな。
「今に見てなさいよ……セドラ!!」
それにしても、母上の言うこの日とは一体なんだろう?
この二人は本当に仲が悪いように見えるけど、父上はどう思っているのだろう?
用意された馬車に乗る……勿論抱えられてだけど。セドラの前で、何かを一人でやるなんて出来る気がしてない。
今はまだこうして何もかもが支えられているのを、甘じて受け入れるほかない。
「セドラ、窓から外を眺めててもいいかな?」
「勿論ですとも。ただ揺れますので、私めが支えてもよろしいですかな?」
「うん、おねがい」
「このセドラ。全身全霊を持ちましてアレス様を支えましょう」
「え、あ、うん」
セドラの大げさな対応にやっぱり戸惑ってしまう。
俺を抱えて膝を付き窓から見えるようにしてくれる。俺が言えば断ることはないのだろうけど、けど反省する必要があるよな。
屋敷から見えていた壁は、まるで城壁のよう丸く覆っている。門を抜けると家々が立ち並んでいた。
「ねぇ、セドラ。屋敷の周りはなんで壁に囲まれているの?」
「どこから説明すればよろしいでしょうか。この大陸は、全てグルドラリア王国が治めております。王国を中心として、五つの公爵領に分けているのです。ここはその公爵領の中心のローバン家。厳重な警備をするためにもこうして壁を隔てることで安全が保たれているのです」
警備目的のために作られたというわけか。
そこまでしないといけない理由はなんだろう?
「王国だけだと、管理できないから公爵が各々の領地を管理しているというわけか」
「さすがアレス様、ご聡明でありますな」
「ねぇセドラ。僕の家庭教師になってよ。もっと色んなことが知りたい」
「私に、でございますか?」
「もちろんだよ」
いや、あの、嬉しいのかもしれないけどさ、まず涙を拭こうね?
俺を支えているのが優先だから、涙を拭くことはしない。ハンカチを持っていなかったので、袖で涙を拭うと、それもまた嬉しそうに微笑んでいた。
そんな中でも体力作りは順調で、屋敷の中をある程度歩き回っても疲れて休憩することも少なくなった。
寝る前の筋トレは意外と効果的なようで、もう少し量を増やしてもいい頃かもしれないな。
「アレス様。本日は街へ行ってみませんか?」
「街に? いいの? 行ってみたい」
「それでは、馬車の用意を、アレス様はこちらでお待ち下さい」
「うん、ありがとう」
街か、ここからだとよく見えないし一体どんな感じなんだろう。
ゲームのような町並みでも、実際見るとでは違うんだろうな。
「セドラ!!」
「離せソフィ。私はアレス様の支度で忙しいだ」
「私達を置いて、二人で街に行くなんて許しません! アークに言いつけますよ」
「アレス様が街に行きたいと申されているのです。私はアレス様の専用執事。私がお仕えしているのは旦那様ではなく、アレス様唯一人です。だから、お前は屋敷でじっとしていろ」
何というか無茶苦茶な会話だ。
母上からすれば、俺と一緒に出掛けたいとは思うだろうけど……でもねセドラ、誘ってきたのはセドラだった気がするのだけど。言い争っているので……あえて余計なことは言わないでおこう。
「よりにもよってこの日を選ぶなんて、貴方図ったわね」
「さて、なんの事でございましょうか。私には分かりかねますので、それでは失礼します。奥様」
いくら何でも、あからさま過ぎる。それにしても、煽る必要がどこにあるんだよ。
今日という日がセドラにとって何か都合がいいのだろうけど……あー、母上泣いちゃっているよ。
これまで外に出掛けるということも無かったのだから、悔しい気持ちになるのも分かる。
俺も甘い言葉に惑わされて、家族のことをもう少し考えるべきだったな。
「今に見てなさいよ……セドラ!!」
それにしても、母上の言うこの日とは一体なんだろう?
この二人は本当に仲が悪いように見えるけど、父上はどう思っているのだろう?
用意された馬車に乗る……勿論抱えられてだけど。セドラの前で、何かを一人でやるなんて出来る気がしてない。
今はまだこうして何もかもが支えられているのを、甘じて受け入れるほかない。
「セドラ、窓から外を眺めててもいいかな?」
「勿論ですとも。ただ揺れますので、私めが支えてもよろしいですかな?」
「うん、おねがい」
「このセドラ。全身全霊を持ちましてアレス様を支えましょう」
「え、あ、うん」
セドラの大げさな対応にやっぱり戸惑ってしまう。
俺を抱えて膝を付き窓から見えるようにしてくれる。俺が言えば断ることはないのだろうけど、けど反省する必要があるよな。
屋敷から見えていた壁は、まるで城壁のよう丸く覆っている。門を抜けると家々が立ち並んでいた。
「ねぇ、セドラ。屋敷の周りはなんで壁に囲まれているの?」
「どこから説明すればよろしいでしょうか。この大陸は、全てグルドラリア王国が治めております。王国を中心として、五つの公爵領に分けているのです。ここはその公爵領の中心のローバン家。厳重な警備をするためにもこうして壁を隔てることで安全が保たれているのです」
警備目的のために作られたというわけか。
そこまでしないといけない理由はなんだろう?
「王国だけだと、管理できないから公爵が各々の領地を管理しているというわけか」
「さすがアレス様、ご聡明でありますな」
「ねぇセドラ。僕の家庭教師になってよ。もっと色んなことが知りたい」
「私に、でございますか?」
「もちろんだよ」
いや、あの、嬉しいのかもしれないけどさ、まず涙を拭こうね?
俺を支えているのが優先だから、涙を拭くことはしない。ハンカチを持っていなかったので、袖で涙を拭うと、それもまた嬉しそうに微笑んでいた。
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