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ラカトリア学園 高等部

77 新しい生活? 2

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 それにしても、二人が交代で俺の部屋に来ているのは、俺のことを信用していないからなのだろうか?
 そろそろ一人で寝たいところなのだが……男の子の事情というものを察して欲しいものだ。

「謹慎も今日で最後だろ?」

「そうですね。この課題が終わればそうなりますね」

「なら二人は、今日から自分の部屋に戻るよな? あのベッドも撤去でいいよな?」

「そのつもりはありません。そもそも、本来であれば私だけがアレス様の自室に居るはずなのですが……」

「いや、それは違うよな」

 俺がそういうと、ミーアは少しだけムッとした表情へと変わる。
 以前よりも近い存在になったことで、ミーアにも少しだけ変化が見られるようになった。
 ミーアだけに押し付けては居ないはず? というか、自室まで監視する必要はなかったと思うけど?
 二人はあの時の学園長の顔ちゃんと見てなかったんだな。

「やっと終わった」

「お疲れさまでした」

「さっさと提出して、部屋に戻って休みたい」

 部屋に戻り俺はベッドに横になりたかったのだが、俺のベッドには不自然な膨らみがあった。
 俺はため息をつき、それを放置して床に寝そべった。
 遅れて入ってきたミーアは布団を剥ぎ取り、パメラに対して文句を言っていた。
 しかし、そこで黙って聞いていないのがパメラであり、最終的に俺に意見を求めてくる。

「パメラが悪い」

「間違えただけなんです。本当なんですよ。というかそのまま入ってくればいいじゃないですか!」

「お前の匂いがついた布団で寝るとか、どんな拷問だよ」

 これはミーアの場合でも同じことだが、女の子の匂いがする布団で寝るなんて、男子には色々と問題があるのをこの二人は全く理解をしていない。
 まだ昼間だと言うのに、こいつは寝間着姿で寝ていたのだ。
 ただでさえ、毎晩同じ部屋で寝るというだけでしんどいのに……俺は聖人でも賢者でもないんだぞ?

「拷問っていくら何でも酷すぎます!」

「それでしたら私の匂いで……」

「馬鹿なこと言うな。どっちも同じことだ勘弁してくれ。二人共、もう少し危機感をだな……」

 危機感も何も、二人はそのつもりでいる。先に続く言葉を言うのを止めた。
 床に置かれた布団からは、不思議といい匂いがしている。
 俺がスンスンと鼻を鳴らしていると、ミーアは慌てて布団を抱きかかえている。

 パメラはそんな事を気にもとめず、俺の方に近寄ろうとしている。
 こんなデブの何が良いんだかさっぱりわからん。
 タプタプと腹をたたく。俺なら絶対にこんなのが相手とか嫌なんだけどな。

「そんな、私がせっかく匂いをつけたのに」

「それでは、シーツも新しい物に変えましょう」

 パメラの余計な一言により、布団やシーツは窓から放り出されると、魔法によって燃え始めていた。
 窓から身を乗り出し、無残にも捨てられた布団を見ている。
 おいおい、そんな事をしたらまた寮長に怒られるんだけど……俺が!

「なるほど、最初からそのつもりでしたか……罰として一週間。いえ、一ヵ月程アレス様の自室に入らないでください」

「何言ってるのよ。それだと私のチャンスが減るのに、ミーアばっかりずるい!」

「貴方が最初に私との約束を破るのが問題なのですよ!」

「だったら言わせて貰うけど! アレスさんよりも早くに起きてミーアは一体何をしているのよ!」

 パメラは何時も朝が弱いのか、俺やミーアに起こされることが多い。
 俺よりも早くに起きているミーア。俺はあの時に触れた唇のことを思い出してしまった。

「あー、やっぱり何かあったんだ! アレスさんが顔を赤くしているなんて……ふ、二人は」

「なな、ななにもしていません。未遂です!」

 失言をしてしまったミーアは耳まで真っ赤にして……部屋から飛び出し。
 パメラは、「ハレンチ!」と言って部屋から飛び出していった。
 俺の布団で寝ていた奴が言うことなのか?

 今はこの程度で済んでいるのだが……いつ二人が俺の布団に入ってくるのか毎晩が修羅場だ。
 やっぱり……もっとちゃんとした理由をつけて、一人になることを考えたほうがいいのかもしれないな。
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