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00 プロローグ アレスの決意
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俺が転生してそろそろ十年の月日が流れた。
元々日本で役職なしの平社員だったが、激務ということもなく割と平凡な暮らしをしていたのが、それはこの異世界に来るまでの話で、今では数少ない公爵家の次男として生活をしている。
名前はアレス・ローバン。
ローバン公爵家次男として今年で十五歳になる。
なんでこんな事になったのか。
それはきっと……熱で魘されていたはずの俺は人知れず力尽き、気がついた時にはすでに今の体へと転生をしていた。
それからというもの生活はがらりと変わり、慣れない貴族としての対応だったり、最初は戸惑っていた家族も、数ヶ月も立てば当たり前のように過ごす事になっていた。
公爵家で過ごす時間はいつの間にか楽しい生活へと変わっていた。
だけど、そんな楽しい時間は、いつまでも続くことはなかった。
前世ではたったの一人すら彼女がいなかった俺に、婚約者が現れた。
彼女が危機に直面していた所を助けたことで、内容を思い出すだけで恥ずかしいのだが俺の浅はかな行動により、強制的に婚約者に仕立て上げられた。
あの時は本当に何も気が付かなかった。
婚約者の名前はミーア・シルラーン。とても可愛い女の子だ。
その子と一緒に初めて王都に行った時に、アレスとミーア、この二人が婚約者の名前に、違和感を感じていた。
この世界がなんなのか……そして、違和感の正体。
それは、一緒に暮らしていた姉に無理やりプレイさせられていた、『乙女ゲーム』と全く同じ世界だった。
その事実を知ったのは今から大体五年ぐらい前になる。
このゲームはダンジョン型RPGのため数多くのダンジョンが存在している。
進むたびに跳ね上がる敵の強さと、鬼畜とも言える仕様の数々に多くのプレイヤーがコントローラーを手放した。
俺はRPGは好きだったということもあって、暴君たる姉に逆らえない。
そんな過酷なゲームを途中まで進むと行き詰まり、ひたすら何度もやり直しプレイを続けた。そしてようやく、エンドロールまでもう少しという所で、悲劇が起こる。
本当に、最後の最後。
ラスボスを倒した直後に、ミーアの体が乗っ取られてしまう。そして、婚約者であるアレスの手によってバッドエンドを迎えることになる……。
だからそんな悲劇を回避するために、俺は婚約破棄を目標に今日まで体を鍛え続けていた。
ゲームのようなステータスウィンドウの数値化はなく、魔物を倒す事で同じようにレベルアップがあると信じて戦い続けた。
これがまたつらい所で、実感というものを感じるのに苦労する。魔物を相手に、実践による計測で自分の強さを図るしか無いからだ。
そんな苦労も全てはミーアを救うためにと、俺はローバン家の近くにあるこのダンジョンで二年以上暮らしていた。
ここは乙女ゲームの世界。
美男美女溢れ、色恋が花咲く物語の一つ。
だからこそ……俺はとある結論に辿り着く。
暴飲暴食の果てについに手に入れた。
顔も頬も丸く、笑う素顔は不気味そのもの。
鍛え上げられた手足は、ふっくらと柔らかい丸い大木。
極め付けが、誰もが憧れるワンパックボディ。
まあ、要はデブである。
あと数ヶ月で、このゲームの本編が始まる。
この乙女ゲームには、デブはいらない存在だろう。
「これなら、婚約破棄なんて楽勝だ!!」
俺は、勝利宣言のように声を荒げダンジョンのコアを破壊した。
元々日本で役職なしの平社員だったが、激務ということもなく割と平凡な暮らしをしていたのが、それはこの異世界に来るまでの話で、今では数少ない公爵家の次男として生活をしている。
名前はアレス・ローバン。
ローバン公爵家次男として今年で十五歳になる。
なんでこんな事になったのか。
それはきっと……熱で魘されていたはずの俺は人知れず力尽き、気がついた時にはすでに今の体へと転生をしていた。
それからというもの生活はがらりと変わり、慣れない貴族としての対応だったり、最初は戸惑っていた家族も、数ヶ月も立てば当たり前のように過ごす事になっていた。
公爵家で過ごす時間はいつの間にか楽しい生活へと変わっていた。
だけど、そんな楽しい時間は、いつまでも続くことはなかった。
前世ではたったの一人すら彼女がいなかった俺に、婚約者が現れた。
彼女が危機に直面していた所を助けたことで、内容を思い出すだけで恥ずかしいのだが俺の浅はかな行動により、強制的に婚約者に仕立て上げられた。
あの時は本当に何も気が付かなかった。
婚約者の名前はミーア・シルラーン。とても可愛い女の子だ。
その子と一緒に初めて王都に行った時に、アレスとミーア、この二人が婚約者の名前に、違和感を感じていた。
この世界がなんなのか……そして、違和感の正体。
それは、一緒に暮らしていた姉に無理やりプレイさせられていた、『乙女ゲーム』と全く同じ世界だった。
その事実を知ったのは今から大体五年ぐらい前になる。
このゲームはダンジョン型RPGのため数多くのダンジョンが存在している。
進むたびに跳ね上がる敵の強さと、鬼畜とも言える仕様の数々に多くのプレイヤーがコントローラーを手放した。
俺はRPGは好きだったということもあって、暴君たる姉に逆らえない。
そんな過酷なゲームを途中まで進むと行き詰まり、ひたすら何度もやり直しプレイを続けた。そしてようやく、エンドロールまでもう少しという所で、悲劇が起こる。
本当に、最後の最後。
ラスボスを倒した直後に、ミーアの体が乗っ取られてしまう。そして、婚約者であるアレスの手によってバッドエンドを迎えることになる……。
だからそんな悲劇を回避するために、俺は婚約破棄を目標に今日まで体を鍛え続けていた。
ゲームのようなステータスウィンドウの数値化はなく、魔物を倒す事で同じようにレベルアップがあると信じて戦い続けた。
これがまたつらい所で、実感というものを感じるのに苦労する。魔物を相手に、実践による計測で自分の強さを図るしか無いからだ。
そんな苦労も全てはミーアを救うためにと、俺はローバン家の近くにあるこのダンジョンで二年以上暮らしていた。
ここは乙女ゲームの世界。
美男美女溢れ、色恋が花咲く物語の一つ。
だからこそ……俺はとある結論に辿り着く。
暴飲暴食の果てについに手に入れた。
顔も頬も丸く、笑う素顔は不気味そのもの。
鍛え上げられた手足は、ふっくらと柔らかい丸い大木。
極め付けが、誰もが憧れるワンパックボディ。
まあ、要はデブである。
あと数ヶ月で、このゲームの本編が始まる。
この乙女ゲームには、デブはいらない存在だろう。
「これなら、婚約破棄なんて楽勝だ!!」
俺は、勝利宣言のように声を荒げダンジョンのコアを破壊した。
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