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学園編
139 お嬢様は誘拐される?
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「おおー。なかなかにいい街ね」
「お嬢様、あまりそのようにはしゃぎ回らないようにしてくださいね」
「誰がお上りさんよ。私は王都にいたのだからね」
ルビーからはため息をつかれ、クロはケラケラと笑っていた。
とはいえ、プルートの街に比べても行き交う人も数も多く、見慣れないものが立ち並ぶ屋台ははそれだけでも興味が出てくる。
貴族たちからすれば、全く興味すら示さない装飾品もできるだけ綺麗になるように施されている。衛生面なんて度外視の、ただ焼いただけのような肉も少しは興味がある。
「お嬢様。お一人で先に行こうとしないでください」
「いやいやいや、ワターシ、ミテタダケ」
「なんですかそれは……」
ふー、危ない危ない。好奇心とは幾つになっても逆らえないものね。
ルビーに手を引かれ、先に宿へと向かう。それでも自然と右を見たり左を見たりする分には何の問題もない。
だけど……この状態ってどう考えても子供にしか……?
「それじゃ私は、馬車の見張りをしてます」
「クロ。頼んだぞ」
それなりに高い宿であれば、金品などが奪われる可能性は低い。だけど、あの馬車の存在はメルが言うには頭がおかしい代物とまで言われる。
悪い言い方ではないのだけど、それだけ高価という意味なんでしょうね。
「それではお嬢様、少しだけ散策へと参りましょうか」
「手は繋がなくても大丈夫よ。私を誰だと思っているのよ」
威張るようなものではないのだけど……流石にあのまま歩き続けるのは恥ずかしい。
ルビーとルキアがいれば、そもそも迷子になんてなることはない。
「と、思っていたのだけどね……あの二人でも、私を探すのは難しいのかしらね?」
遠目で見るよりも、中へと入るとかなり人が多く、小さな私はスルスルと動き回れるが……二人にはそうはいかない。何より私が小さいから、一度目を離すと発見も難しくなる。
そして……後悔しているのが、後で絶対に叱られることだった。
これは、二時間は行くかもしれないわね……今から思っただけでも気が滅入ってくるよ。
「それはそうと、少し喉が渇いたわね……」
ええっとー、つまりー、一文無し?
服を叩いても、ジャンプしても全くの無意味でしかない。
ルビーがいるときは、そもそも私がお金を持つことはない。トパーズからはある程度使っていいと渡されもするが、そのお金ルビーが持っている。
この歳で迷子とかないわね……お金がないから何も出来ないし。
いや、待てよ。宿に戻ればクロがいたわね。
「宿に戻れば……宿に戻ればいい」
屋台から離れると、人通りは少なくなる。
その分危険な可能性もあるのだろうけど……あの人混みよりもルキアが私を見つける可能性も高くなる。
ただ、問題なのは……この町ってかなり入り組んでいるのね。現状において、一番やばいのは誰かに捕まるってことよね。
下手をすれば死ぬ。
「早い所、ルビー達と合流しないとね」
なんて思っていると、前方からフードを深く被った人が猛ダッシュでこちらへと走ってきている。
い、いや……気のせいよね?
あれはきっと急いでいるだけなのよね?
「あっ……あぁ」
フードを被った人は私の前で立ち止まり、脇を捕まれ高々に持ち上げられる。
声を上げることも出来ないでいた。
これはまずいわね。こんなことなら、あの場所に居たほうがまだ……
「お姉さま!」
「は?」
いやいや、私を誰と勘違いしていると言うの?
どう見ても私よりも背丈は高いのに、私を姉だと勘違いする意味がわからない。
「会いたかったです。お姉さま」
そう言われて抱きしめられるものの、私には全くの初対面だよね!?
とはいえ、余計なことを言って豹変されても私の状態からしてまずい。
ここはこの人に合わせるべきなの?
「お一人でどうされたのですか? もしかして道に迷われたのですか?」
くっ、フードだけでなく、顔には黒い布が巻かれていて、目しか見ることが出来ない。
私は二回頷き、肯定を促す。
目だけしか見えないが、笑ったかのように目を閉じている。
そして、首に手を置くように言われ左腕に腰掛け右手は落ちないようにと、体を支えてくれる。
不思議なほど、慣れた手付きね。それにして、女性みたいだけど……小さいとは言え重くはないのかしら?
なんて考えるが、私の頭の中では片手で父親を投げ飛ばすという前例のようなこともあり、そういう人もいるかと妙に納得してしまう。
私を姉だと勘違いするのなら、この人のお姉さんも私と同じ色違いだったのかしら?
「私は少し用事があるので、先にそちらへと向かってもいいですか?」
頷くと、しっかりと捕まるように言われ、さっきのように走り始めていくのだが……あ、これ、ヤバイやつ。
「お姉さま、ごめんなさい。少しここで休んでいてください」
な、なんとか持ちこたえたわ。
さすがに顔にリバースしようものなら……私の命がその瞬間に消えていたかもしれないわね。
かなり古ぼけた家のようだけど。小さい割には洗濯物が多い……町からも少し離れているわね。少し高台にあるため、街の様子が一望できるのだが……ルキアが発見してくれるという可能性はなさそうね。
「お嬢様、あまりそのようにはしゃぎ回らないようにしてくださいね」
「誰がお上りさんよ。私は王都にいたのだからね」
ルビーからはため息をつかれ、クロはケラケラと笑っていた。
とはいえ、プルートの街に比べても行き交う人も数も多く、見慣れないものが立ち並ぶ屋台ははそれだけでも興味が出てくる。
貴族たちからすれば、全く興味すら示さない装飾品もできるだけ綺麗になるように施されている。衛生面なんて度外視の、ただ焼いただけのような肉も少しは興味がある。
「お嬢様。お一人で先に行こうとしないでください」
「いやいやいや、ワターシ、ミテタダケ」
「なんですかそれは……」
ふー、危ない危ない。好奇心とは幾つになっても逆らえないものね。
ルビーに手を引かれ、先に宿へと向かう。それでも自然と右を見たり左を見たりする分には何の問題もない。
だけど……この状態ってどう考えても子供にしか……?
「それじゃ私は、馬車の見張りをしてます」
「クロ。頼んだぞ」
それなりに高い宿であれば、金品などが奪われる可能性は低い。だけど、あの馬車の存在はメルが言うには頭がおかしい代物とまで言われる。
悪い言い方ではないのだけど、それだけ高価という意味なんでしょうね。
「それではお嬢様、少しだけ散策へと参りましょうか」
「手は繋がなくても大丈夫よ。私を誰だと思っているのよ」
威張るようなものではないのだけど……流石にあのまま歩き続けるのは恥ずかしい。
ルビーとルキアがいれば、そもそも迷子になんてなることはない。
「と、思っていたのだけどね……あの二人でも、私を探すのは難しいのかしらね?」
遠目で見るよりも、中へと入るとかなり人が多く、小さな私はスルスルと動き回れるが……二人にはそうはいかない。何より私が小さいから、一度目を離すと発見も難しくなる。
そして……後悔しているのが、後で絶対に叱られることだった。
これは、二時間は行くかもしれないわね……今から思っただけでも気が滅入ってくるよ。
「それはそうと、少し喉が渇いたわね……」
ええっとー、つまりー、一文無し?
服を叩いても、ジャンプしても全くの無意味でしかない。
ルビーがいるときは、そもそも私がお金を持つことはない。トパーズからはある程度使っていいと渡されもするが、そのお金ルビーが持っている。
この歳で迷子とかないわね……お金がないから何も出来ないし。
いや、待てよ。宿に戻ればクロがいたわね。
「宿に戻れば……宿に戻ればいい」
屋台から離れると、人通りは少なくなる。
その分危険な可能性もあるのだろうけど……あの人混みよりもルキアが私を見つける可能性も高くなる。
ただ、問題なのは……この町ってかなり入り組んでいるのね。現状において、一番やばいのは誰かに捕まるってことよね。
下手をすれば死ぬ。
「早い所、ルビー達と合流しないとね」
なんて思っていると、前方からフードを深く被った人が猛ダッシュでこちらへと走ってきている。
い、いや……気のせいよね?
あれはきっと急いでいるだけなのよね?
「あっ……あぁ」
フードを被った人は私の前で立ち止まり、脇を捕まれ高々に持ち上げられる。
声を上げることも出来ないでいた。
これはまずいわね。こんなことなら、あの場所に居たほうがまだ……
「お姉さま!」
「は?」
いやいや、私を誰と勘違いしていると言うの?
どう見ても私よりも背丈は高いのに、私を姉だと勘違いする意味がわからない。
「会いたかったです。お姉さま」
そう言われて抱きしめられるものの、私には全くの初対面だよね!?
とはいえ、余計なことを言って豹変されても私の状態からしてまずい。
ここはこの人に合わせるべきなの?
「お一人でどうされたのですか? もしかして道に迷われたのですか?」
くっ、フードだけでなく、顔には黒い布が巻かれていて、目しか見ることが出来ない。
私は二回頷き、肯定を促す。
目だけしか見えないが、笑ったかのように目を閉じている。
そして、首に手を置くように言われ左腕に腰掛け右手は落ちないようにと、体を支えてくれる。
不思議なほど、慣れた手付きね。それにして、女性みたいだけど……小さいとは言え重くはないのかしら?
なんて考えるが、私の頭の中では片手で父親を投げ飛ばすという前例のようなこともあり、そういう人もいるかと妙に納得してしまう。
私を姉だと勘違いするのなら、この人のお姉さんも私と同じ色違いだったのかしら?
「私は少し用事があるので、先にそちらへと向かってもいいですか?」
頷くと、しっかりと捕まるように言われ、さっきのように走り始めていくのだが……あ、これ、ヤバイやつ。
「お姉さま、ごめんなさい。少しここで休んでいてください」
な、なんとか持ちこたえたわ。
さすがに顔にリバースしようものなら……私の命がその瞬間に消えていたかもしれないわね。
かなり古ぼけた家のようだけど。小さい割には洗濯物が多い……町からも少し離れているわね。少し高台にあるため、街の様子が一望できるのだが……ルキアが発見してくれるという可能性はなさそうね。
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