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学園編
115 お嬢様、お忘れではないですよね?
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気が重い……あの手紙を貰ってからというものの、ルビーとトパーズによって衣装を選ぶためだけに一日を使われ、メルが気に入らないと言って、三つ巴の戦いが始まる。
当然のように、私の意見など却下。そもそも聞いてすらいない……
「お嬢様には赤と黒が一番お似合いなのです」
「ルビーさんの言うのも分かるけど。ここは、可愛らしさを演出するべきなのよ」
「何を着てもお嬢様はお可愛いですわ。けれど、そんなお嬢様がピンクのドレスを着れば皆が虜になるのはもはや必然」
それは勘弁して欲しい。けど、トパーズの選んでいるのって……一番私が着たくないのよ。
下着姿にされているものだから、廊下にも出れやしない。
私としては気にもしないけど、この三人がいるのにそんな事をすれば説教へと変わるのが目に見えている。
メルは青のドレス……ただリボンが多く、何よりも隣に置かれている大きな箱も気になる。
「となると、一度着たことのあるルビーが勧めてくれるドレスがまだましか?」
なんてことを考えていると、啀み合っていた三人は私へと目を向けてくる。
何をそんなに驚いているのかしら?
ルビーは咳払いをして、まるで勝ち誇った顔をしていた。
「かしこまりました。お嬢様」
「贔屓はずるい」
「今度は必ず私を選んでくださいよ?」
一体何の話をしているの?
よく分からないうちに、私のドレスはルビーが選んだものに決まる。
着たことがあるの物なのだけど、全く同じというわけではないらしい。少しだけデザインも変わっているようにも思える。が、ぼやっとしか覚えていないため同じものだと言われる違うとも言い切れない。
こんなドレスは着る機会が少ないから、覚えているほうがおかしいよね。
「確かに、ルビーさんが言うようによく似合っている。でも……」
「もう何でも……良くはないけど」
何でもと言った所でトパーズの目の色が変わった。こういう事に関しては投げやりになってしまうから、それを狙っていた可能性があるわね。
最近のトパーズは大人しくなってくれているので、たまには話を聞いてあげても良かったのかもしれない。
「決まったのなら当日はその服ってことで、そろそろ今着る服を用意してほしいのだけど?」
そういうと、ルビーがベルを鳴らしぞろぞろとメイドたちがやって来る。
決まったドレスは、レースをかけられ慎重に部屋から出されていく。そして、なんで二人はじゃんけんをやっているのかしら……
「よっしゃーー!!」
「くっ、卑怯な」
トパーズは、椅子に足をおいて両手を高々に上げていた。メルも悔しそうにしている……ドレスはレースをかけられることもなく撤去され、私の周りをメイドたちが取り囲む。
ドレスを持ったまま、トパーズが嬉しそうにこちらへとやってくる。
「ルビーこれはどういうことなの?」
「どうと申されましても……以前決めたお約束をお忘れなのですか?」
「約束?」
一体なんの事?
「お嬢様。今日から夏季休暇に入りました」
「そうね。八月に入ったからね……メイドたちが仕える日ではないはずよ?」
「休日はイクミちゃんに仕えることになっているよね? なら、夏季休暇は休日よね?」
メルがそう言い切ると、メイド達はニッコリとしている。
これから一ヶ月ものの間、ずっとあんな日が続くというの!?
「あれは、祝日を含んでいただけで夏季休暇は当てはまらないでしょ!」
すると、メイド達は一斉に膝をつき泣き崩れている。
罪悪感から私に納得させるつもりよねこれは……誰の差し金なのかは予想できるけど、どう見てもウソ泣きにしか見えない。
奴隷紋を使えば止めさせれるけど、それだと反感を買うだけでしか無い。むしろ今よりもっと悪い状況へと変わる可能性がある。
「ドレスは今日だけだよ。明日からは普段着にしてよね」
「もう一声!」
貴方は少し黙っててよ!
これ以上私で遊ぼうと考えないで!
メルが来てからというもの、料理だけで終わるのなら良いものの、ここぞとばかりに煽り皆の期待をあえて大きくしたりする。
酷い時には、ルルを使うという卑怯な手も平然としてくる。あれは本当に卑怯としか言いようがない。
「わかったわ、私の隣には二人付きなさい。でも、途中の交代は認めないからね」
「「「かしこまりました」」」
つくづく甘いわね。私って本当にこの屋敷の主であっているのかしらね?
こんな事を私ばかりというのも癪よね。
「メル。今日は私の友人として一緒にドレスを着なさい」
「え? いいの? やったー」
喜んでいるメルと一緒にメイド達を連れて嬉しそうに出ていった。
私が思っていたのと違う反応だったわね……ルビーお願いだから、そんな目で見ないで。
八月三日。
王宮でパーティーが開催される日となり、用意されたドレスを着せられるが、メルの姿に正直見惚れるほどに美しく見えた。
化粧は化けるとは言うけど、私の変化よりもメルのほうが異常なのかしら?
「メルは本当に綺麗ね」
「ありがと、イクミちゃんも可愛いから大丈夫よ」
何が大丈夫だというのがわからないけど……これから行く所が分かっているはずなのに随分と余裕があるみたいね。
私はこういうのは苦手だけど、メルはそうではないのかもしれないわね。
当然のように、私の意見など却下。そもそも聞いてすらいない……
「お嬢様には赤と黒が一番お似合いなのです」
「ルビーさんの言うのも分かるけど。ここは、可愛らしさを演出するべきなのよ」
「何を着てもお嬢様はお可愛いですわ。けれど、そんなお嬢様がピンクのドレスを着れば皆が虜になるのはもはや必然」
それは勘弁して欲しい。けど、トパーズの選んでいるのって……一番私が着たくないのよ。
下着姿にされているものだから、廊下にも出れやしない。
私としては気にもしないけど、この三人がいるのにそんな事をすれば説教へと変わるのが目に見えている。
メルは青のドレス……ただリボンが多く、何よりも隣に置かれている大きな箱も気になる。
「となると、一度着たことのあるルビーが勧めてくれるドレスがまだましか?」
なんてことを考えていると、啀み合っていた三人は私へと目を向けてくる。
何をそんなに驚いているのかしら?
ルビーは咳払いをして、まるで勝ち誇った顔をしていた。
「かしこまりました。お嬢様」
「贔屓はずるい」
「今度は必ず私を選んでくださいよ?」
一体何の話をしているの?
よく分からないうちに、私のドレスはルビーが選んだものに決まる。
着たことがあるの物なのだけど、全く同じというわけではないらしい。少しだけデザインも変わっているようにも思える。が、ぼやっとしか覚えていないため同じものだと言われる違うとも言い切れない。
こんなドレスは着る機会が少ないから、覚えているほうがおかしいよね。
「確かに、ルビーさんが言うようによく似合っている。でも……」
「もう何でも……良くはないけど」
何でもと言った所でトパーズの目の色が変わった。こういう事に関しては投げやりになってしまうから、それを狙っていた可能性があるわね。
最近のトパーズは大人しくなってくれているので、たまには話を聞いてあげても良かったのかもしれない。
「決まったのなら当日はその服ってことで、そろそろ今着る服を用意してほしいのだけど?」
そういうと、ルビーがベルを鳴らしぞろぞろとメイドたちがやって来る。
決まったドレスは、レースをかけられ慎重に部屋から出されていく。そして、なんで二人はじゃんけんをやっているのかしら……
「よっしゃーー!!」
「くっ、卑怯な」
トパーズは、椅子に足をおいて両手を高々に上げていた。メルも悔しそうにしている……ドレスはレースをかけられることもなく撤去され、私の周りをメイドたちが取り囲む。
ドレスを持ったまま、トパーズが嬉しそうにこちらへとやってくる。
「ルビーこれはどういうことなの?」
「どうと申されましても……以前決めたお約束をお忘れなのですか?」
「約束?」
一体なんの事?
「お嬢様。今日から夏季休暇に入りました」
「そうね。八月に入ったからね……メイドたちが仕える日ではないはずよ?」
「休日はイクミちゃんに仕えることになっているよね? なら、夏季休暇は休日よね?」
メルがそう言い切ると、メイド達はニッコリとしている。
これから一ヶ月ものの間、ずっとあんな日が続くというの!?
「あれは、祝日を含んでいただけで夏季休暇は当てはまらないでしょ!」
すると、メイド達は一斉に膝をつき泣き崩れている。
罪悪感から私に納得させるつもりよねこれは……誰の差し金なのかは予想できるけど、どう見てもウソ泣きにしか見えない。
奴隷紋を使えば止めさせれるけど、それだと反感を買うだけでしか無い。むしろ今よりもっと悪い状況へと変わる可能性がある。
「ドレスは今日だけだよ。明日からは普段着にしてよね」
「もう一声!」
貴方は少し黙っててよ!
これ以上私で遊ぼうと考えないで!
メルが来てからというもの、料理だけで終わるのなら良いものの、ここぞとばかりに煽り皆の期待をあえて大きくしたりする。
酷い時には、ルルを使うという卑怯な手も平然としてくる。あれは本当に卑怯としか言いようがない。
「わかったわ、私の隣には二人付きなさい。でも、途中の交代は認めないからね」
「「「かしこまりました」」」
つくづく甘いわね。私って本当にこの屋敷の主であっているのかしらね?
こんな事を私ばかりというのも癪よね。
「メル。今日は私の友人として一緒にドレスを着なさい」
「え? いいの? やったー」
喜んでいるメルと一緒にメイド達を連れて嬉しそうに出ていった。
私が思っていたのと違う反応だったわね……ルビーお願いだから、そんな目で見ないで。
八月三日。
王宮でパーティーが開催される日となり、用意されたドレスを着せられるが、メルの姿に正直見惚れるほどに美しく見えた。
化粧は化けるとは言うけど、私の変化よりもメルのほうが異常なのかしら?
「メルは本当に綺麗ね」
「ありがと、イクミちゃんも可愛いから大丈夫よ」
何が大丈夫だというのがわからないけど……これから行く所が分かっているはずなのに随分と余裕があるみたいね。
私はこういうのは苦手だけど、メルはそうではないのかもしれないわね。
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