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学園編
68 お嬢様とキラキラとした男子生徒
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クラスは全部で六クラス。単純に考えるとAがトップであるのなら私のクラスはFだろう……
E……もない。DC……そうだ。私の名前は書かれていない。そんなことだったら嬉しいのだけど……とはいえ、筆記だけでB判定というのもなんだかな。
Aのクラスは特別なのか書いてある文字が少ない。少数精鋭ってことなんだろうね。
私なんかがBでいいとも思わないけど……おかしいな。私の名前が見えなくもない。
そう、私が見ているその隣りに見慣れた文字が見える。
BやCのクラスは二列になっている。Dに関しては三列もあったりするのに……私の名前が書かれている所は一列しか存在していない。
「おかしい……私が、Aクラス? これは、何の冗談かしら。見間違いだよね?」
何度見ても、間近くから見上げてもそれは変わることがなかった。
おかしい……どう考えてもおかしい。
数が少ないということは、それだけ特別なクラスというのはわかる。そんなことってあり得るの?
筆記に関しては良いほうだとは思うけど、それだけでこんな事になるものなの?
「あの、そろそろ入学式が始まりますよ?」
「いえ、私の名前が……」
「もしかしてなかったのですか?」
騎士の正装を身に着けている女性に話しかけられてしまう。
ここの教師だろうか?
それとも私を不審に思ったのだろうか?
「ありますよ、ここに……ね? イクミ・グセナーレ様」
「貴方は昨日の……」
「ほら、遅れてしまいますよ。私がご案内しましょう」
私に声をかけていた女性も呆気にとられ、何もわからないまま手を引かれて校舎の中へと連れて行かれた。
手を動かそうとしても、離れそうでこの人が離さない。
自分が非力なのは知っているけど、一体どういうつもりなのかしら?
「他の人はもう席についているようですね」
講堂の中は生徒たちで埋め尽くされ、二階にも席があり、上級生なのだろうか?
そんな中を手を繋がれたまま、前の方へと連れて行かれる。
「いい加減、手を離してください。まったく。ここまで連れて頂きありがとうございました」
「いえ、私達も座りましょう」
何で私が最前列に……ここの席は何なの? どう見ても他の学生たちものではない……
悪びれた様子もなく、先に座れと促されている。私も観念して座ると彼も私の隣りに座った。
それに、何がそんなに楽しいのか、隣ではニコニコしている。
ある意味、見慣れた会場を見渡し、予想通りと言うべきかこれから待ち受けているのは長い話でしょうね。
式が進み、私の眠気と苦戦をしていた。
「国王陛下より祝辞を頂戴いたします」
壇上に上がった人をぼんやりとして意識でみていた。
「あの人が国王陛下……誰かに似ているような?」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
この人は一体何のつもりかしら?
いちいち私の独り言にも反応して、そりゃ助けて貰ったのは感謝してるけどね。
ありふれたような言葉を並べられ、私の頭はそれを受け入れるつもりは全く無いようだった。
しかし、国王陛下というのもあるので私は何度も欠伸を噛み殺していた。眠気と戦っていた。
長い長い式が終わり、ようやくこの講堂から出ることが出来た。
「終わった。思っていたより短いけど、長かった」
「面白い言い回しですね。ですが、あからさまに眠たいという表情は、いかがなものでしょうか?」
昨日といい今日といい、この人はなんで私に話をかけてくるの?
私の最悪な結果のこともあるのだけど、この学園での生活はあまり馴染めそうにもない気がしていた。
親の階級を振りかざし自分を優勢に悦に浸る者。
何かしらの意図を持ち、婚姻目的で近寄る者。
自分の保身のために、階級の高い者に対して媚び諂う者。
そして、肩書と言うだけで誰とも接することのできない者。
どれもが私の知る一般的な学校とは遠くかけ離れて過ぎている。
「グセナーレ様。教室の場所、わかるのですか?」
「それはどうかしらね……」
彼も何かしらの考えを持っているのでしょうね……
私を見ながらニコニコと笑っている。
この人も何か余計な思惑を持っているのだろう。
私のことをどうするつもりだというのかしら? 惚れたという感じには見えないと思うし、やたらと私を優先している。
小さいから妹的な扱い? 自分で思っておいて何なんだけど……それだとしても色んな意味で悲しいよ。
「もし迷ったら、先生に聞くから結構よ」
「そうですか。残念です」
そう言いつつも、歩く私の後ろを何故か彼は当たり前のように付いてくる。
流れとは違う方向へと向かおうとすると止められ、走り出そうとすれば腕を掴まれてしまう。
コイツはルビーからの差し金なのかしら?
私が大丈夫というのは、コイツが居るからということ?
「どういうつもり?」
「と……言いますと?」
いちいちその意味の分からない笑顔を振りまかないで欲しいわね。
子供扱いをされているようで、かなり嫌味に感じてしまう。
「なぜ、私についてくるの?」
「同じクラスメイトなのですから、向かう教室も同じだとは思いませんか?」
思うわけがないでしょ。大体名前も知らないのに……今思えば私の名前を彼は知っていたのよね。
それに教室の場所も知ってそうだし、一体何者だと言うの?
少し冷静に考えれば、いくらルビーとはいえこんな真似はしないと思う。
学園で護衛がいるのなら、登校の前に待っていてもおかしくはない。
だとすると、コイツには私に近づくためのメリットでもあると言うの?
E……もない。DC……そうだ。私の名前は書かれていない。そんなことだったら嬉しいのだけど……とはいえ、筆記だけでB判定というのもなんだかな。
Aのクラスは特別なのか書いてある文字が少ない。少数精鋭ってことなんだろうね。
私なんかがBでいいとも思わないけど……おかしいな。私の名前が見えなくもない。
そう、私が見ているその隣りに見慣れた文字が見える。
BやCのクラスは二列になっている。Dに関しては三列もあったりするのに……私の名前が書かれている所は一列しか存在していない。
「おかしい……私が、Aクラス? これは、何の冗談かしら。見間違いだよね?」
何度見ても、間近くから見上げてもそれは変わることがなかった。
おかしい……どう考えてもおかしい。
数が少ないということは、それだけ特別なクラスというのはわかる。そんなことってあり得るの?
筆記に関しては良いほうだとは思うけど、それだけでこんな事になるものなの?
「あの、そろそろ入学式が始まりますよ?」
「いえ、私の名前が……」
「もしかしてなかったのですか?」
騎士の正装を身に着けている女性に話しかけられてしまう。
ここの教師だろうか?
それとも私を不審に思ったのだろうか?
「ありますよ、ここに……ね? イクミ・グセナーレ様」
「貴方は昨日の……」
「ほら、遅れてしまいますよ。私がご案内しましょう」
私に声をかけていた女性も呆気にとられ、何もわからないまま手を引かれて校舎の中へと連れて行かれた。
手を動かそうとしても、離れそうでこの人が離さない。
自分が非力なのは知っているけど、一体どういうつもりなのかしら?
「他の人はもう席についているようですね」
講堂の中は生徒たちで埋め尽くされ、二階にも席があり、上級生なのだろうか?
そんな中を手を繋がれたまま、前の方へと連れて行かれる。
「いい加減、手を離してください。まったく。ここまで連れて頂きありがとうございました」
「いえ、私達も座りましょう」
何で私が最前列に……ここの席は何なの? どう見ても他の学生たちものではない……
悪びれた様子もなく、先に座れと促されている。私も観念して座ると彼も私の隣りに座った。
それに、何がそんなに楽しいのか、隣ではニコニコしている。
ある意味、見慣れた会場を見渡し、予想通りと言うべきかこれから待ち受けているのは長い話でしょうね。
式が進み、私の眠気と苦戦をしていた。
「国王陛下より祝辞を頂戴いたします」
壇上に上がった人をぼんやりとして意識でみていた。
「あの人が国王陛下……誰かに似ているような?」
「どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
この人は一体何のつもりかしら?
いちいち私の独り言にも反応して、そりゃ助けて貰ったのは感謝してるけどね。
ありふれたような言葉を並べられ、私の頭はそれを受け入れるつもりは全く無いようだった。
しかし、国王陛下というのもあるので私は何度も欠伸を噛み殺していた。眠気と戦っていた。
長い長い式が終わり、ようやくこの講堂から出ることが出来た。
「終わった。思っていたより短いけど、長かった」
「面白い言い回しですね。ですが、あからさまに眠たいという表情は、いかがなものでしょうか?」
昨日といい今日といい、この人はなんで私に話をかけてくるの?
私の最悪な結果のこともあるのだけど、この学園での生活はあまり馴染めそうにもない気がしていた。
親の階級を振りかざし自分を優勢に悦に浸る者。
何かしらの意図を持ち、婚姻目的で近寄る者。
自分の保身のために、階級の高い者に対して媚び諂う者。
そして、肩書と言うだけで誰とも接することのできない者。
どれもが私の知る一般的な学校とは遠くかけ離れて過ぎている。
「グセナーレ様。教室の場所、わかるのですか?」
「それはどうかしらね……」
彼も何かしらの考えを持っているのでしょうね……
私を見ながらニコニコと笑っている。
この人も何か余計な思惑を持っているのだろう。
私のことをどうするつもりだというのかしら? 惚れたという感じには見えないと思うし、やたらと私を優先している。
小さいから妹的な扱い? 自分で思っておいて何なんだけど……それだとしても色んな意味で悲しいよ。
「もし迷ったら、先生に聞くから結構よ」
「そうですか。残念です」
そう言いつつも、歩く私の後ろを何故か彼は当たり前のように付いてくる。
流れとは違う方向へと向かおうとすると止められ、走り出そうとすれば腕を掴まれてしまう。
コイツはルビーからの差し金なのかしら?
私が大丈夫というのは、コイツが居るからということ?
「どういうつもり?」
「と……言いますと?」
いちいちその意味の分からない笑顔を振りまかないで欲しいわね。
子供扱いをされているようで、かなり嫌味に感じてしまう。
「なぜ、私についてくるの?」
「同じクラスメイトなのですから、向かう教室も同じだとは思いませんか?」
思うわけがないでしょ。大体名前も知らないのに……今思えば私の名前を彼は知っていたのよね。
それに教室の場所も知ってそうだし、一体何者だと言うの?
少し冷静に考えれば、いくらルビーとはいえこんな真似はしないと思う。
学園で護衛がいるのなら、登校の前に待っていてもおかしくはない。
だとすると、コイツには私に近づくためのメリットでもあると言うの?
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