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七竅
7、渾沌は死にゆく
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シウの正妻の襲撃以来、シウからは毎日のようにその後の様子――主にロブのケガについて――を尋ねる使者が来ていたが、三日目にしてようやく、シウ本人がユイファの家を訪れた。
シウは些か疲れたようで、普段は無造作に見えても実はきちんと整えられている髪も乱雑で、かろうじて綺麗に髭は剃っていたが、家庭内のことにほとほと嫌気が差している様子が見て取れた。
「本当に済まなかった。……まさかこちらに本人が乗り込むなんて、想像もしていなかったんだ」
端正な顔に憂いを乗せ、シウが溜息をつく。
「ロブのケガは困りましたが、すぐに腕にいいお医者を呼んでいただきましたし……多少、痕は残るようですが、ひどいことにはならないそうです。ロブはまだ独身ですので、顔の傷は少しばかり心配ではありますが、男ですからね」
ユイファが答えると、シウは申し訳なさそうに頷いた。
「金で解決するように思われるのも嫌なのだが、だが、他に誠意の示しようがない。できる限り償いたい」
「ありがとうございます」
「……けがをしたのがユイファでなくて、本当によかった」
そう言うシウに向かって軽く微笑んで、ユイファはいつものように、手製の薬草茶を淹れる。
梅雨の晴れ間のひと時、庭は紫陽花の花盛りであった。
「君のことが、母上に知られた。それで、あの女がここに来たのだ」
「お母様……そうですか」
シウの正妻が訪れたことで、ユイファにも予感はあった。
「あの人は、私の外面と〈王気〉しか見ていない。それだけ見て、私が理想の皇子に相応しからぬ行動をとると、いつも何らかの方法で介入してくるのだ。私の内面がどれだけボロボロなのか、気にもしてない……この家は居心地がよかったけれど、君を私のくだらない歪んだ人生にこれ以上巻き込むべきじゃない。これまで世話になったけれど、ここに来るのは今日で最後にする。財産に関してはもう準備してあるし、心配はいらない。ネルー家の、ではなくて、君自身の財産だ。だから、今後も安心して暮らしていい」
「わたしは、この家さえ残ればお金はいりません」
「そうもいかない。君は美人だからね。金がなければソールのようなヤツに付け込まれる。どうせあぶく銭だよ。君を守るために使わなくて、いつ使うんだ」
シウは綺麗な微笑みを浮かべて言った。
ユイファは、不思議な感慨に囚われて、その美しい顔をじっと見つめる。
愛しているのは、今でも夫一人だと言い切れる。あの許せない行為の代償として金を受け取るのはイヤだ。自分の尊厳を金で売り渡すようなものだ。でも、ユイファはなぜか、この青年のことを憎んで、見捨てることはできなかった。
「あなたは、不思議な人ね。優しいけれど、残酷で、善人の顔をして、平気で悪いことをする。ぎっしり詰まっているように見えて、中は空虚。全てを知っているようでいて、何も知らない――いろんなものが混じりあって、渾沌としていて――いつも、振り回されたわ」
「渾沌?〈混沌〉の闇のこと?」
シウが聞き返す。
「渾沌も混沌も同じことよ。いろんなものが混じり合った状態。整然と分かたれていなくて、未分化なのよ……昔、陰と陽が分かたれていなかったから、だから〈混沌〉と言うのよ」
「調和が崩れた魔物みたいって意味?」
シウの言葉に、ユイファは首を振る。
「違うわ。未分化なのは悪いわけじゃないのよ。かつては、陰も陽も分かたれず、男も女も、人も魔物も、善も悪も、すべて混然としていたの。茫洋として、区別なく、自然のままにあった。そこに、太陽の龍騎士と月の精靈ディアーヌが出会って、世界は陰と陽に分かれた。光が生まれ、影ができた。物事の形がはっきりと見え、男女の別や、身分の差ができて、社会が出来上がるの」
「意味がわからないな。僕が、原始的だって言いたいの?」
シウが首を傾げていると、ユイファが笑った。
「こんな話を知っている? 大昔――まだ、陰も陽も分かれる前。〈渾沌〉という神がいたの。そこに二人の神がでかけて、〈渾沌〉は彼らを歓待した。その礼に報いようと、二人の神は相談したの。『〈渾沌〉に報いたいが、どうしようか?』『人の顔には目が二つ、鼻の孔が二つ、口が一つ、耳の穴が二つあって、それで見たり聞いたり息をしたりするのに、〈渾沌〉にはそれがない。俺たちでそれを穿って、人らしくしてやろうじゃないか』って。一日に鑿で穴を一つづつ穿っていったら、――七日目に、〈渾沌〉は死んでしまった」
「恩を仇で返す、っていう寓話?」
「違うわよ。〈渾沌〉は〈自然〉なの。無垢で、未分化で、ありのままだった存在。それが、穴を穿たれて人間らしい姿に近づけば近づくほど、〈渾沌〉の自然は死んでしまう。――無垢だったあなたは、周囲から穴を穿たれて、今にも死にそうになっている。開けられた穴から膿と血を流してのたうち回っている。何とか助かろうとあがくけれど、穴を拡げて傷口を大きくするだけ――わたしのことを犯しても、傷は広がる一方だったでしょ?」
ユイファの問いかけに、シウは暫し沈黙する。やがて、ぽつりと言った。
「――助かろうとは思ってないよ。早く、誰でもいいから、最後の七つ目の穴を開けて欲しいとは思っているけれど」
「前――今はまだ、死ねない、て言ったのは、なぜ?」
シウは俯いて、長い睫毛を伏せた。
「……預かり物があるんだ。それを、返さないと」
「返したら、死ぬの?」
「前は、そのつもりだった。――でも今は、それでは駄目だろうと思っている。それでは、楽になってしまうから。本当は、自分の人生を取り戻したい。贋物の皇子の仮面を棄てて、あるべき場所に帰り、あるべき姿に戻りたい」
ユイファが言う。
「無理よ。穿たれた穴は二度と塞げないわ。一度汚されたら、真っ白には戻れないのと同じ。でも、あなたは〈渾沌〉と違って死んではダメよ。穴が開いた状態のまま、生きていかないと」
「膿と血を垂れ流したまま?」
「いつかは、傷も塞がるかもしれないし、そのままかもしれない。自分の人生じゃないって逃げ回るんじゃなくて、穴を穿たれた今があるべき姿なんだって、受け入れなくちゃ。だから――立ち直って。お金をいくら積まれても、あなたがしたことは許せない。わたしを騙して、ひどいことをした。でも、あなたが本当は優しくて無垢な人だったのは、わかるの。いっぱい傷つけられて、ボロボロになって、どうしていいかわからなくなっているのは、わかる。だから、約束して。もう二度と、弱いものを虐げないと」
ユイファが真剣な眼差しでシウを見つめる。シウは気まずそうに視線を逸らそうとするが、ユイファはそれを許さないとばかりにシウの頬を両手で包んだ。
「そんなに簡単に立ち直れるなら、この世に不良はいないよ――それに、私たちは存在自体がすでに、弱いものを虐げているんだよ。二度としないなんて約束は――」
「約束して」
「ユイファ――」
シウは観念したように、ふっと溜息をつく。
「わかった。努力はする。どの状態が立ち直った状態なのか、それすらすでにわからないけれど。それに、私は弱くて流されやすくて、約束が守れないんだ。初恋の人との約束も守れてないし、せめて、側室を守るという誓いだけは守ろうとしているけど、思うようにいかない。ユイファのも、無理かもしれない」
「わざと悪いことをしなければいいのよ! 簡単なことじゃない! だいたい、悪友二人に流され過ぎなのよ!」
ユイファがイライラしたように、少し声を荒げる。
「わかってるけどさ。……私の、中身をみてくれるのは、彼らだけだもの。言っておくけど、ユイファ以外では、あんなことはしていないよ? 普段は退屈を拗らせた奥様のお相手をしているくらいだよ」
「そうじゃなくて! 外で遊ぶのを止めた方がいいって言っているんです!」
「家に居場所がないんだよ……」
「自業自得ですよ」
ユイファはにべもない。
「いいですか? わたしがお金を受け取るのは、あなたの悪行を許すかわりじゃありません。賠償金でもない。あなたが立ち直って、真人間になる、少なくともその努力をすると約束するんだったら、人生の授業料として受け取ります。それ以外はダメです」
「……わかったよ。約束する。努力する。女遊びはやめる。弱い者を金と権力で虐げたりしない。……それでいい? お金を受け取ってくれる?」
ユイファは小指を出した。
「じゃ、指切りしましょう。それで、お別れ」
「うん。今までありがとう、ユイファ」
シウはユイファの白い小指に、自分の小指を絡ませた。
シウは些か疲れたようで、普段は無造作に見えても実はきちんと整えられている髪も乱雑で、かろうじて綺麗に髭は剃っていたが、家庭内のことにほとほと嫌気が差している様子が見て取れた。
「本当に済まなかった。……まさかこちらに本人が乗り込むなんて、想像もしていなかったんだ」
端正な顔に憂いを乗せ、シウが溜息をつく。
「ロブのケガは困りましたが、すぐに腕にいいお医者を呼んでいただきましたし……多少、痕は残るようですが、ひどいことにはならないそうです。ロブはまだ独身ですので、顔の傷は少しばかり心配ではありますが、男ですからね」
ユイファが答えると、シウは申し訳なさそうに頷いた。
「金で解決するように思われるのも嫌なのだが、だが、他に誠意の示しようがない。できる限り償いたい」
「ありがとうございます」
「……けがをしたのがユイファでなくて、本当によかった」
そう言うシウに向かって軽く微笑んで、ユイファはいつものように、手製の薬草茶を淹れる。
梅雨の晴れ間のひと時、庭は紫陽花の花盛りであった。
「君のことが、母上に知られた。それで、あの女がここに来たのだ」
「お母様……そうですか」
シウの正妻が訪れたことで、ユイファにも予感はあった。
「あの人は、私の外面と〈王気〉しか見ていない。それだけ見て、私が理想の皇子に相応しからぬ行動をとると、いつも何らかの方法で介入してくるのだ。私の内面がどれだけボロボロなのか、気にもしてない……この家は居心地がよかったけれど、君を私のくだらない歪んだ人生にこれ以上巻き込むべきじゃない。これまで世話になったけれど、ここに来るのは今日で最後にする。財産に関してはもう準備してあるし、心配はいらない。ネルー家の、ではなくて、君自身の財産だ。だから、今後も安心して暮らしていい」
「わたしは、この家さえ残ればお金はいりません」
「そうもいかない。君は美人だからね。金がなければソールのようなヤツに付け込まれる。どうせあぶく銭だよ。君を守るために使わなくて、いつ使うんだ」
シウは綺麗な微笑みを浮かべて言った。
ユイファは、不思議な感慨に囚われて、その美しい顔をじっと見つめる。
愛しているのは、今でも夫一人だと言い切れる。あの許せない行為の代償として金を受け取るのはイヤだ。自分の尊厳を金で売り渡すようなものだ。でも、ユイファはなぜか、この青年のことを憎んで、見捨てることはできなかった。
「あなたは、不思議な人ね。優しいけれど、残酷で、善人の顔をして、平気で悪いことをする。ぎっしり詰まっているように見えて、中は空虚。全てを知っているようでいて、何も知らない――いろんなものが混じりあって、渾沌としていて――いつも、振り回されたわ」
「渾沌?〈混沌〉の闇のこと?」
シウが聞き返す。
「渾沌も混沌も同じことよ。いろんなものが混じり合った状態。整然と分かたれていなくて、未分化なのよ……昔、陰と陽が分かたれていなかったから、だから〈混沌〉と言うのよ」
「調和が崩れた魔物みたいって意味?」
シウの言葉に、ユイファは首を振る。
「違うわ。未分化なのは悪いわけじゃないのよ。かつては、陰も陽も分かたれず、男も女も、人も魔物も、善も悪も、すべて混然としていたの。茫洋として、区別なく、自然のままにあった。そこに、太陽の龍騎士と月の精靈ディアーヌが出会って、世界は陰と陽に分かれた。光が生まれ、影ができた。物事の形がはっきりと見え、男女の別や、身分の差ができて、社会が出来上がるの」
「意味がわからないな。僕が、原始的だって言いたいの?」
シウが首を傾げていると、ユイファが笑った。
「こんな話を知っている? 大昔――まだ、陰も陽も分かれる前。〈渾沌〉という神がいたの。そこに二人の神がでかけて、〈渾沌〉は彼らを歓待した。その礼に報いようと、二人の神は相談したの。『〈渾沌〉に報いたいが、どうしようか?』『人の顔には目が二つ、鼻の孔が二つ、口が一つ、耳の穴が二つあって、それで見たり聞いたり息をしたりするのに、〈渾沌〉にはそれがない。俺たちでそれを穿って、人らしくしてやろうじゃないか』って。一日に鑿で穴を一つづつ穿っていったら、――七日目に、〈渾沌〉は死んでしまった」
「恩を仇で返す、っていう寓話?」
「違うわよ。〈渾沌〉は〈自然〉なの。無垢で、未分化で、ありのままだった存在。それが、穴を穿たれて人間らしい姿に近づけば近づくほど、〈渾沌〉の自然は死んでしまう。――無垢だったあなたは、周囲から穴を穿たれて、今にも死にそうになっている。開けられた穴から膿と血を流してのたうち回っている。何とか助かろうとあがくけれど、穴を拡げて傷口を大きくするだけ――わたしのことを犯しても、傷は広がる一方だったでしょ?」
ユイファの問いかけに、シウは暫し沈黙する。やがて、ぽつりと言った。
「――助かろうとは思ってないよ。早く、誰でもいいから、最後の七つ目の穴を開けて欲しいとは思っているけれど」
「前――今はまだ、死ねない、て言ったのは、なぜ?」
シウは俯いて、長い睫毛を伏せた。
「……預かり物があるんだ。それを、返さないと」
「返したら、死ぬの?」
「前は、そのつもりだった。――でも今は、それでは駄目だろうと思っている。それでは、楽になってしまうから。本当は、自分の人生を取り戻したい。贋物の皇子の仮面を棄てて、あるべき場所に帰り、あるべき姿に戻りたい」
ユイファが言う。
「無理よ。穿たれた穴は二度と塞げないわ。一度汚されたら、真っ白には戻れないのと同じ。でも、あなたは〈渾沌〉と違って死んではダメよ。穴が開いた状態のまま、生きていかないと」
「膿と血を垂れ流したまま?」
「いつかは、傷も塞がるかもしれないし、そのままかもしれない。自分の人生じゃないって逃げ回るんじゃなくて、穴を穿たれた今があるべき姿なんだって、受け入れなくちゃ。だから――立ち直って。お金をいくら積まれても、あなたがしたことは許せない。わたしを騙して、ひどいことをした。でも、あなたが本当は優しくて無垢な人だったのは、わかるの。いっぱい傷つけられて、ボロボロになって、どうしていいかわからなくなっているのは、わかる。だから、約束して。もう二度と、弱いものを虐げないと」
ユイファが真剣な眼差しでシウを見つめる。シウは気まずそうに視線を逸らそうとするが、ユイファはそれを許さないとばかりにシウの頬を両手で包んだ。
「そんなに簡単に立ち直れるなら、この世に不良はいないよ――それに、私たちは存在自体がすでに、弱いものを虐げているんだよ。二度としないなんて約束は――」
「約束して」
「ユイファ――」
シウは観念したように、ふっと溜息をつく。
「わかった。努力はする。どの状態が立ち直った状態なのか、それすらすでにわからないけれど。それに、私は弱くて流されやすくて、約束が守れないんだ。初恋の人との約束も守れてないし、せめて、側室を守るという誓いだけは守ろうとしているけど、思うようにいかない。ユイファのも、無理かもしれない」
「わざと悪いことをしなければいいのよ! 簡単なことじゃない! だいたい、悪友二人に流され過ぎなのよ!」
ユイファがイライラしたように、少し声を荒げる。
「わかってるけどさ。……私の、中身をみてくれるのは、彼らだけだもの。言っておくけど、ユイファ以外では、あんなことはしていないよ? 普段は退屈を拗らせた奥様のお相手をしているくらいだよ」
「そうじゃなくて! 外で遊ぶのを止めた方がいいって言っているんです!」
「家に居場所がないんだよ……」
「自業自得ですよ」
ユイファはにべもない。
「いいですか? わたしがお金を受け取るのは、あなたの悪行を許すかわりじゃありません。賠償金でもない。あなたが立ち直って、真人間になる、少なくともその努力をすると約束するんだったら、人生の授業料として受け取ります。それ以外はダメです」
「……わかったよ。約束する。努力する。女遊びはやめる。弱い者を金と権力で虐げたりしない。……それでいい? お金を受け取ってくれる?」
ユイファは小指を出した。
「じゃ、指切りしましょう。それで、お別れ」
「うん。今までありがとう、ユイファ」
シウはユイファの白い小指に、自分の小指を絡ませた。
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