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六竅
24、決定的な過ち
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顔の前で扇を開いてユリアを睨みつける恭親王の狂気を孕んだ眼差しに、怯えた侍女が部屋を駆けだしていった。
即刻やってきた女は侍女と言うには年かさの女で、ユリアの乳母だと名乗り、恭親王の前に両膝をついて主を庇うように頭を下げた。
「殿下、此度のこと、全てこの私めの勘違いより生じた失態で、姫様には責任のないことにございます。どうか、ご処分はこの私め一人に」
「お前のような婆一人の頸を切ったところでつまらん。関わった者全員をここに並べろ」
「殿下――全てはこの婆の勘違いで」
「うるさい、黙れ! 勘違いな訳がなかろう! 何故首飾りがないからと、レイナの部屋を荒らすのだ。その腐った脳みそは抉りだして胡瓜でも漬けてやろうか!」
尚も言い募る乳母の頭を長い脚で思いっきり踏みつけながら、恭親王が激昂して怒鳴りつけた。
「あうっ! どうかお許しを、姫様には罪はございません」
「ばあや! やめて、やめてください!」
ぎりぎりと老婆の頭を床に踏みつければ、ユリアが慌てて乳母に駆けよって許しを請う。
「とっとと全員並べろと言っている! 早くしないとこの婆あの頸を切り落として、お前の実家に送りつけるぞ!」
悲鳴を聞きつけたのか、4人の侍女が走り出て、乳母を踏みつける恭親王の前に跪いて許しを請うた。
「申し訳ございません! この付近でレイナ様付きの侍女を見たと言うものがありまして……」
「殿下のご寵愛を楯に、姫様から首飾りまで奪うのかと頭に血が上り……」
「どうか乳母様をお離しくださいませ!」
泣いて恭親王の足に縋りつかんばかりに雁首を揃えた侍女たちを、冷たい眼差しで一瞥して扇で数を数える。
「ひい、ふう、みい……数が足らぬな。六人だと聞いているが」
冷淡に言い捨てられ、侍女たちは怯えたように顔を見合わせる。
「ふむ、その乳母とユリアを足せばちょうど六人か。面倒臭い、その六人でいいか。そこへ並んで首を出せ。……ゾーイ、剣を寄こせ」
「殿下、まさかご自分で……」
ゾーイがややたじろぐのに、恭親王は酷薄な微笑みを浮かべて言った。
「そりゃあ、ゾーイに斬られた方が痛くはないだろうがな。だが自分でやらねば気が済まぬほど腹が立っているんだ。ここは私にやらせろ」
「しかし……」
「いいから早くしろっ」
ギラギラと怒りでぎらつく眼でねめつけられ、並んだ女たちがぞっと凍り付いた。ユリアと乳母と、そしてゾーイが恭親王と傅役のゲルを見比べている。まさか本気で?
「お、お待ちください。たかが側室の部屋に押し入った程度で、命まで取るとおっしゃるのですか?」
ユリアが甲高い声で言い募るのに、恭親王が不快げに眉を上げた。
「たかが……だと? 私の側室に大変な侮辱を与えておいて、勘違いで済まそうとしたのだ。それに初めてのことではないしな。以前、レイナに怪我をさせた時に、二度と関わるなと言っておいたはずだ。主人の命に敢えて背いたのだから、殺されてもやむなしの覚悟くらいあるんだろう」
「そんな……あんな、田舎子爵の三女風情に……」
「それ以上レイナを侮辱するなら刃物じゃなくて鞭打ちで殺してやってもいい。生かさず殺さずの絶妙の加減で二百発も喰らえば皮膚もずる剥けになって、十日程痛みでのたうち回った挙句に死ねるらしいな。実験してみようではないか」
恐怖と屈辱でわなわなと唇を震わせるユリアに、一片の憐れみも与えずに恭親王が言い募る。さすがにゾーイがゲルに目で合図して止めるべきか、と尋ねると、苦い顔で状況を見定めていたゲルが、ふっと息を吐いて一礼した。
「殿下。お怒りはごもっともではございますが、その程度になさいませ」
「嫌だ。だからこんな女と結婚するのは嫌だったのだ。こういう性悪女は光の射さない地下牢へでも一生閉じ込めるか、とっとと始末しておいた方が世の中のためだ」
「殿下……」
ゲルが呆れたように言うのに、恭親王は侮蔑的な視線をユリアに投げつけて、緩慢な動作でようやく乳母の頭から足をどけた。
「マナシル家の娘だか何だか知らんが、嫉妬に狂って側室の部屋を荒らさせるなんて、卑怯にもほどがある。しかも自分は高みの見物で手を汚さないなど、性悪すぎて反吐が出る。まだ自分の足で踏んづけたこの前の方がマシだったな。お前のクソ親父を呼び出してお前の仕出かしたことの後始末をつけさせるつもりだから、実家に帰るかこの棟から一歩も出ないで寂しく謹慎するか、どっちか選べ。言っておくが、たとえこの家に残ったところで、私はお前みたいな香水臭い高慢女の部屋には通わないからな。幸い、私はまだお前には指一本触れていないし、今後も触れるつもりはない。家に帰って別の嫁入り先を見つける分には、私は何も言うつもりはない」
容赦なく言い捨てられ、ユリアはさすがに傷ついて涙を浮かべる。
「ひどい……わたくしと離婚すれば、あなたは帝位に即けなくなりますわ」
「帝位なんてお断りだ! お前みたいな性悪女に帝位のオマケ付きなんて、どんな罰ゲームだ。お前もいなくなって帝位にも即けなくなるなら万々歳だね」
恭親王は扇をパチンと閉じて踵を返すと、跪いて呆然としている侍女たちを忌々し気に睨みつけ、まだ額から血を流したまま呆けたように跪いている乳母に目を止め、言った。
「それから、万一この家に残る場合でも、このクソ婆あとレイナの部屋を荒らした女たちは、全員邸から追い出せ。同じ空気を吸うのも腹立たしい」
いかにも不快そうに速足で部屋を出ていき、その背後をゾーイと、ゲルが続く。さすがにゲルだけはユリアに丁寧に一礼して、慌ただしくユリアの棟を後にした。
後には茶器が散乱し、真っ二つに割れた卓が転がる部屋に、数人の女たちが残された。ユリアがふらふらとその場にへたり込むように崩れ落ちると、咄嗟に乳母が立ち上がってユリアを抱きとめる。
「ばあや……わたくしはただ……ほんの少しでいいから、優しくしてほしいだけなのに……」
ユリアがぽろぽろと涙を流すのを、額に血をにじませたまま、乳母が痛まし気に慰める。
「姫様に落ち度はございません。殿下は、あの辺境の女に狂ってしまわれているのですよ。きっとそのうちに目を醒ましてくださいますとも」
だがその場にいた侍女たちのほとんどは、恭親王が側室に狂って正妻のユリアを顧みないのではなく、本気でユリアのことが嫌いなのだと気づいていた。
香水臭い高慢女。性悪。
恭親王がユリアを評した言葉は、おそらく彼の本音だろう。
侍女たちにとって、幼いころから仕えてきたユリアは、瑕一つなく磨かれた玉だ。令嬢としての気品も、教養も、矜持も、全てこれ以上ないほど高く、また自ら高くあろうとユリアは努めている。たしかにユリアは高慢だが、それも許されるほどの、ユリアは生粋の令嬢だ。
何故、ユリアを愛さず、つまらない辺境出身の女を寵愛するのか、侍女たちには理解できないし、本来ユリアに与えられるはずの寵愛を盗んでいるレイナという女は、身の程知らずの僭上を思い知るべきだ。
侍女たちも日頃の鬱屈に任せて、側室の部屋を荒らして溜飲を下げていたが、だが冷静に考えて、そんな行いは恭親王のユリアへの嫌悪感をいっそう掻き立てるだけだ。
あの日、ユリアがレイナを部屋に呼び出して辱めるまでは、恭親王は渋々ながらもユリアを正妻として、形だけでも受け入れる姿勢を見せていた。
だが、あの日以来、恭親王は昼間の交流も全て拒み、まるでユリアなど存在していないかのような扱いだ。全てレイナが告げ口したせいだと、侍女たちも鬱憤晴らしのようにレイナの部屋に様々な嫌がらせをしかけていたが、それが主であるユリアをこそ貶める行為だと、ようやく気づく。
侍女たちは慄く。
本当ならば、自分たちは主のユリアを諌めるべきだったのだ。
賤しい側室に一時狂っているだけならば、むしろ鷹揚に構えて正室の度量を示すべきだと。
たとえどれほどあの女が寵愛されようと、恭親王の正室はユリア以外になく、いずれ跡継ぎの必要な恭親王は、ユリアに歩み寄るに違いないのだから。
しかし今、恭親王の気持ちはユリアへの憎しみで満ちてしまっている。その醜い嫉妬心を蔑み、弱い者を蹂躙して凌ぐ心根を芯から軽蔑している。
もはや修復など不可能ではないか――。たとえレイナへの寵愛が移ろっても、恭親王の心がユリアに向けられることはもう、ないのではないか――。
侍女たちは、自分たちの仕出かしてしまった過ちの大きさに、ただ震えて主人とそれを慰める乳母の姿を見つめるしかなかった。
即刻やってきた女は侍女と言うには年かさの女で、ユリアの乳母だと名乗り、恭親王の前に両膝をついて主を庇うように頭を下げた。
「殿下、此度のこと、全てこの私めの勘違いより生じた失態で、姫様には責任のないことにございます。どうか、ご処分はこの私め一人に」
「お前のような婆一人の頸を切ったところでつまらん。関わった者全員をここに並べろ」
「殿下――全てはこの婆の勘違いで」
「うるさい、黙れ! 勘違いな訳がなかろう! 何故首飾りがないからと、レイナの部屋を荒らすのだ。その腐った脳みそは抉りだして胡瓜でも漬けてやろうか!」
尚も言い募る乳母の頭を長い脚で思いっきり踏みつけながら、恭親王が激昂して怒鳴りつけた。
「あうっ! どうかお許しを、姫様には罪はございません」
「ばあや! やめて、やめてください!」
ぎりぎりと老婆の頭を床に踏みつければ、ユリアが慌てて乳母に駆けよって許しを請う。
「とっとと全員並べろと言っている! 早くしないとこの婆あの頸を切り落として、お前の実家に送りつけるぞ!」
悲鳴を聞きつけたのか、4人の侍女が走り出て、乳母を踏みつける恭親王の前に跪いて許しを請うた。
「申し訳ございません! この付近でレイナ様付きの侍女を見たと言うものがありまして……」
「殿下のご寵愛を楯に、姫様から首飾りまで奪うのかと頭に血が上り……」
「どうか乳母様をお離しくださいませ!」
泣いて恭親王の足に縋りつかんばかりに雁首を揃えた侍女たちを、冷たい眼差しで一瞥して扇で数を数える。
「ひい、ふう、みい……数が足らぬな。六人だと聞いているが」
冷淡に言い捨てられ、侍女たちは怯えたように顔を見合わせる。
「ふむ、その乳母とユリアを足せばちょうど六人か。面倒臭い、その六人でいいか。そこへ並んで首を出せ。……ゾーイ、剣を寄こせ」
「殿下、まさかご自分で……」
ゾーイがややたじろぐのに、恭親王は酷薄な微笑みを浮かべて言った。
「そりゃあ、ゾーイに斬られた方が痛くはないだろうがな。だが自分でやらねば気が済まぬほど腹が立っているんだ。ここは私にやらせろ」
「しかし……」
「いいから早くしろっ」
ギラギラと怒りでぎらつく眼でねめつけられ、並んだ女たちがぞっと凍り付いた。ユリアと乳母と、そしてゾーイが恭親王と傅役のゲルを見比べている。まさか本気で?
「お、お待ちください。たかが側室の部屋に押し入った程度で、命まで取るとおっしゃるのですか?」
ユリアが甲高い声で言い募るのに、恭親王が不快げに眉を上げた。
「たかが……だと? 私の側室に大変な侮辱を与えておいて、勘違いで済まそうとしたのだ。それに初めてのことではないしな。以前、レイナに怪我をさせた時に、二度と関わるなと言っておいたはずだ。主人の命に敢えて背いたのだから、殺されてもやむなしの覚悟くらいあるんだろう」
「そんな……あんな、田舎子爵の三女風情に……」
「それ以上レイナを侮辱するなら刃物じゃなくて鞭打ちで殺してやってもいい。生かさず殺さずの絶妙の加減で二百発も喰らえば皮膚もずる剥けになって、十日程痛みでのたうち回った挙句に死ねるらしいな。実験してみようではないか」
恐怖と屈辱でわなわなと唇を震わせるユリアに、一片の憐れみも与えずに恭親王が言い募る。さすがにゾーイがゲルに目で合図して止めるべきか、と尋ねると、苦い顔で状況を見定めていたゲルが、ふっと息を吐いて一礼した。
「殿下。お怒りはごもっともではございますが、その程度になさいませ」
「嫌だ。だからこんな女と結婚するのは嫌だったのだ。こういう性悪女は光の射さない地下牢へでも一生閉じ込めるか、とっとと始末しておいた方が世の中のためだ」
「殿下……」
ゲルが呆れたように言うのに、恭親王は侮蔑的な視線をユリアに投げつけて、緩慢な動作でようやく乳母の頭から足をどけた。
「マナシル家の娘だか何だか知らんが、嫉妬に狂って側室の部屋を荒らさせるなんて、卑怯にもほどがある。しかも自分は高みの見物で手を汚さないなど、性悪すぎて反吐が出る。まだ自分の足で踏んづけたこの前の方がマシだったな。お前のクソ親父を呼び出してお前の仕出かしたことの後始末をつけさせるつもりだから、実家に帰るかこの棟から一歩も出ないで寂しく謹慎するか、どっちか選べ。言っておくが、たとえこの家に残ったところで、私はお前みたいな香水臭い高慢女の部屋には通わないからな。幸い、私はまだお前には指一本触れていないし、今後も触れるつもりはない。家に帰って別の嫁入り先を見つける分には、私は何も言うつもりはない」
容赦なく言い捨てられ、ユリアはさすがに傷ついて涙を浮かべる。
「ひどい……わたくしと離婚すれば、あなたは帝位に即けなくなりますわ」
「帝位なんてお断りだ! お前みたいな性悪女に帝位のオマケ付きなんて、どんな罰ゲームだ。お前もいなくなって帝位にも即けなくなるなら万々歳だね」
恭親王は扇をパチンと閉じて踵を返すと、跪いて呆然としている侍女たちを忌々し気に睨みつけ、まだ額から血を流したまま呆けたように跪いている乳母に目を止め、言った。
「それから、万一この家に残る場合でも、このクソ婆あとレイナの部屋を荒らした女たちは、全員邸から追い出せ。同じ空気を吸うのも腹立たしい」
いかにも不快そうに速足で部屋を出ていき、その背後をゾーイと、ゲルが続く。さすがにゲルだけはユリアに丁寧に一礼して、慌ただしくユリアの棟を後にした。
後には茶器が散乱し、真っ二つに割れた卓が転がる部屋に、数人の女たちが残された。ユリアがふらふらとその場にへたり込むように崩れ落ちると、咄嗟に乳母が立ち上がってユリアを抱きとめる。
「ばあや……わたくしはただ……ほんの少しでいいから、優しくしてほしいだけなのに……」
ユリアがぽろぽろと涙を流すのを、額に血をにじませたまま、乳母が痛まし気に慰める。
「姫様に落ち度はございません。殿下は、あの辺境の女に狂ってしまわれているのですよ。きっとそのうちに目を醒ましてくださいますとも」
だがその場にいた侍女たちのほとんどは、恭親王が側室に狂って正妻のユリアを顧みないのではなく、本気でユリアのことが嫌いなのだと気づいていた。
香水臭い高慢女。性悪。
恭親王がユリアを評した言葉は、おそらく彼の本音だろう。
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何故、ユリアを愛さず、つまらない辺境出身の女を寵愛するのか、侍女たちには理解できないし、本来ユリアに与えられるはずの寵愛を盗んでいるレイナという女は、身の程知らずの僭上を思い知るべきだ。
侍女たちも日頃の鬱屈に任せて、側室の部屋を荒らして溜飲を下げていたが、だが冷静に考えて、そんな行いは恭親王のユリアへの嫌悪感をいっそう掻き立てるだけだ。
あの日、ユリアがレイナを部屋に呼び出して辱めるまでは、恭親王は渋々ながらもユリアを正妻として、形だけでも受け入れる姿勢を見せていた。
だが、あの日以来、恭親王は昼間の交流も全て拒み、まるでユリアなど存在していないかのような扱いだ。全てレイナが告げ口したせいだと、侍女たちも鬱憤晴らしのようにレイナの部屋に様々な嫌がらせをしかけていたが、それが主であるユリアをこそ貶める行為だと、ようやく気づく。
侍女たちは慄く。
本当ならば、自分たちは主のユリアを諌めるべきだったのだ。
賤しい側室に一時狂っているだけならば、むしろ鷹揚に構えて正室の度量を示すべきだと。
たとえどれほどあの女が寵愛されようと、恭親王の正室はユリア以外になく、いずれ跡継ぎの必要な恭親王は、ユリアに歩み寄るに違いないのだから。
しかし今、恭親王の気持ちはユリアへの憎しみで満ちてしまっている。その醜い嫉妬心を蔑み、弱い者を蹂躙して凌ぐ心根を芯から軽蔑している。
もはや修復など不可能ではないか――。たとえレイナへの寵愛が移ろっても、恭親王の心がユリアに向けられることはもう、ないのではないか――。
侍女たちは、自分たちの仕出かしてしまった過ちの大きさに、ただ震えて主人とそれを慰める乳母の姿を見つめるしかなかった。
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