【R18】渾沌の七竅

無憂

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六竅

22、荒らされた部屋

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 自室にほど近い控えの間で、メイローズと侍女に囲まれて薬湯を飲んでいたレイナの青白い顔が、今夜の出来事の衝撃の深さを物語っていた。それでも、厳しい表情で部屋に入ってきた恭親王のために立ち上がり、震える声で謝罪した。

「申し訳ありません、殿下。わたくしのために大変なご迷惑を……」
「いい。お前は被害者だ。怪我はなかったか?お前の侍女たちも?」

 恭親王はレイナと侍女二人に向けて表情を和らげ、手で座るように合図して近づいた。横に立っていたメイローズが数歩下がって主に場所を空け、後ろに控える。恭親王はレイナの座っていた長椅子の隣に腰をおろし、その肩を優しく抱き寄せて青白く冷え切った頬を掌で包んだ。ダヤン皇子の邸で〈清談〉の途中だった恭親王には、〈清談〉に付き物の酩酊するような香の匂いが染みつき、息も少し酒臭かった。

「可哀想に恐ろしい目に会わせてしまった。部屋のことは気にしないで、今夜からしばらくこちらの棟で過ごせ。私はこれからお前の部屋を実際に見てから、あの女に事情を聞く。だから、傍にいてやれなくて悪いが、先に私の部屋で休んでいてくれ。後で行く」
「そんな……殿下がいらっしゃらないのに、わたくしが殿下のお部屋で休むことはできません」

 レイナは恐縮して首を横に振った。しかし、恭親王はレイナの細い身体を抱きしめ、長い黒髪を優しく撫でて、あっさりと却下する。その様子を目の当たりにしたレイナの二人の侍女は、目のやり場に困って下を向いた。

「この棟にはあの部屋にしか寝台がない……ああ、護衛の侍従武官用の寝台があるにはあるが、側室であるお前をそんな部屋で休ませるわけにはいかないだろう」

 〈清談〉で媚薬混じりの香を嗅いで劣情を煽られている恭親王は、本心ではこのままレイナを寝台に引きずり込んで思うさま貪りたい所なのだが、邸の平穏を乱した正妻の行いを正さないわけにはいかないと、理性を最大限に働かせてレイナの身体を離し、名残惜しそうにもう一度頬に触れてから立ち上がり、後のことをシャオトーズに託してゲルとゾーイ、そしてメイローズを連れて部屋を出た。

「何があったかもう一度、最初から話せ」

 レイナの住まう棟に続く廊下を歩きながらゲルとメイローズに尋ねると、ゲルが恐縮したように頭を下げた。

「申し訳ありません。俺が邸を空けました隙に、このような仕儀に……」
「もういい。お前はマナシル本家からの呼び出しを受けたそうではないか。こんな夜間に不自然と思わなかったのか?」

 恭親王が不快げに腕を組みながら速足で廊下を歩くのに、ゲルが俯きながら必死で着いていく。

「それは……正直非常識なと思いは致しましたが、何分にもマナシル本家からの火急の用件と言われましては、俺の一存では断れません」
「だろうな。……それで?」

 これが同じ十二貴嬪家の、ソアレス家の嫡流であるデュクトであれば、非常識な呼び出しを一蹴したであろうが、格下のゲルでは難しい。恭親王は、そこは鷹揚に頷いて先を促した。

「まあその、あちらで公爵にくだくだしく言われましたのは、お察しの通りのいつもの愚痴でございまして……奥方があまりにも蔑ろにされているのを何とかしろとか、その、そんな感じで……何とか宥めてこちらに帰りつきましたのが亥の刻(夜十時)を過ぎていました。ちょうどこちらに来ていたメイローズより、奥の様子がおかしいと……」

 恭親王がメイローズに目を遣ると、メイローズが一礼して話を引き取った。

「今日は殿下が外出されると伺っておりましたので、宦官長に断りを言いましてシャオトーズへの引継ぎのためにこちらに参りましたのが、戌の刻(夕方八時)の少し前でございます。主房に通りましたら、シャオトーズが奥の小宦官を相手に困惑しているように見えましたので、私が話を聞きました。小宦官が言うには、本日は殿下のご他出ということもあり、酉の刻(夕方六時)には夕食も済ませ、主房に続く廊下の鍵を閉めていたところ、奥方様付きの侍女たち六人が押し寄せ、失せ物を捜索するために中に入れろと申しましたとか。小宦官が主房の者の許可がなければ開けられないと抵抗いたしましたが、生憎、侍従殿たちもゲル殿も全て邸を空けておられ、奥方様の命令には逆らえずに戸を開けざるを得なかったと。あとは……直接お部屋をご覧いただく方がよろしゅうございましょう。割れた陶器などの危険物以外は、そのままにさせておりますので」

 メイローズの話を聞きながら、問題の奥の棟への扉を叩くと、張り番の小宦官が扉を開け、恐縮したように頭を下げた。

「この者がシャオトーズまで知らせてくれたので、夜のうちにレイナ様を主房にお移しすることができました。この者がいなければ、あの状態の部屋でレイナ様が一晩過ごす羽目になったかと思うと、ぞっといたします。ただ、シャオトーズでは判断が付かずに被害を止めることはできませんでした。シャオトーズをお責めにならないでください」

 メイローズが小宦官を指して説明するのに、小宦官は一層恐縮する。

「わかっている。……ここには誰も入れていないのだな?」
「はい。メイローズ様と、ゲル様と……お部屋の方はもう一人の者で見張っております」

 恭親王が確認して、四人は奥へと通った。軒先には銅で作られた灯篭がかかり、蝋燭に火が入って廊下を照らしている。恭親王にとっては通いなれた、木の香のする廊下だが、その夜は普段と様子が違っていた。

 レイナの部屋の前には張り番の小宦官が立っていて、彼は恭親王らの姿を認めると深く一礼したが、その部屋の前まで来て恭親王は絶句した。

 レイナの部屋は恭親王のレイナの趣味に合わせて、白木と竹をふんだんに使用した、簡素な田舎風の設えであったが、真新しい白木と竹を組み合わせた山家風の木の扉が、鈍器を叩きつけられたように抉られ、蝶番が外れて無残にも打ち壊されていたのだ。

 レイナ付きの侍女二人が止めるのも聞かず、強引に押し入ろうとした結果なのだが、内側で扉の破られるのを見守るしかなかったレイナ達の恐怖を思えば、恭親王は腹の底から怒りが滾るのを感じた。

 しかし、室内の惨状は木扉の比ではなく、恭親王の背後に控えるゾーイもまた、息を飲んだ。

 おそらく侍女二人とともにお茶でも飲みながら刺繍をしている最中でもあったのだろう。簡素な卓は横転して茶器が絨毯に飛び散り、絨毯の上に落ちている完成間際と見える精巧な龍の刺繍には、無残な茶の染みができていた。飾り棚の上の花瓶はひっくりかえって、活けられていた椿が床の上で踏みにじられ、漆塗りの文箱もぶちまけられて中の手習いが散乱している。金属製の鏡には何かが投げつけられでもしたのか、大きなへこみ瑕ができ、鏡台に並んでいたはずの色ガラスの化粧壺も散乱し、鏡台の抽斗は全て引き抜かれて中身も空けられ、床の上に打ち捨てられていた。

 恭親王が贈った小さな螺鈿細工の宝石箱は蓋が開いた状態で床に転がり、翡翠の腕輪は二つに折られ、真珠の首飾りは糸が切れて白い粒が飛び散っている。銀の透かし彫り細工の蝶を象った簪は、踏まれでもしたのか羽根が折れていた。それは、この前ユリアが踏みつけて壊した簪を修理に出すついでに、恭親王が購入して贈ったものだった。

 いったいどういう名目で、ここまでの破壊活動を行うことができたのか、恭親王はますます、自分の妻だという女のことが理解できなかったし、理解したくもなかった。

「何を目的にこのような暴挙に及んだのだ。失せ物を探すとのことだが、これではこの部屋を破壊しにきたようにしか見えぬ」

 折れた簪を丁寧に半紙で包んで、恭親王は懐に入れながらメイローズとゲルに尋ねる。

「……それが……奥方様が実家から持ってこられた首飾りが無くなったと……」

 ゲルが痛ましそうに部屋を見回しながら答えた瞬間、恭親王の怒りが爆発した。

「で、何故レイナの部屋を家探しせねばならんのだっ!」
「侍女たちもそのように申して抵抗したようなのですが、結局は扉を無理に壊されることになり、レイナ様は捜索を受け入れられたそうなのです……」
「レイナはあの女の部屋になど近づいていないし、そもそもそんな首飾りなど見たこともあるまい!」

 恭親王が珍しく声を荒げるのに、ゲルやメイローズも神妙に頷く。

「はい。その通りに違いございませんが……」

 首飾りを探すという名目だったので、殊更に宝石箱や手文庫の中が荒らされているのであろう。

「推測ではございますが、おそらくは、殿下がお贈りになった品々を改め、破壊してレイナ様を辱めるのが目的だったのでございましょう」

 それまで黙って、痛々しいような表情で部屋を眺めていたゾーイが、低い声で語った。

「寝室の方も酷い有様で……」

 メイローズが寝室への扉を開け、恭親王は一歩踏みだして思わず息を止めた。
 部屋の隅に置かれたレイナの衣裳櫃は荒らされ、衣類は引き出されて踏みにじられ、上には花瓶の水がぶちまけられていた。わざと衣裳を使い物にならないようする、明確な悪意が込められていた。

 部屋の奥の寝台はさらにむごいことになっていた。天蓋は引き裂かれて引きずり降ろされ、羽根布団は切り裂かれて周囲には白い羽毛が散乱している。さらに隣室からわざわざ硯箱を持ち出して、墨液と朱墨をまき散らしてあった。レイナと恭親王が共にしている寝台を、ことさらに穢してやろうとでもしたのだろうか。

「これは……女の嫉妬とは醜いものですな」

 寝室には遠慮して足を踏み入れず、戸口から顔だけ覗き込んでいたゾーイがポツリと呟いた。

 ユリアは命じただけで、実際に暴挙に及んだのは彼女の侍女たちだが、常日頃から嫉妬に狂う主人の有様を見慣れた彼女たちは、まるでその嫉妬が乗り移ったかのように、あらんかぎりの凌辱をレイナの部屋に加えたらしい。

 あまりの惨状に恭親王の頭は完全に冷えていた。怒りが一周ぐるりと回り、もはやユリアに対しては忌々しい、汚らわしいという感情しかなかった。同じ邸の敷地内に住んでいるというだけで不快だったし、口もききたいと思わないが、邸の主人として仕出かしたことの責任は追及せねばならない。

 恭親王はぐるりと踵を返すと、やはり寝室には入らないで控えていたゲルに向かって言った。

「明朝一番でマナシル本家まで行き、公爵……岳父殿にこちらにおいで願え。そして自分の娘が仕出かしたことを余さず見ていただけ」
「は……。しかし、あちらは全て殿下のご寵愛の歪みのせいだと言うのではございませんか?」

 ゲルが頭を下げながら懸念を口にする。

「こんなことを仕出かす女など、寵愛できるわけないだろ。ぶつくさ言うようなら、躾のし直しを要求するまでだ」

 恭親王は顎を心持ち反らして切れ長の目を半眼に眇め、忌々しそうに嘯いた。

「メイローズ、不快だが部屋はこのままにしておけ。レイナはしばらく主房の方に住まわせる。公爵による検分が済んだら、侍女と小宦官に手伝わせて、使えそうなものだけでも引き上げさせろ。レイナの衣類については、明朝、朝一番に侍女とシャオトーズに手配させるように。――では、これからあの女に話を聞きにいくぞ」
「今からですか?」

 ゲルが目を瞠るのに、恭親王は頷いて荒らされた部屋を後にした。
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