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四竅
14、辺境騎士団
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北方騎士団の拠点となる国境の砦まで、馬で七日。帝国の北方の境界線・大河ベルンの畔に聳える石造りの巨大な城砦が見えた時には、さすがの一行もほっとする。
北方辺境騎士団の砦は、帝都暁京より北東方面、大陸の東の海に流れ込むベルンの川幅が大きくなる辺りに置かれている。対岸はわずかに見える程度、ちょうど夕暮れ時で、沈む夕陽が大河ベルンの水面を赤く染めている。聖地から最も遠い、帝国拠点の一つである。
鉄の釘を打たれた巨大な城門がゆっくりと開かれ、騎士団の歓呼に迎えられて入城する。毎年のように皇子たちを迎える騎士団の面々にとっても、恭親王の際だった美貌は目を引いた。
「うわ、とんでもない美眉がいるぞ!」
「馬鹿者、あれが今上の最も鍾愛する第十五皇子様だ」
「うっそ、あれが男とか、俺ショックで死ねる」
「皇子でなかったら、間違いなく今夜中に掘られるな」
ひそひそとあけすけな話声もかわされ、耳に挟んだゾーイは瞬間、頭が沸騰しそうになったが、ギリギリで堪えた。
「全く! 誇り高き帝国の騎士団でありながら、殿下に対してなんたる不敬!」
腸が煮えるほど怒り狂っているゾーイを、ゾラが宥める。
「まあまあ、すっごい女日照りなんだから、しゃーないって。下手な女より殿下の方がキレーなんだから」
そうして、耳元に口を寄せていった。
「さすがに、親王殿下に夜這いかける強者はいねぇとは思うけど、万一にもそんな事故があったら、間違いなく俺たちの首が飛んじまう。注意はするにこしたことはねーぜ。こういう遊ぶところもねぇような、田舎の騎士団では時々あるっていうからね」
ゾーイははっとして、周囲を見回すのであった。
そのまま、砦の大広間にて騎士団幹部との顔合わせが行われた。
今年は何分にも、三か月の長期巡検をさらに五皇子で、という異例さである。騎士団側の負担も大きい。特に、昨年に成人した成郡王と肅郡王の二人は、教育が不十分で技量が足りていない上、ろくな側仕えも付けられていない、というもっぱらの噂であった。騎士団長のパーヴェルと副団長のオロゴンは、緊張した面持ちで五人の皇子たちを迎えた。
先頭は最も爵位の高い恭親王で、以下、成郡王、肅郡王、廉郡王、そしてダヤン皇子という順に広間に入っていくる。待ち受けた騎士たちは、まず恭親王の他を圧する美貌に、そして廉郡王の十五歳にはとても見えない身体の大きさに、驚愕する。この容姿のよく似た二人が目立ちすぎて、他が目に入らない。
「北方辺境騎士団団長、パーヴェルにございます。殿下方には、はるばる北方辺境の備えのためにご来臨を賜り、恐悦至極に存じます」
「三か月、迷惑をかける。よろしく頼む」
繊細な美貌に似合わぬ豪胆な態度で恭親王が皆を代表して挨拶を返す。後は、恭親王の傅役であるデュクトとゲル、廉郡王の傅役であるゼクトとエルド、そして成郡王の傅役のジーノ、ダヤン皇子の傅役のゲリオラが進み出て自己紹介し、具体的な事務仕事については彼らが管轄すると伝えた。それから、ゾーイが進み出て、皇子たちの巡検に扈従する皇宮騎士団の精鋭二百騎の統轄は彼が行うことを述べた。
団長のパーヴェルは以前よりゾーイと面識があった。マフ家の末子が統轄するのであれば、厄介はおこるまい。さらに二皇子の正傅としてソアレス家の者が二人もついている。頼りない年上の二皇子を十分にフォロー可能な布陣と知り、パーフェルは少しばかり胸を撫で下ろす。騎士団側からは、二十歳前後の一人の端正な騎士が進み出て、パーヴェルが皇子ら一行に引き合わせる。
「こちら騎士団の中尉を務めております、フランザ子爵の嫡男、ミシェルです。殿下方との接待役として、折衝の窓口を命じてございます。何か問題がありましたら、この者にお申しつけください」
「ミシェルと申します。お見知りおきください」
辺境出の騎士とは思えぬ、すらりとした体躯に端正なマスク、魔力もそこそこあって、品がいい。それに、フランザ子爵と言う名に、聞き覚えがあった。
「ミシェルじゃねーか! 三年、いや四年ぶりか? 俺のこと憶えてるか?」
ゾラが気安く声をかける。ミシェルが嬉しそうに茶色い目を見開いた。
「……ゾラ卿! 憶えておりますとも! 相変わらず、お元気そうで何よりでございます」
「よせやい、普通にしゃべれってば! キモイぞ!」
「……これが普通なのですが……」
貴族的な容貌のミシェルは、巡検の世話役をすることが多く、ゾラよりもよっぽど貴族的な喋り方ができる。以前、ゾラが巡検で滞在した時の世話役も彼で、その時に親しくなったのだ。
恭親王は、この品のいい騎士が例の不幸な秀女――現在は肅郡王が首ったけの秀女・槐花――の兄であると気づいた。すらりと均整の取れた体躯と、何より辺境出とは到底見えない上品な雰囲気が槐花にもよく似ている。見たことはないが、この男の妹で、さらに槐花の姉であれば、お坊ちゃんのユルゲンが逆上せても仕方のない美しさに違いない。
この日はミシェルの案内で宿舎に導かれ、そこでようやく、旅装を解くことができた。
砦の城壁は二重になっている。将校や兵士たちの家族を含む居住区の内側に、緊急時の最後の籠城拠点ともなる第二の城壁がより高く組まれ、騎士団の本拠となっていた。皇子たちの宿舎には、内側の城壁に近い、大きな邸が当てられていた。砦に高位の貴族が大将軍として派遣された場合や、巡検の宿舎として利用されるのだ。中央の大きな四合院を五皇子で分けて使う。北棟を恭親王が、東棟を廉郡王と肅郡王が、西棟を成郡王とダヤン皇子で利用する。南の棟は侍従たちの詰所と食堂である。厨房は別棟で、ミシェルの指示で食事を運びこませている。
皇子たちが着替えと入浴に出た隙に、ミシェルとゾラ、そしてゾーイ、ゲルフィン、トルフィンといった侍従たちが親交を温める。三か月もの巡検ともなると、現地の将校と良好な関係を保つのは絶対に必要だ。ゾーイが持参した帝都の名物、銘酒、ゲルフィンが用意した南方渡の貴重な傷薬などをミシェルに手渡し、幹部たちへの口利きを請う。それににこやかに頷いて、ミシェルは言った。
「後程、僭越なこととは存じますが、肅郡王殿下にご挨拶できますでしょうか。妹がお世話になっていると聞いておりますので」
ミシェルが丁寧に尋ねるのを、ゲルフィンが頷いた。
「肅郡王殿下も、妹御よりのお手紙を預かっておられるようです。何分、辺境のご令嬢が秀女として入宮するのはご苦労も多い。こちらからの定期報告とともに、後宮に手紙を届けることも可能です。なんなりと言ってください」
「ありがとうございます。以前は帝都のソルバン家に住む妹にさえ、手紙が出せなかったようで……どうしたことかと、思いあぐねておりました」
ミシェルが少しばかり疲れたような表情をした。妹が入宮してより、心の休まる暇がないのだろう。
「順親王殿下は少しばかり、思い詰めておられたようだ。今はご結婚も決まり、吹っ切れておられる。妹御をどうのこうのすることはもう、あるまい」
「俺が、あの時殿下やユルゲン卿を領地に連れて行かなければと、幾度後悔したかしれません。玉の輿など望んではおりません。ただ、幸せな家庭を持って欲しかったのですが……」
結果、一人は十二貴嬪家の側室に、一人は秀女として皇子の側室候補になり、傍から見れば美しい妹を二人を持ったミシェルは果報者なのだろうが、その気苦労たるや、筆舌に尽くしがたい。
そんな話をしているうちに、皇子たちが食事のために現れた。皆、木綿か麻の衫(シャツ)に袖なしの上着を纏う軽装だ。それぞれ宦官の導きに従って席に着く。
七日間の旅を経て、五人の皇子たちはもうすっかりお互いに慣れていた。ゲルフィンがミシェルを伴って肅郡王の前に行き、ミシェルを紹介した。
「殿下、この者がフランザ子爵の嫡男、つまり、槐花殿の兄上の、ミシェル殿です」
「ミシェルと申します。妹がお世話になっておりますとか」
「あっ……こ、こんばんは! 槐花から話は聞いています。手紙も、預かってきているんだ。……い、今は持ってないんだけど。取ってこようか?」
肅郡王が慌てて言うのに、廉郡王が窘める。
「落ち着けよ兄貴。三か月もいるんだ、慌てるこたねぇだろ」
「そ、そ、そうだね」
ミシェルは、他の従卒たちと共に接待に駆けずり回っている、少年を呼び出した。
「兄上、どうしたのですか?」
十四五に見える少年が、不思議そうに首を傾げる。
「殿下、これは我々の弟の、ユーエルです。見習いの騎士として騎士団に出仕しております。こちらも殿下方の接待役を仰せつかっておりますので、よろしくお願いいたします」
「ユーエルと申します。よろしくお願いします」
折り目正しく礼をするユーエルは、黒い真っ直ぐな髪に、理知的な瞳をしていて、槐花によく似ていた。
「槐花にそっくりだねぇ!」
「年子なのです。ユーエル、三妹は今、この殿下にお仕え申し上げているそうだ」
「そうなのですか! 姉上はちゃんとやっていますか?」
「よく仕えてくれているよ」
どうやら槐花は三女であるらしい。
こうして、北方の砦での、最初の夜を皇子たちは過ごした。
北方辺境騎士団の砦は、帝都暁京より北東方面、大陸の東の海に流れ込むベルンの川幅が大きくなる辺りに置かれている。対岸はわずかに見える程度、ちょうど夕暮れ時で、沈む夕陽が大河ベルンの水面を赤く染めている。聖地から最も遠い、帝国拠点の一つである。
鉄の釘を打たれた巨大な城門がゆっくりと開かれ、騎士団の歓呼に迎えられて入城する。毎年のように皇子たちを迎える騎士団の面々にとっても、恭親王の際だった美貌は目を引いた。
「うわ、とんでもない美眉がいるぞ!」
「馬鹿者、あれが今上の最も鍾愛する第十五皇子様だ」
「うっそ、あれが男とか、俺ショックで死ねる」
「皇子でなかったら、間違いなく今夜中に掘られるな」
ひそひそとあけすけな話声もかわされ、耳に挟んだゾーイは瞬間、頭が沸騰しそうになったが、ギリギリで堪えた。
「全く! 誇り高き帝国の騎士団でありながら、殿下に対してなんたる不敬!」
腸が煮えるほど怒り狂っているゾーイを、ゾラが宥める。
「まあまあ、すっごい女日照りなんだから、しゃーないって。下手な女より殿下の方がキレーなんだから」
そうして、耳元に口を寄せていった。
「さすがに、親王殿下に夜這いかける強者はいねぇとは思うけど、万一にもそんな事故があったら、間違いなく俺たちの首が飛んじまう。注意はするにこしたことはねーぜ。こういう遊ぶところもねぇような、田舎の騎士団では時々あるっていうからね」
ゾーイははっとして、周囲を見回すのであった。
そのまま、砦の大広間にて騎士団幹部との顔合わせが行われた。
今年は何分にも、三か月の長期巡検をさらに五皇子で、という異例さである。騎士団側の負担も大きい。特に、昨年に成人した成郡王と肅郡王の二人は、教育が不十分で技量が足りていない上、ろくな側仕えも付けられていない、というもっぱらの噂であった。騎士団長のパーヴェルと副団長のオロゴンは、緊張した面持ちで五人の皇子たちを迎えた。
先頭は最も爵位の高い恭親王で、以下、成郡王、肅郡王、廉郡王、そしてダヤン皇子という順に広間に入っていくる。待ち受けた騎士たちは、まず恭親王の他を圧する美貌に、そして廉郡王の十五歳にはとても見えない身体の大きさに、驚愕する。この容姿のよく似た二人が目立ちすぎて、他が目に入らない。
「北方辺境騎士団団長、パーヴェルにございます。殿下方には、はるばる北方辺境の備えのためにご来臨を賜り、恐悦至極に存じます」
「三か月、迷惑をかける。よろしく頼む」
繊細な美貌に似合わぬ豪胆な態度で恭親王が皆を代表して挨拶を返す。後は、恭親王の傅役であるデュクトとゲル、廉郡王の傅役であるゼクトとエルド、そして成郡王の傅役のジーノ、ダヤン皇子の傅役のゲリオラが進み出て自己紹介し、具体的な事務仕事については彼らが管轄すると伝えた。それから、ゾーイが進み出て、皇子たちの巡検に扈従する皇宮騎士団の精鋭二百騎の統轄は彼が行うことを述べた。
団長のパーヴェルは以前よりゾーイと面識があった。マフ家の末子が統轄するのであれば、厄介はおこるまい。さらに二皇子の正傅としてソアレス家の者が二人もついている。頼りない年上の二皇子を十分にフォロー可能な布陣と知り、パーフェルは少しばかり胸を撫で下ろす。騎士団側からは、二十歳前後の一人の端正な騎士が進み出て、パーヴェルが皇子ら一行に引き合わせる。
「こちら騎士団の中尉を務めております、フランザ子爵の嫡男、ミシェルです。殿下方との接待役として、折衝の窓口を命じてございます。何か問題がありましたら、この者にお申しつけください」
「ミシェルと申します。お見知りおきください」
辺境出の騎士とは思えぬ、すらりとした体躯に端正なマスク、魔力もそこそこあって、品がいい。それに、フランザ子爵と言う名に、聞き覚えがあった。
「ミシェルじゃねーか! 三年、いや四年ぶりか? 俺のこと憶えてるか?」
ゾラが気安く声をかける。ミシェルが嬉しそうに茶色い目を見開いた。
「……ゾラ卿! 憶えておりますとも! 相変わらず、お元気そうで何よりでございます」
「よせやい、普通にしゃべれってば! キモイぞ!」
「……これが普通なのですが……」
貴族的な容貌のミシェルは、巡検の世話役をすることが多く、ゾラよりもよっぽど貴族的な喋り方ができる。以前、ゾラが巡検で滞在した時の世話役も彼で、その時に親しくなったのだ。
恭親王は、この品のいい騎士が例の不幸な秀女――現在は肅郡王が首ったけの秀女・槐花――の兄であると気づいた。すらりと均整の取れた体躯と、何より辺境出とは到底見えない上品な雰囲気が槐花にもよく似ている。見たことはないが、この男の妹で、さらに槐花の姉であれば、お坊ちゃんのユルゲンが逆上せても仕方のない美しさに違いない。
この日はミシェルの案内で宿舎に導かれ、そこでようやく、旅装を解くことができた。
砦の城壁は二重になっている。将校や兵士たちの家族を含む居住区の内側に、緊急時の最後の籠城拠点ともなる第二の城壁がより高く組まれ、騎士団の本拠となっていた。皇子たちの宿舎には、内側の城壁に近い、大きな邸が当てられていた。砦に高位の貴族が大将軍として派遣された場合や、巡検の宿舎として利用されるのだ。中央の大きな四合院を五皇子で分けて使う。北棟を恭親王が、東棟を廉郡王と肅郡王が、西棟を成郡王とダヤン皇子で利用する。南の棟は侍従たちの詰所と食堂である。厨房は別棟で、ミシェルの指示で食事を運びこませている。
皇子たちが着替えと入浴に出た隙に、ミシェルとゾラ、そしてゾーイ、ゲルフィン、トルフィンといった侍従たちが親交を温める。三か月もの巡検ともなると、現地の将校と良好な関係を保つのは絶対に必要だ。ゾーイが持参した帝都の名物、銘酒、ゲルフィンが用意した南方渡の貴重な傷薬などをミシェルに手渡し、幹部たちへの口利きを請う。それににこやかに頷いて、ミシェルは言った。
「後程、僭越なこととは存じますが、肅郡王殿下にご挨拶できますでしょうか。妹がお世話になっていると聞いておりますので」
ミシェルが丁寧に尋ねるのを、ゲルフィンが頷いた。
「肅郡王殿下も、妹御よりのお手紙を預かっておられるようです。何分、辺境のご令嬢が秀女として入宮するのはご苦労も多い。こちらからの定期報告とともに、後宮に手紙を届けることも可能です。なんなりと言ってください」
「ありがとうございます。以前は帝都のソルバン家に住む妹にさえ、手紙が出せなかったようで……どうしたことかと、思いあぐねておりました」
ミシェルが少しばかり疲れたような表情をした。妹が入宮してより、心の休まる暇がないのだろう。
「順親王殿下は少しばかり、思い詰めておられたようだ。今はご結婚も決まり、吹っ切れておられる。妹御をどうのこうのすることはもう、あるまい」
「俺が、あの時殿下やユルゲン卿を領地に連れて行かなければと、幾度後悔したかしれません。玉の輿など望んではおりません。ただ、幸せな家庭を持って欲しかったのですが……」
結果、一人は十二貴嬪家の側室に、一人は秀女として皇子の側室候補になり、傍から見れば美しい妹を二人を持ったミシェルは果報者なのだろうが、その気苦労たるや、筆舌に尽くしがたい。
そんな話をしているうちに、皇子たちが食事のために現れた。皆、木綿か麻の衫(シャツ)に袖なしの上着を纏う軽装だ。それぞれ宦官の導きに従って席に着く。
七日間の旅を経て、五人の皇子たちはもうすっかりお互いに慣れていた。ゲルフィンがミシェルを伴って肅郡王の前に行き、ミシェルを紹介した。
「殿下、この者がフランザ子爵の嫡男、つまり、槐花殿の兄上の、ミシェル殿です」
「ミシェルと申します。妹がお世話になっておりますとか」
「あっ……こ、こんばんは! 槐花から話は聞いています。手紙も、預かってきているんだ。……い、今は持ってないんだけど。取ってこようか?」
肅郡王が慌てて言うのに、廉郡王が窘める。
「落ち着けよ兄貴。三か月もいるんだ、慌てるこたねぇだろ」
「そ、そ、そうだね」
ミシェルは、他の従卒たちと共に接待に駆けずり回っている、少年を呼び出した。
「兄上、どうしたのですか?」
十四五に見える少年が、不思議そうに首を傾げる。
「殿下、これは我々の弟の、ユーエルです。見習いの騎士として騎士団に出仕しております。こちらも殿下方の接待役を仰せつかっておりますので、よろしくお願いいたします」
「ユーエルと申します。よろしくお願いします」
折り目正しく礼をするユーエルは、黒い真っ直ぐな髪に、理知的な瞳をしていて、槐花によく似ていた。
「槐花にそっくりだねぇ!」
「年子なのです。ユーエル、三妹は今、この殿下にお仕え申し上げているそうだ」
「そうなのですか! 姉上はちゃんとやっていますか?」
「よく仕えてくれているよ」
どうやら槐花は三女であるらしい。
こうして、北方の砦での、最初の夜を皇子たちは過ごした。
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