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11、ヴェロニカ・ハミルトン
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西向きの居間には日没の光が差して、母はそろそろ暗くなる部屋で、ランプに自ら明かりを灯しているところだった。
「イライアス、患者さんなの?」
僕たちが部屋に入ると、母が開口一番尋ねる。
「いえ、患者ではありません」
「では――」
僕はローズマリーとの関係については敢えて口にせず、そっとルーカスの背中を押した。
「彼女はローズマリー・オルコット。アーリングベリのオルコット男爵家の出ですが、事情があって王都で暮らしています。こちらが、彼女の息子のルーカスです」
「ルーカス・オルコットです」
ルーカスが礼儀正しく帽子を取り、はきはきと挨拶する。その様子に母は一瞬、目を見開いて、だが、ルーカスがオルコット姓を名乗ったことで、何かは察したらしい。
「まあ、元気のいいこと。可愛らしいわね。坊ちゃんはおいくつ?」
「六つです!」
「お利口さんね、ちゃんとご挨拶できるなんて。あたくしはイライアスの母、ヴェロニカよ」
それからしばらくルーカスを見つめて、言った。
「アーリングベリと言うと、リントン伯爵家の……」
「ええまあ、その縁で、彼女と行きがかりができまして」
母は抑制のきいた人なので、ルーカスの前では余計なことを言わず、僕に尋ねた。
「お母さまのご様子は?」
「たまたま貧血で倒れたところを出くわして……疲労や寝不足なども重なっていたのかもしれません、意識がなくなったので焦りましたが、とりあえず今は眠っています。目を覚ましてから改めて診察しないと確かなことは言えないのですが――」
僕が言いながらチラチラとルーカスに目線をやれば、母はルーカスの前で言うべきでないと察して、頷いた。
「アリス、この坊ちゃんにサロンでお茶とお菓子を出してあげて。……あたくしとイライアスもすぐに行くわ」
「はい、奥様」
部屋の隅に控えていた若いメイドが進み出て、ルーカスに言う。
「あちらでおやつをいただきましょう」
「え、でも……」
「僕もすぐに行くよ。うちの料理長のケーキは絶品だよ?」
メイドに連れられてルーカスがいなくなると、母は勢い込んで僕に突進してきた。
「妊娠してるっていうのは、本当なの? つまりそれは――」
「母上、落ち着いてください。一から説明します」
僕は母上の腕を取ってソファに導くと、隣り合って腰を下ろす。
「まず、ルーカスですが、彼はデニスの子です」
「デニス? リントン伯爵家の?」
「そう、ライラの夫の」
母が少し眉を寄せて考える。
「……六歳というと……ライラが、お嫁に行く前のお話ね?」
「ええ。ローズマリー嬢は、リントン伯爵家に行儀見習いを兼ねたメイド奉公に上がって、そこでデニスの手がついて、ルーカスを妊娠した」
「ありがちなことね」
「しかし、デニスとリントン伯爵は、子供の存在を認めずに、彼女を解雇して、屋敷から追い出した」
「……ライラとの結婚が決まったから?」
僕が頷く。
「ローズマリーはその後、王都に出てルーカスを産んで、一人で育てていたようです。僕は野戦病院でデニスの最期を看取ったとき、彼からローズマリーのことを聞いて、彼女の行方を捜してほしいと頼まれた」
「……それで、アーリングベリに出かけたのね?」
「ええ、そうです。リントン伯爵からも話を聞き、またローズマリーの兄のオルコット男爵から、彼女が王都にいると聞いたので、探偵に依頼して行方を捜し、見つけ出したのです」
「そうなの……ルーカスがデニスの子というのは間違いないのかしら?」
慎重に尋ねる母に、僕が断言する。
「デニスにそっくりなんです。おそらく間違いない」
「それで――今も妊娠中ってことは、それはデニスの子ではないわね?」
「ええ、もちろん」
自信満々頷いた僕の顔を、母上がじっと見る。
「お前は女性が苦手だという話ではなかったかしら? そういう理由で、いくつか縁談もお断りしているけれど」
「ええまあ、あまり得意ではないですね。……女性の患者は特に」
「その割には、ずいぶんと手の早……っと」
母上がしまったと口元に手をやる。僕は内心、ほくそ笑んだ。
「僕は不幸な状況にも負けず、前向きに生きる女性が好きなんです。……ルーカスを身ごもってリントン伯爵家を追い出されたとき、彼女はまだたったの十六歳だったんですよ! なのに、一人で立派にルーカスを育てている。その強さに惹かれてしまって――」
僕が力説すれば、母上はその身の上に同情しながらも、僕をチクリとした視線で見た。
「そんなことなら、なぜ一線を越える前に我が家に連れてこないの。順番が間違っていますよ! 結局またこんなことになって。いつも割を食うのは女性なのよ。お前はデニスのことを批判できませんよ」
「すみません、母上。僕が、焦ってしまって……つい。それに彼女は、未婚の母という自分の身の上を非常に気にしていて……貴族の屋敷に出向くなんてとんでもないって。今回、たまたま彼女が倒れたので問答無用で連れてこれたのですが。目を覚ました後も、きっとびっくりして逃げようとするかもしれません」
「まあ……奥床しいタイプなのかしら? それともお前、嫌われてるんじゃなくて?」
……さすが僕の母。僕がローズマリーに相手にされていないことを、見抜かれないようにしなくては……
「ええ、とても奥床しいタイプで! それにとても美しく、しっかりして自立していて、眩しいくらいです! 最高の女性なんです!」
言っているうちに自分でも興奮してきて、知らず知らず声が大きくなる。
「コホン」
と咳払いの音が聞こえ、振り返れば執事のブレナンが困惑した表情で立っていた。
「……坊ちゃまのお部屋の支度も整えました。ご夕食はどうなさいますか?」
「そうだね、ローズは食べられないかもしれないから、僕とルーカスは先にいただいてしまおうか」
「あたくしも一緒にいただくわ」
「では、そのように手配いたします」
一礼して下がっていくブレナンを見送り、僕は思わず母に聞き返していた。
「……母上は、普段はあまり夕食は……」
母は食べ過ぎはよくないと言って、正式なディナー以外は夕食をほぼ摂らない。
「だって、将来の家族になるかもしれないのでしょ? 最初が肝心だわ」
「母上……よろしいのですか?」
僕の問いに、母は少しばかり目を眇めて見せた。
「あら……もしかしてあたくしが、未婚の母という理由で不幸なご婦人とその子供を追い返すとでも?」
「そんなことは思いませんが……」
母はどんな相手でも、困っている者には手を差し伸べる。そういう人だ。でも、早くも結婚まで見据えているとは想定外だ。僕は内心、焦る。――ローズマリーは僕と結婚するなんて、考えてもいない。何しろ付き合ってもいないからな。……余計なことを彼女の耳に入れられるとまずい。
「実はまだ、彼女にプロポーズできていないのです。……妊娠も、彼女が気づいていたかどうかはさておき、相談もされていなくて」
「あら、ずいぶんとヘタレな上に、信用すら、されていないんじゃくって?」
「そう言われてしまうと――」
僕が頭を掻くと、母が言った。
「いいこと、イライアス、お前はもう、二十八になるの。あたくしと旦那様が結婚したとき、旦那様は二十だったのよ。最近はみんな結婚しなくなっているけど、子供を作るなら早いに越したことはないのよ」
「そんなあからさまな……」
「いいえ! レイチェルのようなこともあるわ!」
「義姉上?」
僕が聞き返せば、母が首を振る。
「レイチェルは結婚して八年になるのに、子供ができなかった。――ローズマリー嬢は少なくとも確実に子供が生めるのよ。貴重だわ」
あまりの言いざまに僕が絶句していると、母が慌てて小声で付け足す。
「あらいやだ。これは本人には内緒にしてちょうだいよ」
「ええ、わかります……」
そんなことは本人には言えない……
とにかく、母がローズマリー母子を受け入れてくれ、僕は第一関門を突破した。
「イライアス、患者さんなの?」
僕たちが部屋に入ると、母が開口一番尋ねる。
「いえ、患者ではありません」
「では――」
僕はローズマリーとの関係については敢えて口にせず、そっとルーカスの背中を押した。
「彼女はローズマリー・オルコット。アーリングベリのオルコット男爵家の出ですが、事情があって王都で暮らしています。こちらが、彼女の息子のルーカスです」
「ルーカス・オルコットです」
ルーカスが礼儀正しく帽子を取り、はきはきと挨拶する。その様子に母は一瞬、目を見開いて、だが、ルーカスがオルコット姓を名乗ったことで、何かは察したらしい。
「まあ、元気のいいこと。可愛らしいわね。坊ちゃんはおいくつ?」
「六つです!」
「お利口さんね、ちゃんとご挨拶できるなんて。あたくしはイライアスの母、ヴェロニカよ」
それからしばらくルーカスを見つめて、言った。
「アーリングベリと言うと、リントン伯爵家の……」
「ええまあ、その縁で、彼女と行きがかりができまして」
母は抑制のきいた人なので、ルーカスの前では余計なことを言わず、僕に尋ねた。
「お母さまのご様子は?」
「たまたま貧血で倒れたところを出くわして……疲労や寝不足なども重なっていたのかもしれません、意識がなくなったので焦りましたが、とりあえず今は眠っています。目を覚ましてから改めて診察しないと確かなことは言えないのですが――」
僕が言いながらチラチラとルーカスに目線をやれば、母はルーカスの前で言うべきでないと察して、頷いた。
「アリス、この坊ちゃんにサロンでお茶とお菓子を出してあげて。……あたくしとイライアスもすぐに行くわ」
「はい、奥様」
部屋の隅に控えていた若いメイドが進み出て、ルーカスに言う。
「あちらでおやつをいただきましょう」
「え、でも……」
「僕もすぐに行くよ。うちの料理長のケーキは絶品だよ?」
メイドに連れられてルーカスがいなくなると、母は勢い込んで僕に突進してきた。
「妊娠してるっていうのは、本当なの? つまりそれは――」
「母上、落ち着いてください。一から説明します」
僕は母上の腕を取ってソファに導くと、隣り合って腰を下ろす。
「まず、ルーカスですが、彼はデニスの子です」
「デニス? リントン伯爵家の?」
「そう、ライラの夫の」
母が少し眉を寄せて考える。
「……六歳というと……ライラが、お嫁に行く前のお話ね?」
「ええ。ローズマリー嬢は、リントン伯爵家に行儀見習いを兼ねたメイド奉公に上がって、そこでデニスの手がついて、ルーカスを妊娠した」
「ありがちなことね」
「しかし、デニスとリントン伯爵は、子供の存在を認めずに、彼女を解雇して、屋敷から追い出した」
「……ライラとの結婚が決まったから?」
僕が頷く。
「ローズマリーはその後、王都に出てルーカスを産んで、一人で育てていたようです。僕は野戦病院でデニスの最期を看取ったとき、彼からローズマリーのことを聞いて、彼女の行方を捜してほしいと頼まれた」
「……それで、アーリングベリに出かけたのね?」
「ええ、そうです。リントン伯爵からも話を聞き、またローズマリーの兄のオルコット男爵から、彼女が王都にいると聞いたので、探偵に依頼して行方を捜し、見つけ出したのです」
「そうなの……ルーカスがデニスの子というのは間違いないのかしら?」
慎重に尋ねる母に、僕が断言する。
「デニスにそっくりなんです。おそらく間違いない」
「それで――今も妊娠中ってことは、それはデニスの子ではないわね?」
「ええ、もちろん」
自信満々頷いた僕の顔を、母上がじっと見る。
「お前は女性が苦手だという話ではなかったかしら? そういう理由で、いくつか縁談もお断りしているけれど」
「ええまあ、あまり得意ではないですね。……女性の患者は特に」
「その割には、ずいぶんと手の早……っと」
母上がしまったと口元に手をやる。僕は内心、ほくそ笑んだ。
「僕は不幸な状況にも負けず、前向きに生きる女性が好きなんです。……ルーカスを身ごもってリントン伯爵家を追い出されたとき、彼女はまだたったの十六歳だったんですよ! なのに、一人で立派にルーカスを育てている。その強さに惹かれてしまって――」
僕が力説すれば、母上はその身の上に同情しながらも、僕をチクリとした視線で見た。
「そんなことなら、なぜ一線を越える前に我が家に連れてこないの。順番が間違っていますよ! 結局またこんなことになって。いつも割を食うのは女性なのよ。お前はデニスのことを批判できませんよ」
「すみません、母上。僕が、焦ってしまって……つい。それに彼女は、未婚の母という自分の身の上を非常に気にしていて……貴族の屋敷に出向くなんてとんでもないって。今回、たまたま彼女が倒れたので問答無用で連れてこれたのですが。目を覚ました後も、きっとびっくりして逃げようとするかもしれません」
「まあ……奥床しいタイプなのかしら? それともお前、嫌われてるんじゃなくて?」
……さすが僕の母。僕がローズマリーに相手にされていないことを、見抜かれないようにしなくては……
「ええ、とても奥床しいタイプで! それにとても美しく、しっかりして自立していて、眩しいくらいです! 最高の女性なんです!」
言っているうちに自分でも興奮してきて、知らず知らず声が大きくなる。
「コホン」
と咳払いの音が聞こえ、振り返れば執事のブレナンが困惑した表情で立っていた。
「……坊ちゃまのお部屋の支度も整えました。ご夕食はどうなさいますか?」
「そうだね、ローズは食べられないかもしれないから、僕とルーカスは先にいただいてしまおうか」
「あたくしも一緒にいただくわ」
「では、そのように手配いたします」
一礼して下がっていくブレナンを見送り、僕は思わず母に聞き返していた。
「……母上は、普段はあまり夕食は……」
母は食べ過ぎはよくないと言って、正式なディナー以外は夕食をほぼ摂らない。
「だって、将来の家族になるかもしれないのでしょ? 最初が肝心だわ」
「母上……よろしいのですか?」
僕の問いに、母は少しばかり目を眇めて見せた。
「あら……もしかしてあたくしが、未婚の母という理由で不幸なご婦人とその子供を追い返すとでも?」
「そんなことは思いませんが……」
母はどんな相手でも、困っている者には手を差し伸べる。そういう人だ。でも、早くも結婚まで見据えているとは想定外だ。僕は内心、焦る。――ローズマリーは僕と結婚するなんて、考えてもいない。何しろ付き合ってもいないからな。……余計なことを彼女の耳に入れられるとまずい。
「実はまだ、彼女にプロポーズできていないのです。……妊娠も、彼女が気づいていたかどうかはさておき、相談もされていなくて」
「あら、ずいぶんとヘタレな上に、信用すら、されていないんじゃくって?」
「そう言われてしまうと――」
僕が頭を掻くと、母が言った。
「いいこと、イライアス、お前はもう、二十八になるの。あたくしと旦那様が結婚したとき、旦那様は二十だったのよ。最近はみんな結婚しなくなっているけど、子供を作るなら早いに越したことはないのよ」
「そんなあからさまな……」
「いいえ! レイチェルのようなこともあるわ!」
「義姉上?」
僕が聞き返せば、母が首を振る。
「レイチェルは結婚して八年になるのに、子供ができなかった。――ローズマリー嬢は少なくとも確実に子供が生めるのよ。貴重だわ」
あまりの言いざまに僕が絶句していると、母が慌てて小声で付け足す。
「あらいやだ。これは本人には内緒にしてちょうだいよ」
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