135 / 236
12、女王の寝室
情交*
しおりを挟む
「……しない、の?」
アデライードの問いに、シウリンが長い白金色の髪をするりと撫でる。予感は、あった。アデライードが自ら彼との交わりを求める時は、彼女が不安の中にある時だ。特に元老院に立ち込めていた、何とも不快な、女王を値踏みし、侮るような気配は本当に苛立たしかった。――彼らが、ただ若く見かけが美しいという理由だけで、皇帝であるシウリンまでをも侮ってくれたのには、嗤ったけれど。
シウリンはアデライードを抱き上げて、膝の上に引きあげる。跨るように膝に乗せ、唇と唇を合わせ、貪りながら夜着の帯を引き抜いて、くったりとした絹の夜着を肩から滑り落とす。目の前に現れた白い身体に唇を這わせ、大きな手のひらで白く滑らかな背中を撫でて、尻のまろみを掌で覆う。
「ふっ……んんっ……」
アデライードもまた、唇や首筋、双丘の谷間に口づけをうけながら、白い手を動かしてシウリンの夜着を脱がせる。金鎖に通した神器の指輪が、魔力灯の淡い光を弾いて煌めいた。
「アデライード……愛してる」
肩口に顔を埋めて呟けば、アデライードの身体が震え、白金の髪が揺れる。
「シウ、リン……ちょうだい……早く……怖いの、忘れたいの……」
「ああ、わかってる………すぐに……」
素早く指を這わせ、彼女の準備が整っていることを確認すると、十分に昂った己を突き立てる。膝立ちになった状態からゆっくり腰を落として、アデライードが彼を飲み込んでいく。普段よりも性急な交わりなのに、アデライードの中はシウリンを求めるように蠢き、彼を快楽に誘おうとする。
「くっ……すごいな……こんな………」
彼の上で自ら白い裸身をくねらせるアデライードは、シウリンの目には壮絶なまでに妖艶に見えた。
「ずいぶんと淫乱な女王様だな……」
わざと揶揄するように言えば、アデライードは白金の髪を振り乱し、半ば開いた唇から熱い吐息を零して、彼の耳元に唇を寄せ、右耳の翡翠の口に含む。耳朶から流れ込む彼女の〈王気〉に、脳が溶けそうだと思いながら、彼も大きく腰を突き上げる。
「ああっ……あ、あぁあっ……もうっ……」
自ら上り詰めようと腰を振るアデライードが、今にも達しようと胸を突き出すようにして、身体を反らす。その瞬間、シウリンはアデライードの腰を両手でガッチリつかんで、彼女の動きを止めた。
「や……なん、……ああっ……そんな……」
快楽への梯子を外されて、アデライードが自ら動こうと身を捩るけれど、彼の大きな手がそれを許さない。
「ああっおね、おねが……いや、こんな……もう少しで……」
「もう少しで、イけたのに? イきたい?」
「あ、やっ……やあっ……おねが、おねがい……もうっ……」
ふぁさふぁさと髪を振って、アデライードがシウリンに懇願する。目じりには涙が浮かび、切なげに彼を見る。その表情に猛烈に劣情を刺激されるけれど、シウリンは意地悪そうに微笑んで、アデライードがイけない程度に、緩やかに腰を動かす。
「イきたい?……イかせて、ってお願いして。アデライード。そうしたら……」
「あっ……や、やああっ……」
「イきたいんでしょ? もっと気持よくなりたいって、お願いして……シウリン、お願いって……」
その口調は辺境の神殿で交わった時の、十二歳のシウリンのように、優しくて意地悪だった。そう思うと、アデライードの身体の奥がさらに熱く滾って、勝手にその内壁を震わせていく。
「あああっ……そんなっ……やあああああっ」
「うわっ……ちょっと待って……動いてないのに、反則……」
「ああっもうっ……あああああああ!」
ついにアデライードは大きく上半身を反らして絶頂してしまう。動いてもいないのに肉楔が締め付けられ、快感に弾けそうになるのをシウリンはぐっと堪えて、アデライードの腰を掴む手に力を籠める。
「ああっ……悪い女王様だ、アデライード……独りで勝手にイくなんて……お仕置きが、必要だな……」
シウリンは繋がったままアデライードの腰を支えて、そのままゴロリと態勢を変えて反転し、白い太ももを掴んで両足を大きく広げ、絶頂に震える蜜洞に激しく腰をぶつけ、内部を穿った。
「あっやあああっ…ああ――――――――――っ」
激しい抽挿にアデライードが悲鳴をあげ、両手で敷布を握りしめ、両脚の爪先までピンと硬直させてさらに深い快楽の渕に沈んだ。ひたすら頭を左右に動かして白金の髪を振り乱し、ただもう、全身でよがり狂った。
「あああっあぁあ―――――――っ」
「くっはっ……ああもう、すごいよ、アデライード、こんなに、乱れて、ああっ……淫らな女王陛下……もっと、もっとイけるだろ?もっと、もっと乱れて、私に甘えて……」
もう結合部はぐずぐずのどろどろに溶けあって、敷布はぐっしょり濡れて染みを作っている。それをさらにシウリンは翻弄するように腰を動かし、突き上げ、時には焦らしてアデライードの耳元で強請る。
「ねえ、気持ちいい? あなたの中はどんな風? 今、どんな風に感じている? 教えて……アデライード、淫乱な私だけの女王様」
「やっ……そん、……なあっ……あああっ、きもち、きもちい……ああああっ、あつい、あつくて……あああんっ……」
「女王陛下のくせに奥まで突かれまくって、ぐちょぐちょに濡らして……ああもう、淫乱、淫乱女王様、奈落の底まで堕として差し上げるから、好きなだけイけばいいっ……」
「あああっ……やああっ、気持ちいいっ……あああっ、ああ――――――――っ」
ついにもう一度達して気を失ったアデライードの、痙攣する膣の中からシウリンは己を抜き去り、アデライードの腹をめがけて吐精した。濃くて大量の精の飛沫が飛んで、アデライードの胸から白い頬までも汚す。
「くううっ……ああっ……いっそ、顔にかけてやればよかった……」
はあっとすべて出し切ってから呟いたが、だが即位の初日からそんなことをしたとバレたら、いろいろ面倒なことになりそうだな、とシウリンは思う。
――何しろ一人は確実に、どこかからデバガメを決め込んでいるインポ野郎がいるわけだしな。
この前のゲルフィンの時もそうだが、彼自身はすでに、人に見られようがなんだろうが、何とも思わなくなってしまった。だがアデライードは見られているなどと知ったら、二度とヤらせてくれなくなるかもしれない。そんなことを思いながら、敷布を剥がしてそれでアデライードの腹や秘部を拭う。
枕許の魔導呼び鈴を鳴らせば、程なくして慣れた気配が天蓋布の外部に現れた。
「お呼びですか」
「……メイローズか。お前、枢機卿のくせに働き者だな」
「シャオトーズは王城の侍女たちに訓戒中でしてね。忙しいのですよ」
「久々にアデライードに強請られてヤりすぎた。ひと風呂浴びるから、その間に敷布を替えてくれ」
「……ご懐妊中の方に、何てまあ」
呆れたようなメイローズの言葉に、シウリンが肩をすくめる。
「ヤったくらいで胎児に影響がでるなら、今頃、龍種なんてとっくの昔に滅んでるだろ」
「それはまあ、そうなのですがね」
メイローズは絹のとばりを少しだけ持ち上げて、隙間からアデライードの夜着を差し入れる。シウリンはそれで気を失ったアデライードを包むと、自分は全裸のまま、彼女を抱き上げて寝台を降りる。一度部屋の外に出て他の宦官に伝達したらしいメイローズが戻ってきて、シウリンを浴室に導き、背後から手だけ伸ばして、アデライードの長い髪を器用に捩じって簪で留める。アデライードを覆っていた夜着をするりと抜き取って、アデライードを見ないよう、頭を下げたまま後向きに下がって浴室を出ていく。その一連の動作の隙の無さに、聖職者になったのはどう考えても間違いだろうと、シウリンは可笑しくなる。お湯にざっと浸かり、軽く汗と汚れを洗い流して、すぐに湯から上がる。気配を察したのか、メイローズがすぐに浴室内に入ってきて、準備してある湯上りでアデライードの濡れた身体を覆い、受け取って寝台へと戻る。シウリンも湯上りで身体を拭いて、新しい夜着を纏ってその後を追うと、すでに整えられた寝台の上に、メイローズがアデライードを横たえるところであった。
「今夜はもう、ご無理はさせないで下さいよ?」
「わかってる。久しぶりに暴走した。反省はしている」
そう言って笑ったシウリンだが、不意に首筋に警告を感知した。
「メイローズ! 何か来るぞ!」
「ええっ?!」
その瞬間、バンっと隣室との扉が開いて、黒い影が三人、女王の寝室に飛び込んできた。
「刺客だ――! イフリートの《黒影》だ!」
シウリンの叫びに、咄嗟にメイローズが首に下げた呼子の笛を鳴らした。
アデライードの問いに、シウリンが長い白金色の髪をするりと撫でる。予感は、あった。アデライードが自ら彼との交わりを求める時は、彼女が不安の中にある時だ。特に元老院に立ち込めていた、何とも不快な、女王を値踏みし、侮るような気配は本当に苛立たしかった。――彼らが、ただ若く見かけが美しいという理由だけで、皇帝であるシウリンまでをも侮ってくれたのには、嗤ったけれど。
シウリンはアデライードを抱き上げて、膝の上に引きあげる。跨るように膝に乗せ、唇と唇を合わせ、貪りながら夜着の帯を引き抜いて、くったりとした絹の夜着を肩から滑り落とす。目の前に現れた白い身体に唇を這わせ、大きな手のひらで白く滑らかな背中を撫でて、尻のまろみを掌で覆う。
「ふっ……んんっ……」
アデライードもまた、唇や首筋、双丘の谷間に口づけをうけながら、白い手を動かしてシウリンの夜着を脱がせる。金鎖に通した神器の指輪が、魔力灯の淡い光を弾いて煌めいた。
「アデライード……愛してる」
肩口に顔を埋めて呟けば、アデライードの身体が震え、白金の髪が揺れる。
「シウ、リン……ちょうだい……早く……怖いの、忘れたいの……」
「ああ、わかってる………すぐに……」
素早く指を這わせ、彼女の準備が整っていることを確認すると、十分に昂った己を突き立てる。膝立ちになった状態からゆっくり腰を落として、アデライードが彼を飲み込んでいく。普段よりも性急な交わりなのに、アデライードの中はシウリンを求めるように蠢き、彼を快楽に誘おうとする。
「くっ……すごいな……こんな………」
彼の上で自ら白い裸身をくねらせるアデライードは、シウリンの目には壮絶なまでに妖艶に見えた。
「ずいぶんと淫乱な女王様だな……」
わざと揶揄するように言えば、アデライードは白金の髪を振り乱し、半ば開いた唇から熱い吐息を零して、彼の耳元に唇を寄せ、右耳の翡翠の口に含む。耳朶から流れ込む彼女の〈王気〉に、脳が溶けそうだと思いながら、彼も大きく腰を突き上げる。
「ああっ……あ、あぁあっ……もうっ……」
自ら上り詰めようと腰を振るアデライードが、今にも達しようと胸を突き出すようにして、身体を反らす。その瞬間、シウリンはアデライードの腰を両手でガッチリつかんで、彼女の動きを止めた。
「や……なん、……ああっ……そんな……」
快楽への梯子を外されて、アデライードが自ら動こうと身を捩るけれど、彼の大きな手がそれを許さない。
「ああっおね、おねが……いや、こんな……もう少しで……」
「もう少しで、イけたのに? イきたい?」
「あ、やっ……やあっ……おねが、おねがい……もうっ……」
ふぁさふぁさと髪を振って、アデライードがシウリンに懇願する。目じりには涙が浮かび、切なげに彼を見る。その表情に猛烈に劣情を刺激されるけれど、シウリンは意地悪そうに微笑んで、アデライードがイけない程度に、緩やかに腰を動かす。
「イきたい?……イかせて、ってお願いして。アデライード。そうしたら……」
「あっ……や、やああっ……」
「イきたいんでしょ? もっと気持よくなりたいって、お願いして……シウリン、お願いって……」
その口調は辺境の神殿で交わった時の、十二歳のシウリンのように、優しくて意地悪だった。そう思うと、アデライードの身体の奥がさらに熱く滾って、勝手にその内壁を震わせていく。
「あああっ……そんなっ……やあああああっ」
「うわっ……ちょっと待って……動いてないのに、反則……」
「ああっもうっ……あああああああ!」
ついにアデライードは大きく上半身を反らして絶頂してしまう。動いてもいないのに肉楔が締め付けられ、快感に弾けそうになるのをシウリンはぐっと堪えて、アデライードの腰を掴む手に力を籠める。
「ああっ……悪い女王様だ、アデライード……独りで勝手にイくなんて……お仕置きが、必要だな……」
シウリンは繋がったままアデライードの腰を支えて、そのままゴロリと態勢を変えて反転し、白い太ももを掴んで両足を大きく広げ、絶頂に震える蜜洞に激しく腰をぶつけ、内部を穿った。
「あっやあああっ…ああ――――――――――っ」
激しい抽挿にアデライードが悲鳴をあげ、両手で敷布を握りしめ、両脚の爪先までピンと硬直させてさらに深い快楽の渕に沈んだ。ひたすら頭を左右に動かして白金の髪を振り乱し、ただもう、全身でよがり狂った。
「あああっあぁあ―――――――っ」
「くっはっ……ああもう、すごいよ、アデライード、こんなに、乱れて、ああっ……淫らな女王陛下……もっと、もっとイけるだろ?もっと、もっと乱れて、私に甘えて……」
もう結合部はぐずぐずのどろどろに溶けあって、敷布はぐっしょり濡れて染みを作っている。それをさらにシウリンは翻弄するように腰を動かし、突き上げ、時には焦らしてアデライードの耳元で強請る。
「ねえ、気持ちいい? あなたの中はどんな風? 今、どんな風に感じている? 教えて……アデライード、淫乱な私だけの女王様」
「やっ……そん、……なあっ……あああっ、きもち、きもちい……ああああっ、あつい、あつくて……あああんっ……」
「女王陛下のくせに奥まで突かれまくって、ぐちょぐちょに濡らして……ああもう、淫乱、淫乱女王様、奈落の底まで堕として差し上げるから、好きなだけイけばいいっ……」
「あああっ……やああっ、気持ちいいっ……あああっ、ああ――――――――っ」
ついにもう一度達して気を失ったアデライードの、痙攣する膣の中からシウリンは己を抜き去り、アデライードの腹をめがけて吐精した。濃くて大量の精の飛沫が飛んで、アデライードの胸から白い頬までも汚す。
「くううっ……ああっ……いっそ、顔にかけてやればよかった……」
はあっとすべて出し切ってから呟いたが、だが即位の初日からそんなことをしたとバレたら、いろいろ面倒なことになりそうだな、とシウリンは思う。
――何しろ一人は確実に、どこかからデバガメを決め込んでいるインポ野郎がいるわけだしな。
この前のゲルフィンの時もそうだが、彼自身はすでに、人に見られようがなんだろうが、何とも思わなくなってしまった。だがアデライードは見られているなどと知ったら、二度とヤらせてくれなくなるかもしれない。そんなことを思いながら、敷布を剥がしてそれでアデライードの腹や秘部を拭う。
枕許の魔導呼び鈴を鳴らせば、程なくして慣れた気配が天蓋布の外部に現れた。
「お呼びですか」
「……メイローズか。お前、枢機卿のくせに働き者だな」
「シャオトーズは王城の侍女たちに訓戒中でしてね。忙しいのですよ」
「久々にアデライードに強請られてヤりすぎた。ひと風呂浴びるから、その間に敷布を替えてくれ」
「……ご懐妊中の方に、何てまあ」
呆れたようなメイローズの言葉に、シウリンが肩をすくめる。
「ヤったくらいで胎児に影響がでるなら、今頃、龍種なんてとっくの昔に滅んでるだろ」
「それはまあ、そうなのですがね」
メイローズは絹のとばりを少しだけ持ち上げて、隙間からアデライードの夜着を差し入れる。シウリンはそれで気を失ったアデライードを包むと、自分は全裸のまま、彼女を抱き上げて寝台を降りる。一度部屋の外に出て他の宦官に伝達したらしいメイローズが戻ってきて、シウリンを浴室に導き、背後から手だけ伸ばして、アデライードの長い髪を器用に捩じって簪で留める。アデライードを覆っていた夜着をするりと抜き取って、アデライードを見ないよう、頭を下げたまま後向きに下がって浴室を出ていく。その一連の動作の隙の無さに、聖職者になったのはどう考えても間違いだろうと、シウリンは可笑しくなる。お湯にざっと浸かり、軽く汗と汚れを洗い流して、すぐに湯から上がる。気配を察したのか、メイローズがすぐに浴室内に入ってきて、準備してある湯上りでアデライードの濡れた身体を覆い、受け取って寝台へと戻る。シウリンも湯上りで身体を拭いて、新しい夜着を纏ってその後を追うと、すでに整えられた寝台の上に、メイローズがアデライードを横たえるところであった。
「今夜はもう、ご無理はさせないで下さいよ?」
「わかってる。久しぶりに暴走した。反省はしている」
そう言って笑ったシウリンだが、不意に首筋に警告を感知した。
「メイローズ! 何か来るぞ!」
「ええっ?!」
その瞬間、バンっと隣室との扉が開いて、黒い影が三人、女王の寝室に飛び込んできた。
「刺客だ――! イフリートの《黒影》だ!」
シウリンの叫びに、咄嗟にメイローズが首に下げた呼子の笛を鳴らした。
11
お気に入りに追加
169
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
呪われ姫の絶唱
朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。
伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。
『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。
ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。
なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。
そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。
自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。
月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~
真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる