上 下
106 / 236
9、記憶の森

激しい夜*

しおりを挟む
 ビクン、ビクンと瀕死の魚のように震えるアデライードからシウリンはようやく顔をあげ、素早く帯を解いて夜着を脱ぎ捨てる。神器の指輪が彼の逞しい胸で揺れている。男は彼女の両脚を開いて、片足を肩に担ぐような格好で、そそり立つ肉茎を淫液に塗れた秘所に宛がい、一気に剛直を打ち込んだ。

「はああっああ―――――っ」

 ちょうど両脚はおよそ直角に開くような形で、最奥まで貫かれたアデライードはそれだけで達してしまい、両足をピンと伸ばした状態で全身を硬直させる。抱え上げた足の甲で、アンクレットの翡翠の飾りが小刻みに震える。ぶわりと蜜が溢れ、長い絶頂に彼女の内壁が凄まじい収縮を見せて男の楔を締めあげ、絡みつく襞の一つ一つから甘い〈王気〉が男の肉茎を侵食して、男の腰から脳髄まで溶けるほどの快感をもたらす。しばらくじっと動かずに、奥歯を噛みしめて強烈な快感を味わいながら、絶頂に悶え快楽に蕩けたアデライードの表情を見下ろす。彼の妻は美しくて、淫らで――そして何よりも甘い。

「ああっ……あ……はっはっ……あああっ」

 頂点の波が去って、アデライードが息を吐いて身体を弛緩させた瞬間を狙い、男は激しく腰を突き上げ始める。

 溢れる愛液を掻き出すように肉楔を出し入れすれば、ぐじゅぐじゅといやらしい水音がして、溢れる蜜が泡を立てて彼女の尻の方に流れ落ち、敷布に染みを作る。肌と肌のぶつかる乾いた音と、突き上げるリズムに合わせて発せられるアデライードの甲高い喘ぎ声、激しい動きに寝台はギシギシと軋んで、男の荒い息遣いとこらえきれない低い呻き声が紗幕の中に響く。

「あっやあっ、ああっいまっだめぇ、ああっ、あっあっあーっ、いあっ、やあっあっ」
「うっ……すごいなっアデライード……くっ……はあっはあっ……ううっ……くうっ締まる……」
  
 アデライードの両のまなじりには涙が浮かび、口を半ば開いたまま両手は敷布をかき寄せ、握り締めて必死に快楽に耐えている。揺さぶられるたびに白い二つの乳房が揺れ、頂点の赤い蕾が物欲しげに揺れている。

 シウリンはリズムよく腰をぶつけながらも上半身を下ろしていき、アデライードの胸の先端の蕾を、ちろりと舌で舐めた。
 
「ひあああっだめぇっ……やあ――っ」

 アデライードが身体を仰け反らせ、びくびくと身体を震わせる。まだ終わらせるのはもったいないな――しつこく苛むべきではないと思いながらも、もうしばらく快楽を味わいたくて、男は抽挿のスピードを少し緩める。ゆっくり内部の感触を味わうように腰を回し、かついでいた片足を下ろして、ぐるっと回すようにアデライードの身体をうつ伏せに反転させる。
 
 ずん、

 体位を変えて、一際奥に捻じ込んでやれば、アデライードが白い背中を仰け反らせ、細い喉を上に向けるように白金色の頭を反らせた。長い髪が滑らかで華奢な背中を滑り落ちる。

「ひっ……あああっ……」

 シウリンが背後から抱き込むようにして、アデライードの耳朶に唇をつけ、甘噛みすると、びくんとさらに白い身体がうねった。敷布を握り締めているアデライードの両手を、それぞれ指を絡めるように上から握り込み、耳の穴に舌をねじ込んで嬲りながら、抜ける直前まで抜いた楔を一気に最奥に叩きつける。

「あああああっ」
 
 奥の感じる場所を繰り返し突けば、アデライードの内壁は今にも頂点に誘おうとするかの如く、男の雄をぎゅるぎゅると締めあげる。

 ぱん、ぱん、と乾いた音を立てて突き上げ、荒い息の下からなおもアデライードを言葉で嬲る。

「すごいな、あなたの中が私を締めあげて……早くイきたかったのか? ああ、その顔、蕩け切っていやらしい顔をしている……気持ちいいんだろう? 私の淫乱なアデライード……」
「はあっ……ちがっ……ああっ、でもっでもっもう……イ、イく、イっちゃう……」
「あなたが気持ちいいと、胎の子もきっと気持ちいいに違いない。……もしかして、こうやって幾度も愛し合って生まれると、あなたのような淫乱になるのかもしれないな」
「いや、ちがっ……ああっあああっあああああっ」

 アデライードはもう、快楽のあまり両腕で身体を支えることができなくて、敷布の上に横向きに顔をつけ、男のなすがままに背後から貪られるに任せる。男は両手でアデライードの両手の指を絡めたまま、頂点に駆け上がるために腰の動きを速める。

「ああっやあっいあっああっあああっい、いい、いいのぉ、あああっ、あっあっあ―――――」
「くっはあっ……うううっ……もう、私も……くぅ―――」

 男は奥歯を噛みしめて射精を堪えると、ぎりぎりまで膨張した楔を締め付けて、まずアデライードが達した。内壁を震わせ、搾り取る動きに耐えて、男は素早く楔を抜き去り、アデライードの背中に吐精した。

「あっ……ああっ……」

 背中に浴びせられたドロリとした液体の熱さに、アデライードが達したばかりの身体を震わせる。男も荒い息を吐きながら手で扱いてすべてを出し切ると、はあ、と深い息をついて枕元のに備えてあるリネンを掴んでアデライードの背中を拭い、自身の肉茎と、アデライードの秘部を拭う。
 それからぐったりしているアデライードの背中を抱きしめて、うなじや髪、背中にキスの雨を降らす。

「可愛い、アデライード……愛している」
「んん……シウ、リン……」

 アデライードが身体を反転させシウリンと向かい合わせになり、細い両腕を伸ばして彼の首に絡める。シウリンもちょうど腕枕するような形で向かい合い、抱きしめあって口づけを交わす。

「気持ちよかっただろう?……たまにはしないと、はらの子にもきっとよくない」
「それは……」
 
 ついばむような口づけの雨の間に、深い口づけを交わし、金と銀の龍が互いの尾を絡ませあうように、二人も互いの両腕と両足を絡ませて抱き合う。互いに少しも離れまいとーー。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔術師セナリアンの憂いごと

野村にれ
ファンタジー
エメラルダ王国。優秀な魔術師が多く、大陸から少し離れた場所にある島国である。 偉大なる魔術師であったシャーロット・マクレガーが災い、争いを防ぎ、魔力による弊害を律し、国の礎を作ったとされている。 シャーロットは王家に忠誠を、王家はシャーロットに忠誠を誓い、この国は栄えていった。 現在は魔力が無い者でも、生活や移動するのに便利な魔道具もあり、移住したい国でも挙げられるほどになった。 ルージエ侯爵家の次女・セナリアンは恵まれた人生だと多くの人は言うだろう。 公爵家に嫁ぎ、あまり表舞台に出る質では無かったが、経営や商品開発にも尽力した。 魔術師としても優秀であったようだが、それはただの一端でしかなかったことは、没後に判明することになる。 厄介ごとに溜息を付き、憂鬱だと文句を言いながら、日々生きていたことをほとんど知ることのないままである。

短編まとめ

あるのーる
BL
大体10000字前後で完結する話のまとめです。こちらは比較的明るめな話をまとめています。 基本的には1タイトル(題名付き傾向~(完)の付いた話まで)で区切られていますが、同じ系統で別の話があったり続きがあったりもします。その為更新順と並び順が違う場合やあまりに話数が増えたら別作品にまとめなおす可能性があります。よろしくお願いします。

皆さん、覚悟してくださいね?

柚木ゆず
恋愛
 わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。  さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。  ……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。  ※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

BL r-18 短編つめ 無理矢理・バッドエンド多め

白川いより
BL
無理矢理、かわいそう系多いです(´・ω・)

ヒーローは洗脳されました

桜羽根ねね
BL
悪の組織ブレイウォーシュと戦う、ヒーロー戦隊インクリネイト。 殺生を好まないヒーローは、これまで数々のヴィランを撃退してきた。だが、とある戦いの中でヒーロー全員が連れ去られてしまう。果たして彼等の行く末は──。 洗脳という名前を借りた、らぶざまエロコメです♡悲壮感ゼロ、モブレゼロなハッピーストーリー。 何でも美味しく食べる方向けです!

初めてなのに中イキの仕方を教え込まれる話

Laxia
BL
恋人との初めてのセックスで、媚薬を使われて中イキを教え混まれる話です。らぶらぶです。今回は1話完結ではなく、何話か連載します! R-18の長編BLも書いてますので、そちらも見て頂けるとめちゃくちゃ嬉しいですしやる気が増し増しになります!!

旦那様と楽しい子作り♡

山海 光
BL
人と妖が共に暮らす世界。 主人公、嫋(たお)は生贄のような形で妖と結婚することになった。 相手は妖たちを纏める立場であり、子を産むことが望まれる。 しかし嫋は男であり、子を産むことなどできない。 妖と親しくなる中でそれを明かしたところ、「一時的に女になる仙薬がある」と言われ、流れるままに彼との子供を作ってしまう。 (長編として投稿することにしました!「大鷲婚姻譚」とかそれっぽいタイトルで投稿します) ─── やおい!(やまなし、おちなし、いみなし) 注意⚠️ ♡喘ぎ、濁点喘ぎ 受け(男)がTSした体(女体)で行うセックス 孕ませ 軽度の淫語 子宮姦 塗れ場9.8割 試験的にpixiv、ムーンライトノベルズにも掲載してます。

悪役の俺だけど性的な目で見られています…(震)

彩ノ華
BL
悪役に転生した主人公が周りから性的な(エロい)目で見られる話 *ゆるゆる更新 *素人作品 *頭空っぽにして楽しんでください ⚠︎︎エロにもちょいエロでも→*をつけます!

処理中です...