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9、記憶の森

意地悪な指*

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「んんんっ……シウリン……わたしも、あなたが……好き……」

 シウリンが動きを止め、身体を起こして真正面からアデライードを見下ろす。端麗な唇に笑みが浮かび、瞳が優しく――だが、情欲を宿してきらめいた。

「あなたは私を煽るのがうまい……」
「ちが……そんな、つもりじゃ……」
 
 シウリンは微笑むと、左手でアデライードの秘所を探り、長い指で秘裂を割る。

「ふっ……ううっ……」

 花弁の内側を優しく撫で、別の指で敏感な花芽に触れる。びくん、とアデライードの腰が大きく揺れた。

「ダメっ……おねがい……」

 どうやらアデライードは、絶頂したらはらの子によくないと思い込んでいるらしい。十二歳のシウリンは、アデライードに拒否されれば渋々引き下がっていたが、二十三歳のシウリンはそんなことでは引いたりしない。

「大丈夫だ、そんなに激しくはしない。イったくらいじゃあ、はらの子は流れないから」

 別にシウリンとて妊婦にそこまで知識があるわけではないが、セックス自体が妊娠によくないのであれば、あの周到なメイローズが二人の同衾を許すわけがないのである。要するに、「ほどほどに」であれば、問題はないということだ。――まあ、それが難しいことは、シウリン自身がよーくわかっているけれど。

 しつこく言われたのは「中に出すな」ということだった。それから還精の法――女性をいくども絶頂させて魔力を還流させることにより、精の中の魔力を無毒化する方法――は魔力のある女性の場合、女体から魔力を吸い上げるので、胎児によろしくない、と。要するに普段ほどしつこくせず、すぐに外に出せ、ということだな、と二十三歳のシウリンなら理解することができる。何でも最近陰陽宮で開発されたとかいう、羊の腸を利用して陰茎に被せて使う怪しげな被膜も渡されて、「これをご使用ください」なんてドヤ顔で言われたけれど、こんなものを大事な分身に被せるなんて、男の沽券コケンに関わると思って拒否した。彼女の中に自分の一部以外の異物が入るなんて、許せない。

『これは避妊や、感染症の予防にも効果があると思うんですがねー』

 なんて抜かしていたが、やっぱり宦官だから、男の気持ちがわからないんだろうなと、改めて思いながら、シウリンは長い指でアデライードの中をゆっくりと穿っていく。

「あっ……でもっ……」
「もう、すっかり濡れて、ヒクヒクしてる。……ずっと、ご無沙汰だっただろう? 昨日までの私は、バカ正直にあなたの言うことを聞いて、あなたを慰めてあげられなかった。あなたの『いや』と『だめ』が、本当は『もっと』って意味だってことまで忘れていたからな。すまなかった、愛しいアデライード……」

 喉の奥で皮肉っぽい含み笑いを響かせながら揶揄されて、アデライードは顔から火が出そうなほど顔が熱くなった。

「ちがいますっ……もうっ……記憶がもどったら、途端に意地悪になって……ひどいっ……ああっ」

 実際、数か月ぶりに彼に触れられて、アデライードの蜜壺はもう、しとどに蜜を滴らせている。じゅぼじゅぼとわざと淫靡な水音を立てて指を出し入れされ、アデライードの腰が自然に動き、呼吸が上がり、鼻にかかった甘い喘ぎが漏れる。
 
「すごいな、私の指に喰いついてくるぞ?もう、我慢できないって感じだ?」
「ちがっ……やあっ……あああっ……んん、んあっ……」

 シウリンはアデライードの脚の間に顔を寄せ、溢れ出る蜜を舐める。

「ひああっ」

 暖かく柔らかい感触に、アデライードが白い身体を仰け反らせる。ぴちゃぴちゃとわざと水音を立てて、いやらしく舌で花弁を舐めまわす。長い指で包皮を剥き、露出させた陰核を尖らせた舌先で刺激してやれば、アデライードが甲高い悲鳴を上げた。

「はあっ……やああっ……だめぇーっ……ああっあ―――っ」

 びくびくと腰を震わせ、男の愛撫から逃れようとする小ぶりの尻をがっちりと抱き込み、なおも奥へと舌を這わせる。ぷっくりと膨れた陰核を何度も擦るように舐め上げれば、そのたびにアデライードが淫らな嬌声をあげ、上半身を捩り、長い白金色の髪をふさふさと乱して盛んに首を振る。

「ああっ、はあっ……いやぁっ……や、だめっ、だめっああっああっあっあ―――――――っ」

 陰核に軽く歯を立てると、アデライードは堪えきれずに白い喉を天井に向け、両胸を突き出すようにして白い身体を反らし、全身を硬直させて達した。いっきに溢れる蜜を吸い上げ、ガクガクと痙攣を続ける彼女の秘部をなおも責め続ける。

「もうっ、やあっ、だめっあああっ、ああっはああっいやあっ……ああっ」
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