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1、オアシスの夜
十年越しの手紙
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アデライードは狙いを過つことなく、きちんと自分の部屋に帰りついた。例によってアリナが部屋に詰めていて、現れたアデライードに走り寄る。
「姫様、よくご無事で……。殿下は、いかがでした?」
「ええ、お元気だったわ。ご自分で仕留めて料理した鴨をご馳走になったの。とっても美味しかった! 殿下はエンロンさんのお蕎麦も、メイローズさんが用意したお握りも、美味しいって喜んで召し上がったわ。イスマニヨーラ伯父様へのお手紙を預かっているの」
「すぐに、メイローズ枢機卿を呼んでまいります」
姫の帰還を知って、リリアやアンジェリカも部屋に入ってくる。少し砂に汚れた長衣やサンダルに気づいて、リリアが入浴の支度を始め、アンジェリカが新しい長衣を用意する。
駆け付けたメイローズが、アデライードが持ちかえった品物を片づけにかかる。綺麗に料理が平らげられた魔導ポットを見て、安堵の溜息をつく。食べるということは、主が元気だという何よりの証拠だから。一方で、主の着ていた服を見て、しばし声を失う。あちこち破れ、ほつれ、汗と泥に汚れたそれは、主が現在置かれている、過酷な環境をそのまま表している。
「わが主にはお怪我などはなく……」
「ええ、問題ないようでした。あなたの言ったとおり、あちこちに泉が湧き出ていて、水には困らないって仰っていました」
入浴の支度ができたとリリアが呼びにきて、それを潮にメイローズはアデライードが持ちかえってきたものを抱えて、姫君の部屋を辞した。
廊下でエンロンに遇う。エンロンはメイローズが抱えている荷物を見て、姫君が戻って来たのを知り、走り寄ってきた。
「メイローズ殿! 姫君がお帰りになったのですか?」
「ええ、今しがた――」
「蕎麦は、殿下は蕎麦について何か仰っておられましたか?!」
「ええ、とても喜んで召し上がられたと。エンロン殿にもお礼申し上げて欲しいと、姫君が仰っておられました」
その返答を聞いて、エンロンが渋味のある顔を綻ばせる。
「そうでしたかっ!あの蕎麦は、特に腕によりをかけて打ったのですよ!出汁も薬味も吟味して!いや、お喜びいただけてよかった!」
メイローズはエンロンには、恭親王が記憶を失ったことを話していない。――いつかは、話すべきだろうが、皇子の入れ替わりの件もあって、話すタイミングを計りかねていた。
「野鳥などを仕留めて、それなりに元気でいらっしゃるようです。姫君はわが主が仕留めた鴨を召し上がったそうです」
「鴨を!」
エンロンの目がキラリと光る。
「鴨と蕎麦は相性がいいのですよ! そーか、いずれは鴨蕎麦を……薬味は葱と、山葵を効かせて……」
ぶつぶつ言い始めたエンロンに、メイローズは会釈をして通り過ぎる。エンロンは有能だが、蕎麦の話になると箍が外れるのだ。それよりマニ僧都を呼びに行かなければ、とメイローズは足を速めた。
入浴を済ませたアデライードの部屋に、マニ僧都がやってきた。
食料や装備の不安を訴えるメイローズの懇願に負けて、渋々転移を許可したものの、この美しい姪がまた何かやらかすのではと、マニ僧都は不安でしょうがなかったのだ。ひとまず無事に帰還したと聞き、取るものも取りあえず駆けつけた。
アデライードから聞く、彼の弟子シウリンの様子は逞しいの一言であった。
「子猫を拾っていらっしゃって……真っ白でとても綺麗な」
「子猫……あんなところに野良猫がいるとは思えないのですが」
メイローズが首を傾げる。
「そう、猫っていうか、子犬に近い気もして……前足がこれくらいの太さで……」
アデライードの示す大きさは、到底、子猫の大きさではなかった。
「あのあたりですと……まさか獅子では……」
メイローズの言葉に、アデライードが首を傾げる。
「獅子? でも真っ白で瞳が青くて……わたしが以前、図鑑で見た獅子は薄茶色ではなかったかしら」
「あのあたりには白い獅子がいると聞いたことがあります。私も実物を見たことはないのですが」
「……そんな猛獣を拾って、どうするつもりなんだよ!」
思わずマニ僧都が天を仰ぐ。
「要は大きな猫でございますから、幼い頃から飼えば人にも慣れるとは思いますが……」
そんな話をしながら、メイローズは緑茶を淹れ、その馥郁(ふくいく)たる香りが部屋に漂う。
「シウリン……殿下からお返事を預かってきました」
アデライードが折り畳んで小さく結んだ手紙を差し出すと、マニ僧都がはっとしてアデライードを見て、震える手で手紙を受け取る。手紙を開くと、見慣れた弟子の字が飛び込んできた。――最近のものとは明らかに異なる、金釘流の文字。現在でもそれほど麗筆ではないのが、しかし、一応は皇子の教養として、普段は草書体で書くようにはなっている。そういった修練を経ていない、聖地で暮らしたころのシウリンの文字であった。
『マニ先生
お手紙ありがとうございます。十年の間に何があったのか、僕にはわからないのですが、それでも、今でも先生が僕を導いてくださることを、天と陰陽に感謝いたします。ご注意いただいたこと、キモに命じて参りたいと思います。魔物をたくさん見て、先生の授業を思い出しました。ソリスティアでお会いすることを、楽しみにしています。
僕はアデライードのことを愛してしまったので、もう、僧侶になることはできませんが、それでも先生は、いつまでも僕の先生です。ジュルチ先生にも、僕は元気だとお伝えいただければ幸いです。
あなたの弟子、シウリンより』
別れさえ告げられぬまま理不尽奪われた弟子から、十年を経てようやく、手紙が届いた。マニ僧都の青い瞳に涙が浮かび、それが、零れ落ちる。
「シウリン……〈肝に銘じる〉の綴りが間違っているよ、全く……」
マニ僧都は片手で顔を覆い、しばらく嗚咽を堪えるように俯いていたが、やがて顔を上げると、アデライードの顔を真っすぐに見た。相変わらず、澄んだ青い瞳は涙で潤んでいる。
「アデライード……殿下が十二歳に戻ってしまったのは、君のミスだ。魔術を扱う者として、絶対にやってはならないレベルの、痛恨のミスだ」
そう言われて、アデライードが居住まいを正す。
「だが……アデライード。ありがとう。あの時、シウリンときちんと別れることができなくて、私はずっと、十年前から踏み出すことができないでいた。恭親王となった殿下に直に会っても、私はシウリンを諦められなかった。――十年前のシウリンから手紙をもらって、私もようやく、区切りをつけられる」
アデライードが、翡翠色の瞳を見開く。
「イスマニヨーラ伯父様……」
どう、答えていいのかわからず、アデライードがじっとマニ僧都を見つめると、しかしマニ僧都はビシリとアデライードを指差して言った。
「だがしかし、それとこれとは別だ。このような失敗は二度とあってはならない。君も私も、放出できる強大な魔力を扱える者は、それだけの責任と自覚が必要なんだ。万一暴走すれば、それは自分一人でなく、周囲にも被害を及ぼしかねない上に、魔力そのものが、周りに与える影響も大きいのだから。――これまで、アデライードの置かれた状況は、そういったことを学ぶには不適だった。そしてそれは、血縁である私にも責任の一端がある。私も殿下も、君を守り、支えるべく全力を尽くす。だから、君自身ももっと、自覚を持ち、自分を律しなさい。魔力を発動する前に、立ち止まって考えなさい」
マニ僧都の青い目に見据えられて、アデライードはその瞳を真っ直ぐに見返して、頷く。
「はい、伯父様……。もう、二度と失敗はしません。絶対に――」
「姫様、よくご無事で……。殿下は、いかがでした?」
「ええ、お元気だったわ。ご自分で仕留めて料理した鴨をご馳走になったの。とっても美味しかった! 殿下はエンロンさんのお蕎麦も、メイローズさんが用意したお握りも、美味しいって喜んで召し上がったわ。イスマニヨーラ伯父様へのお手紙を預かっているの」
「すぐに、メイローズ枢機卿を呼んでまいります」
姫の帰還を知って、リリアやアンジェリカも部屋に入ってくる。少し砂に汚れた長衣やサンダルに気づいて、リリアが入浴の支度を始め、アンジェリカが新しい長衣を用意する。
駆け付けたメイローズが、アデライードが持ちかえった品物を片づけにかかる。綺麗に料理が平らげられた魔導ポットを見て、安堵の溜息をつく。食べるということは、主が元気だという何よりの証拠だから。一方で、主の着ていた服を見て、しばし声を失う。あちこち破れ、ほつれ、汗と泥に汚れたそれは、主が現在置かれている、過酷な環境をそのまま表している。
「わが主にはお怪我などはなく……」
「ええ、問題ないようでした。あなたの言ったとおり、あちこちに泉が湧き出ていて、水には困らないって仰っていました」
入浴の支度ができたとリリアが呼びにきて、それを潮にメイローズはアデライードが持ちかえってきたものを抱えて、姫君の部屋を辞した。
廊下でエンロンに遇う。エンロンはメイローズが抱えている荷物を見て、姫君が戻って来たのを知り、走り寄ってきた。
「メイローズ殿! 姫君がお帰りになったのですか?」
「ええ、今しがた――」
「蕎麦は、殿下は蕎麦について何か仰っておられましたか?!」
「ええ、とても喜んで召し上がられたと。エンロン殿にもお礼申し上げて欲しいと、姫君が仰っておられました」
その返答を聞いて、エンロンが渋味のある顔を綻ばせる。
「そうでしたかっ!あの蕎麦は、特に腕によりをかけて打ったのですよ!出汁も薬味も吟味して!いや、お喜びいただけてよかった!」
メイローズはエンロンには、恭親王が記憶を失ったことを話していない。――いつかは、話すべきだろうが、皇子の入れ替わりの件もあって、話すタイミングを計りかねていた。
「野鳥などを仕留めて、それなりに元気でいらっしゃるようです。姫君はわが主が仕留めた鴨を召し上がったそうです」
「鴨を!」
エンロンの目がキラリと光る。
「鴨と蕎麦は相性がいいのですよ! そーか、いずれは鴨蕎麦を……薬味は葱と、山葵を効かせて……」
ぶつぶつ言い始めたエンロンに、メイローズは会釈をして通り過ぎる。エンロンは有能だが、蕎麦の話になると箍が外れるのだ。それよりマニ僧都を呼びに行かなければ、とメイローズは足を速めた。
入浴を済ませたアデライードの部屋に、マニ僧都がやってきた。
食料や装備の不安を訴えるメイローズの懇願に負けて、渋々転移を許可したものの、この美しい姪がまた何かやらかすのではと、マニ僧都は不安でしょうがなかったのだ。ひとまず無事に帰還したと聞き、取るものも取りあえず駆けつけた。
アデライードから聞く、彼の弟子シウリンの様子は逞しいの一言であった。
「子猫を拾っていらっしゃって……真っ白でとても綺麗な」
「子猫……あんなところに野良猫がいるとは思えないのですが」
メイローズが首を傾げる。
「そう、猫っていうか、子犬に近い気もして……前足がこれくらいの太さで……」
アデライードの示す大きさは、到底、子猫の大きさではなかった。
「あのあたりですと……まさか獅子では……」
メイローズの言葉に、アデライードが首を傾げる。
「獅子? でも真っ白で瞳が青くて……わたしが以前、図鑑で見た獅子は薄茶色ではなかったかしら」
「あのあたりには白い獅子がいると聞いたことがあります。私も実物を見たことはないのですが」
「……そんな猛獣を拾って、どうするつもりなんだよ!」
思わずマニ僧都が天を仰ぐ。
「要は大きな猫でございますから、幼い頃から飼えば人にも慣れるとは思いますが……」
そんな話をしながら、メイローズは緑茶を淹れ、その馥郁(ふくいく)たる香りが部屋に漂う。
「シウリン……殿下からお返事を預かってきました」
アデライードが折り畳んで小さく結んだ手紙を差し出すと、マニ僧都がはっとしてアデライードを見て、震える手で手紙を受け取る。手紙を開くと、見慣れた弟子の字が飛び込んできた。――最近のものとは明らかに異なる、金釘流の文字。現在でもそれほど麗筆ではないのが、しかし、一応は皇子の教養として、普段は草書体で書くようにはなっている。そういった修練を経ていない、聖地で暮らしたころのシウリンの文字であった。
『マニ先生
お手紙ありがとうございます。十年の間に何があったのか、僕にはわからないのですが、それでも、今でも先生が僕を導いてくださることを、天と陰陽に感謝いたします。ご注意いただいたこと、キモに命じて参りたいと思います。魔物をたくさん見て、先生の授業を思い出しました。ソリスティアでお会いすることを、楽しみにしています。
僕はアデライードのことを愛してしまったので、もう、僧侶になることはできませんが、それでも先生は、いつまでも僕の先生です。ジュルチ先生にも、僕は元気だとお伝えいただければ幸いです。
あなたの弟子、シウリンより』
別れさえ告げられぬまま理不尽奪われた弟子から、十年を経てようやく、手紙が届いた。マニ僧都の青い瞳に涙が浮かび、それが、零れ落ちる。
「シウリン……〈肝に銘じる〉の綴りが間違っているよ、全く……」
マニ僧都は片手で顔を覆い、しばらく嗚咽を堪えるように俯いていたが、やがて顔を上げると、アデライードの顔を真っすぐに見た。相変わらず、澄んだ青い瞳は涙で潤んでいる。
「アデライード……殿下が十二歳に戻ってしまったのは、君のミスだ。魔術を扱う者として、絶対にやってはならないレベルの、痛恨のミスだ」
そう言われて、アデライードが居住まいを正す。
「だが……アデライード。ありがとう。あの時、シウリンときちんと別れることができなくて、私はずっと、十年前から踏み出すことができないでいた。恭親王となった殿下に直に会っても、私はシウリンを諦められなかった。――十年前のシウリンから手紙をもらって、私もようやく、区切りをつけられる」
アデライードが、翡翠色の瞳を見開く。
「イスマニヨーラ伯父様……」
どう、答えていいのかわからず、アデライードがじっとマニ僧都を見つめると、しかしマニ僧都はビシリとアデライードを指差して言った。
「だがしかし、それとこれとは別だ。このような失敗は二度とあってはならない。君も私も、放出できる強大な魔力を扱える者は、それだけの責任と自覚が必要なんだ。万一暴走すれば、それは自分一人でなく、周囲にも被害を及ぼしかねない上に、魔力そのものが、周りに与える影響も大きいのだから。――これまで、アデライードの置かれた状況は、そういったことを学ぶには不適だった。そしてそれは、血縁である私にも責任の一端がある。私も殿下も、君を守り、支えるべく全力を尽くす。だから、君自身ももっと、自覚を持ち、自分を律しなさい。魔力を発動する前に、立ち止まって考えなさい」
マニ僧都の青い目に見据えられて、アデライードはその瞳を真っ直ぐに見返して、頷く。
「はい、伯父様……。もう、二度と失敗はしません。絶対に――」
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