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第一章
登場人物紹介
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エルスペス・アシュバートン(エルシー) 19歳
元リンドホルム伯爵令嬢。現在は王都の陸軍司令部の臨時採用の事務職員→第三王子アルバート殿下の秘書官。
王都の小さな家で祖母と執事のジョンソン、メイドのメアリーの四人暮らし。亜麻色の髪(くすんだ金髪)、ブルーグレーの瞳。貴族的な立ち居振る舞いと完璧な標準発音で、愛想笑い一つしないために、司令部の男性陣から「氷漬けの処女」の渾名を付けられている。昔はピアノと庭いじりが趣味だった。
ウルスラ・アシュバートン 70歳
エルシ―の祖母。もとはアーリングベリの子爵家の出身。祖母が隣国の貴族で、隣国風の名前の読みを敢えて使っている。昔気質で気難しく、厭味が得意。心臓が悪い。
ジョンソン 40歳
メアリー 38歳
アシュバートン家の執事とメイドの夫婦。メアリーは料理が得意で、小さな庭で家庭菜園を作りながら料理を作る。ジョンソンは密かにあて名書きなどの内職をして、こっそり家計を助けている。忠義者の夫婦。
マクシミリアン・アシュバートン(マックス) 故人
リンドホルム伯爵。ウルスラの息子でエルシーの父。陸軍中佐で特務将校だった。三年前、シャルロー村が奇襲攻撃を受けた時にアルバート殿下を庇って戦死。
ウィリアム・アシュバートン(ビリー)故人
エルシーの弟。三年前に食事中に倒れて死亡。14歳だった。身体が弱く、探偵小説やスパイ小説をたくさん持っていた。
アルバート王子 26歳
国王エドワードの第三王子。オーランド伯爵の爵位を持っていて、お忍びの時はリジー・オーランドを名乗る。四年前に出征し、三年前のシャルロー村の奇襲で部隊が潰滅したが、マクシミリアン・アシュバートン中佐のおかげで命拾いした。その後は自ら前線に立って自軍を勝利に導く。
王都に戻ってきて陸軍司令に就任した。新しもの好きで、戦前から航空機の株に投資して軍需景気で一山当て、今は電力会社とラジオに投資してかなり儲けている。東洋の美術と前衛芸術に興味がある。昔は画家になりたかったが、あまり上手くないことに気づいて諦めた。自動車の運転が趣味。甘い物が嫌い。黒髪で金色の瞳。
ロベルト・リーン 26歳
アルバート王子の主席秘書官。一応、陸軍大尉。主席といいながらエルシーが採用されるまで、秘書官は一人だけだった。王都の仕立て屋の息子で、母親は南の国ロマンザからきたお針子。母の父から名を取っているので、ロバートではなくロベルトという。姉のパトロンであるバーナード・ハドソンの援助で士官学校を出て、アルバート王子に同級生だった。下町育ちで目端が利くため、王子の個人資産の管理をしながら自分もちゃっかり稼いでいる。平民なので高位貴族の子息たちからは軽んじられている。茶色の髪、茶色の瞳。チャラい外見。
ジョナサン・カーティス 28歳
アルバート王子の侍従官で陸軍大尉。ロックウィル伯爵の嫡男。アルバート王子の士官学校の先輩。戦争前から護衛兼友人のような形で側についていて、貴族の子弟からも友人だと認識されている。マックス・アシュバートン中佐を尊敬していたので、エルシーに好意的。金髪に近い茶の髪で緑色の瞳。一見して貴族とわかるが実直な性格。
ジェラルド・ブルック 25歳
アルバート王子の侍従官で陸軍中尉。ジェニングス侯爵家の嫡男で、自身は従属爵位であるフィルツ子爵を名乗る。
南部の別の士官学校を出て、戦争前からアルバート王子の護衛兼友人として仕える。貴族主義が染みついた性格で、王子とエルシーとの関係を内心ではよろしくないと思っている。第一章ではほとんど出てこない。金髪碧眼。貴族的なキラキラしい風貌。
ラルフ・シモンズ 29歳
アルバート王子の護衛。特務将校で、もともとマックス・アシュバートン中佐の部下。東洋の武術に興味がある。上司の娘であるエルシーが愛人扱いされているのを、内心は批判的だが、口は出さない。ウィスキーが好き。見るからに武闘派。黒に近いこげ茶の髪、灰色の瞳。ごつくて怖そうな外見。
ジュリアン・アンダーソン 28歳
王都のアルバート殿下のアパートメントの執事(見習い)。戦時中もアルバート王子に従っていた従僕。意外と武闘派。
アンナ・アンダーソン
王都のアパートメントの料理人。ジュリアンとノーラの母。でっぷりしている気のいい人。怒ると麺棒を振り回して怖い。
ノーラ・シュミット 29歳
アンナの娘でジュリアンの姉。結婚して一児(8歳男児)の母。通いでアパートメントのメイドをしている。本当は王子の近くに仕えるようなレベルのメイドではないが、王子は高級なメイドが嫌いなので敢えてノーラを使っている。
ヴァルタ―
王都の西の郊外にあるオーランド邸の執事。白髪のじーさん。
ローリー・リーン 36歳
王都の十番街で婦人用ドレスの高級メゾンを開くデザイナ―。ロベルトの姉で元はお針子。王都の貿易商バーナード・ハドソンがパトロンとなって、東洋からのテキスタイルを利用し、コルセットのいらない前衛的なドレスを作る。
ステファニー・グローブナー 21歳
レコンフィールド公爵令嬢で、アルバート王子の実質的な婚約者。父は国王の寵臣レコンフィールド公爵セオドア・グローブナー。王妃の姪でもある。金髪碧眼で小柄なタイプ。末娘のため、わがままに育っている。
アイザック・グレンジャー 25歳
ギルフォード侯爵の嫡男。ステファニーの友人で、シュタイナー伯爵令嬢(=ステファニーの取り巻き)の婚約者。戦前は、ステファニーとアルバート王子と、シュタイナー伯爵令嬢と四人でダブルデートしたりしていたので、アルバート王子とは友人と思っていた。戦争には行ったが、すぐに負傷して戻ってきていた。アルバート王子の心変わりに義憤を感じている。
ジョージ・マクガーニ 45歳
陸軍中将から陸軍大臣に出世。ポートナム伯爵。マックス・アシュバートンとは古い友人。わりと頑固で、じつはムッツリ。16歳の息子アレックスと10歳の娘アグネスがいる。ジェニファー夫人は後妻。ごま塩頭、口ひげあり。
ジェニファー・マクガーニ 27歳
マクガーニ中将の妻。没落した男爵家の娘で、マクガーニ家の家庭教師をしていた。結婚したのは最近。赤っぽい金髪と緑色の瞳。
クルツ主任 50歳
陸軍司令部の主任事務官。中間管理職。妻と三人の娘あり。二人は嫁に行ったが、ひとりは夫が戦死して出戻ってきて、末娘は行き遅れかけていて家庭がざわついているため、くたびれている。エルシーにもうちょっと愛想があったら癒されるのに……と思っている。
ニコラス・ハートネル 23歳
陸軍中尉。もと補給部隊として戦地にいたが、休戦協定が結ばれた直後に帰国。陸軍司令部の本部付になる。グラスール子爵家の三男坊。爵位は継げないがそれなりに有能で金もある。赤い髪、榛色の瞳。
マリアン・ブレイズ 18歳
陸軍司令部の臨時採用の事務職員。エルシーの友人。噂好き。平民出身で、父親が戦死したため、採用されている。わりと面倒見のいいタイプ。
ミツゴロー 年齢不詳
バーナード・ハドソン商会に勤める東洋人。
コーキチ 32歳
バーナードの縁で王都に来ている東洋人。真珠の養殖技術を確立して、投資を募っている。
サイラス・アシュバートン 52歳
エルシーの父の従兄で、現リンドホルム伯爵。元は町医者だった。俗物。
ダグラス・アシュバートン 29歳
サイラスの息子。王都の弁護士事務所で働いていたが、女性問題で揉めて故郷に戻っている。
元リンドホルム伯爵令嬢。現在は王都の陸軍司令部の臨時採用の事務職員→第三王子アルバート殿下の秘書官。
王都の小さな家で祖母と執事のジョンソン、メイドのメアリーの四人暮らし。亜麻色の髪(くすんだ金髪)、ブルーグレーの瞳。貴族的な立ち居振る舞いと完璧な標準発音で、愛想笑い一つしないために、司令部の男性陣から「氷漬けの処女」の渾名を付けられている。昔はピアノと庭いじりが趣味だった。
ウルスラ・アシュバートン 70歳
エルシ―の祖母。もとはアーリングベリの子爵家の出身。祖母が隣国の貴族で、隣国風の名前の読みを敢えて使っている。昔気質で気難しく、厭味が得意。心臓が悪い。
ジョンソン 40歳
メアリー 38歳
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マクシミリアン・アシュバートン(マックス) 故人
リンドホルム伯爵。ウルスラの息子でエルシーの父。陸軍中佐で特務将校だった。三年前、シャルロー村が奇襲攻撃を受けた時にアルバート殿下を庇って戦死。
ウィリアム・アシュバートン(ビリー)故人
エルシーの弟。三年前に食事中に倒れて死亡。14歳だった。身体が弱く、探偵小説やスパイ小説をたくさん持っていた。
アルバート王子 26歳
国王エドワードの第三王子。オーランド伯爵の爵位を持っていて、お忍びの時はリジー・オーランドを名乗る。四年前に出征し、三年前のシャルロー村の奇襲で部隊が潰滅したが、マクシミリアン・アシュバートン中佐のおかげで命拾いした。その後は自ら前線に立って自軍を勝利に導く。
王都に戻ってきて陸軍司令に就任した。新しもの好きで、戦前から航空機の株に投資して軍需景気で一山当て、今は電力会社とラジオに投資してかなり儲けている。東洋の美術と前衛芸術に興味がある。昔は画家になりたかったが、あまり上手くないことに気づいて諦めた。自動車の運転が趣味。甘い物が嫌い。黒髪で金色の瞳。
ロベルト・リーン 26歳
アルバート王子の主席秘書官。一応、陸軍大尉。主席といいながらエルシーが採用されるまで、秘書官は一人だけだった。王都の仕立て屋の息子で、母親は南の国ロマンザからきたお針子。母の父から名を取っているので、ロバートではなくロベルトという。姉のパトロンであるバーナード・ハドソンの援助で士官学校を出て、アルバート王子に同級生だった。下町育ちで目端が利くため、王子の個人資産の管理をしながら自分もちゃっかり稼いでいる。平民なので高位貴族の子息たちからは軽んじられている。茶色の髪、茶色の瞳。チャラい外見。
ジョナサン・カーティス 28歳
アルバート王子の侍従官で陸軍大尉。ロックウィル伯爵の嫡男。アルバート王子の士官学校の先輩。戦争前から護衛兼友人のような形で側についていて、貴族の子弟からも友人だと認識されている。マックス・アシュバートン中佐を尊敬していたので、エルシーに好意的。金髪に近い茶の髪で緑色の瞳。一見して貴族とわかるが実直な性格。
ジェラルド・ブルック 25歳
アルバート王子の侍従官で陸軍中尉。ジェニングス侯爵家の嫡男で、自身は従属爵位であるフィルツ子爵を名乗る。
南部の別の士官学校を出て、戦争前からアルバート王子の護衛兼友人として仕える。貴族主義が染みついた性格で、王子とエルシーとの関係を内心ではよろしくないと思っている。第一章ではほとんど出てこない。金髪碧眼。貴族的なキラキラしい風貌。
ラルフ・シモンズ 29歳
アルバート王子の護衛。特務将校で、もともとマックス・アシュバートン中佐の部下。東洋の武術に興味がある。上司の娘であるエルシーが愛人扱いされているのを、内心は批判的だが、口は出さない。ウィスキーが好き。見るからに武闘派。黒に近いこげ茶の髪、灰色の瞳。ごつくて怖そうな外見。
ジュリアン・アンダーソン 28歳
王都のアルバート殿下のアパートメントの執事(見習い)。戦時中もアルバート王子に従っていた従僕。意外と武闘派。
アンナ・アンダーソン
王都のアパートメントの料理人。ジュリアンとノーラの母。でっぷりしている気のいい人。怒ると麺棒を振り回して怖い。
ノーラ・シュミット 29歳
アンナの娘でジュリアンの姉。結婚して一児(8歳男児)の母。通いでアパートメントのメイドをしている。本当は王子の近くに仕えるようなレベルのメイドではないが、王子は高級なメイドが嫌いなので敢えてノーラを使っている。
ヴァルタ―
王都の西の郊外にあるオーランド邸の執事。白髪のじーさん。
ローリー・リーン 36歳
王都の十番街で婦人用ドレスの高級メゾンを開くデザイナ―。ロベルトの姉で元はお針子。王都の貿易商バーナード・ハドソンがパトロンとなって、東洋からのテキスタイルを利用し、コルセットのいらない前衛的なドレスを作る。
ステファニー・グローブナー 21歳
レコンフィールド公爵令嬢で、アルバート王子の実質的な婚約者。父は国王の寵臣レコンフィールド公爵セオドア・グローブナー。王妃の姪でもある。金髪碧眼で小柄なタイプ。末娘のため、わがままに育っている。
アイザック・グレンジャー 25歳
ギルフォード侯爵の嫡男。ステファニーの友人で、シュタイナー伯爵令嬢(=ステファニーの取り巻き)の婚約者。戦前は、ステファニーとアルバート王子と、シュタイナー伯爵令嬢と四人でダブルデートしたりしていたので、アルバート王子とは友人と思っていた。戦争には行ったが、すぐに負傷して戻ってきていた。アルバート王子の心変わりに義憤を感じている。
ジョージ・マクガーニ 45歳
陸軍中将から陸軍大臣に出世。ポートナム伯爵。マックス・アシュバートンとは古い友人。わりと頑固で、じつはムッツリ。16歳の息子アレックスと10歳の娘アグネスがいる。ジェニファー夫人は後妻。ごま塩頭、口ひげあり。
ジェニファー・マクガーニ 27歳
マクガーニ中将の妻。没落した男爵家の娘で、マクガーニ家の家庭教師をしていた。結婚したのは最近。赤っぽい金髪と緑色の瞳。
クルツ主任 50歳
陸軍司令部の主任事務官。中間管理職。妻と三人の娘あり。二人は嫁に行ったが、ひとりは夫が戦死して出戻ってきて、末娘は行き遅れかけていて家庭がざわついているため、くたびれている。エルシーにもうちょっと愛想があったら癒されるのに……と思っている。
ニコラス・ハートネル 23歳
陸軍中尉。もと補給部隊として戦地にいたが、休戦協定が結ばれた直後に帰国。陸軍司令部の本部付になる。グラスール子爵家の三男坊。爵位は継げないがそれなりに有能で金もある。赤い髪、榛色の瞳。
マリアン・ブレイズ 18歳
陸軍司令部の臨時採用の事務職員。エルシーの友人。噂好き。平民出身で、父親が戦死したため、採用されている。わりと面倒見のいいタイプ。
ミツゴロー 年齢不詳
バーナード・ハドソン商会に勤める東洋人。
コーキチ 32歳
バーナードの縁で王都に来ている東洋人。真珠の養殖技術を確立して、投資を募っている。
サイラス・アシュバートン 52歳
エルシーの父の従兄で、現リンドホルム伯爵。元は町医者だった。俗物。
ダグラス・アシュバートン 29歳
サイラスの息子。王都の弁護士事務所で働いていたが、女性問題で揉めて故郷に戻っている。
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