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第二章
代理人
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翌日、わたしは朝食を終えるとスミス夫人を探して使用人部屋を覗いてみた。スミス夫人は食料品貯蔵庫の帳簿をチェックしていた。
「スミス夫人、ちょっと――」
「お嬢様! 呼び鈴を鳴らしていただけましたら、わたくしが伺いましたのに」
「ううん、いいの。……サム爺さんのことなんだけど」
スミス夫人が眼鏡を外しながら頷く。
「ああ、そのことで。……昨日のうちに申し上げようと思っていましたが、お嬢様の体調がよくないようでございましたので」
「亡くなったの?」
「ええ……二年前になりますか。お嬢様と奥様がリンドホルムを出られてすぐ――。もう、かなりの年齢でございましたし」
わたしが目を伏せる。
「あの庭も鉄条網が……」
スミス夫人が周囲の使用人たちを気にして、わたしの腕を取って言う。
「よろしければ温室に参りましょう。……お茶をお淹れいたしますよ。マーサ、温室まで、お嬢様にお茶を」
スミス夫人が使用人の一人に声をかけ、わたしを引っ張り出すように、温室に移動した。
ガラス張りの温室の中には、祖父が集めたらしい、珍しい植物の鉢がたくさんある。こじんまりした丸テーブルと椅子、ちょっとしたソファもあって、わたしはそのソファに腰を下ろす。
「久しぶりだわ。……でも子供の頃はあまり入ってはいけないって言われていたの」
「ガラスで、珍しい植物が多うございますからね。お嬢様は家の中では大人しかったですが、外に出ると活発になられたので、周りから見たら気が気ではなかったのでございますよ」
マーサという若い女中が運んできたお茶セットを、スミス夫人が手ずから淹れてくれる。
「お庭をごらんになったのでございますね……」
「ええ。薔薇園に行こうとしたら、鉄条網で行けなくて。茫然としていたら、ダグラスに会ったの。その奥は売りに出してるって――」
スミス夫人が苦い表情で、わたしにお茶のカップを差し出す。
「戦争で、ここらもいろいろと変わりました。昔は何もしなくても土地からの収入がございましたが、今はそんなことはなくて。領地の経営も、いろいろと昔とは違って、厄介がございます。でも、税金だけは昔通り、かかりますしね。それで、投資をなさった。ところが、サイラス様は商売の才能はお有りにならないようで、とんだ投資詐欺にひっかかってしまったのですよ」
「それで借金が――」
お金を稼ぐことがいかに大変か、わたしもこの三年で思い知らされた。もともと田舎の町医者だったサイラスは、伯爵位を継いで、自身の才覚に見合わない財産を背負い、莫大な負債を抱える羽目になった。
もし、代襲相続が認められて、わたしがこの領地と爵位を継承していたとしても――名目上はわたしが将来産むはずの男児が爵位を継承するだけで、わたしはただの代理人なのだが――たちまち領地の経営でつまづいたに違いない。
そんなことを考えていると、スミス夫人が言った。
「あの庭はローズお嬢様が丹精されたお庭で……大奥様がいらっしゃったら、絶対に売ろうとはなさらなかったでしょうね」
「ローズお嬢様って……おばあ様の姪の?」
わたしの問いに、スミス夫人が頷く。
「ええ、姪と言っても従妹の子だそうで……早くに孤児になられて、大奥様が後見人としてこちらにお引取になられました。将来的には旦那様……いえ、マックス様とご結婚させるおつもりでしたが」
「王都で、亡くなったのよね?」
わたしは温室のガラス越しに、庭を見る。
そうだ、リジーはローズの息子だと、おばあ様は言っていた。
でも、リジーはアルバート殿下で……どういうことなの?
「……リジーって……憶えている? ローズの、息子だとおばあ様が」
「ええ。憶えておりますとも」
スミス夫人が頷く。
「もう十年以上前になりますね。旦那様が突然、王都から連れていらっしゃった。最初はずいぶん、身体が弱っていて……寄宿学校にお入りになっていたけれど、環境になじめなくて病気になったと仰って」
「ローズはどこにお嫁に行かれたの?」
スミス夫人が周囲を気にして、声を低める。
「お嫁には行っておられません。ここだけのお話ですが……妻子のある方と関係をお持ちになり、お子を産まれたと。その後は、どなたか、身分ある人のお邸にご奉公なさっていたと伺っております」
――神様の許さない関係を持ってはダメよ。
祖母の言葉が甦って、わたしは息を飲んだ。――つまり、リジーは。
「……そう、その後、リジーからは何か?」
「毎年、聖誕節にはお嬢様と坊ちゃまに贈り物が。すべて旦那様経由で、大奥様の元に届いておりました。カードなどはなく、本とか、文房具とか、ちょっとしたもので――でも、王都の高級百貨店の包み紙でございましたので。でも、四年前に旦那様が出征されてからは、来ていません」
わたしは記憶を辿るけれど、いつも誕生日や聖誕節には山のような贈り物が届けられたので、どれが、と言われてもわからない。……四年前、アルバート殿下も父も、出征した。
リジーは、アルバート殿下の変名なのは間違いない。父はアルバート殿下の護衛をしていて、その縁でリジーをこの城に連れてきた。そしてリジーはたぶん、ローズの息子で……。
どういうことなのか。……頭が混乱してきた。
わたしはスミス夫人に礼を言って下がってもらい、一人、温室でお茶を飲んで考える。
思いつく結論は一つだけれど、それはある意味恐ろしいことのように思う。
……この国では、嫡出の男児しか、王位の継承は認められていない。
かつては、正妻である王妃以外の愛妾を持ち、庶子を産ませた国王もいたらしいけれど、でも、その子は王位を継がず、爵位と領地を与えらえて終わったはず。
……殿下も、三男だから普通なら継ぐことはない、はずだ。でも――。
昼食後も、わたしの思考はまとまらず、わたしは一人、庭園を歩く。足が勝手に薔薇園に向かい、やはり昨日の鉄条網の前で立ち尽くす。
……ここが、売られてしまったら。
「やっぱりここにいるのか」
聞きたくない声に、わたしは身構えて振りむく。咥え煙草のダグラスがにやにやしていて、わたしは眉を顰めた。
「習慣で来てしまうだけよ」
「昔はよく、ここに入り浸っていたらしいからな」
近づいて欲しくなくて下がろうとするが、鉄条網があってそれもできない。そんなわたしの手首を、ダグラスが掴む。
「放して!」
「俺と結婚するなら、この庭を売るのはやめてやるよ」
「やめて! あなた、ヴィクトリアと結婚するんでしょ?」
「はん、あんなブス。……本当なら、お前が代襲相続をして、俺が夫に収まり、俺の子に伯爵位を継がす予定だったんだがなあ。……まあでも、俺が伯爵も悪くはないだろう?」
耳元でヤニ臭い息で言われて、吐き気がこみあげる。――同じ煙草の匂いでも、殿下のはそれほど嫌じゃなかったけど、この男は死ぬほど嫌!
「放してよ!」
下がろうにもすぐ後ろが有刺鉄線で、それ以上逃げることができない。力ずくで引っ張られてダグラスに抱きしめられ、わたしは嫌悪感と恐怖で悲鳴をあげた。
「やめて、助けて!」
無理矢理キスされそうになってもがき、服の一部が鉄条網に引っかかる。
「往生際の悪い! 逃げられると思ってんのかよ!」
目の前のダグラスのいやらしい笑顔に背筋がゾッとした、その時。
「何をしている!」
「エルシー!」
バタバタとした足音と、聞きなれた男性の声がして、ダグラスの手が緩む。その隙に逃れ出たわたしを、大きな背中が庇った。――この感覚。
「……ダグラス・アシュバートン君。女性に対してなんて無礼を」
威厳のある声が響き、見れば、小道をゆっくりとマクガーニ閣下が歩いてきていて、鉄条網のすぐそばで、ロベルトさんがダグラスを後ろ手に捻り上げている。
「い、いで、いでで……やめろぉ、何だよ、てめぇら!」
「ロベルトさん?! それに――」
「どうもぉ、エルスペス嬢。このロベルト・リーンとリジー・オーランドが殿下の代理人でーす!」
そう、わたしを背中で庇っている背の高い男性――恐る恐る見上げれば、リジーことアルバート殿下が肩越しに振り向いて、片目をつぶって見せた。
「スミス夫人、ちょっと――」
「お嬢様! 呼び鈴を鳴らしていただけましたら、わたくしが伺いましたのに」
「ううん、いいの。……サム爺さんのことなんだけど」
スミス夫人が眼鏡を外しながら頷く。
「ああ、そのことで。……昨日のうちに申し上げようと思っていましたが、お嬢様の体調がよくないようでございましたので」
「亡くなったの?」
「ええ……二年前になりますか。お嬢様と奥様がリンドホルムを出られてすぐ――。もう、かなりの年齢でございましたし」
わたしが目を伏せる。
「あの庭も鉄条網が……」
スミス夫人が周囲の使用人たちを気にして、わたしの腕を取って言う。
「よろしければ温室に参りましょう。……お茶をお淹れいたしますよ。マーサ、温室まで、お嬢様にお茶を」
スミス夫人が使用人の一人に声をかけ、わたしを引っ張り出すように、温室に移動した。
ガラス張りの温室の中には、祖父が集めたらしい、珍しい植物の鉢がたくさんある。こじんまりした丸テーブルと椅子、ちょっとしたソファもあって、わたしはそのソファに腰を下ろす。
「久しぶりだわ。……でも子供の頃はあまり入ってはいけないって言われていたの」
「ガラスで、珍しい植物が多うございますからね。お嬢様は家の中では大人しかったですが、外に出ると活発になられたので、周りから見たら気が気ではなかったのでございますよ」
マーサという若い女中が運んできたお茶セットを、スミス夫人が手ずから淹れてくれる。
「お庭をごらんになったのでございますね……」
「ええ。薔薇園に行こうとしたら、鉄条網で行けなくて。茫然としていたら、ダグラスに会ったの。その奥は売りに出してるって――」
スミス夫人が苦い表情で、わたしにお茶のカップを差し出す。
「戦争で、ここらもいろいろと変わりました。昔は何もしなくても土地からの収入がございましたが、今はそんなことはなくて。領地の経営も、いろいろと昔とは違って、厄介がございます。でも、税金だけは昔通り、かかりますしね。それで、投資をなさった。ところが、サイラス様は商売の才能はお有りにならないようで、とんだ投資詐欺にひっかかってしまったのですよ」
「それで借金が――」
お金を稼ぐことがいかに大変か、わたしもこの三年で思い知らされた。もともと田舎の町医者だったサイラスは、伯爵位を継いで、自身の才覚に見合わない財産を背負い、莫大な負債を抱える羽目になった。
もし、代襲相続が認められて、わたしがこの領地と爵位を継承していたとしても――名目上はわたしが将来産むはずの男児が爵位を継承するだけで、わたしはただの代理人なのだが――たちまち領地の経営でつまづいたに違いない。
そんなことを考えていると、スミス夫人が言った。
「あの庭はローズお嬢様が丹精されたお庭で……大奥様がいらっしゃったら、絶対に売ろうとはなさらなかったでしょうね」
「ローズお嬢様って……おばあ様の姪の?」
わたしの問いに、スミス夫人が頷く。
「ええ、姪と言っても従妹の子だそうで……早くに孤児になられて、大奥様が後見人としてこちらにお引取になられました。将来的には旦那様……いえ、マックス様とご結婚させるおつもりでしたが」
「王都で、亡くなったのよね?」
わたしは温室のガラス越しに、庭を見る。
そうだ、リジーはローズの息子だと、おばあ様は言っていた。
でも、リジーはアルバート殿下で……どういうことなの?
「……リジーって……憶えている? ローズの、息子だとおばあ様が」
「ええ。憶えておりますとも」
スミス夫人が頷く。
「もう十年以上前になりますね。旦那様が突然、王都から連れていらっしゃった。最初はずいぶん、身体が弱っていて……寄宿学校にお入りになっていたけれど、環境になじめなくて病気になったと仰って」
「ローズはどこにお嫁に行かれたの?」
スミス夫人が周囲を気にして、声を低める。
「お嫁には行っておられません。ここだけのお話ですが……妻子のある方と関係をお持ちになり、お子を産まれたと。その後は、どなたか、身分ある人のお邸にご奉公なさっていたと伺っております」
――神様の許さない関係を持ってはダメよ。
祖母の言葉が甦って、わたしは息を飲んだ。――つまり、リジーは。
「……そう、その後、リジーからは何か?」
「毎年、聖誕節にはお嬢様と坊ちゃまに贈り物が。すべて旦那様経由で、大奥様の元に届いておりました。カードなどはなく、本とか、文房具とか、ちょっとしたもので――でも、王都の高級百貨店の包み紙でございましたので。でも、四年前に旦那様が出征されてからは、来ていません」
わたしは記憶を辿るけれど、いつも誕生日や聖誕節には山のような贈り物が届けられたので、どれが、と言われてもわからない。……四年前、アルバート殿下も父も、出征した。
リジーは、アルバート殿下の変名なのは間違いない。父はアルバート殿下の護衛をしていて、その縁でリジーをこの城に連れてきた。そしてリジーはたぶん、ローズの息子で……。
どういうことなのか。……頭が混乱してきた。
わたしはスミス夫人に礼を言って下がってもらい、一人、温室でお茶を飲んで考える。
思いつく結論は一つだけれど、それはある意味恐ろしいことのように思う。
……この国では、嫡出の男児しか、王位の継承は認められていない。
かつては、正妻である王妃以外の愛妾を持ち、庶子を産ませた国王もいたらしいけれど、でも、その子は王位を継がず、爵位と領地を与えらえて終わったはず。
……殿下も、三男だから普通なら継ぐことはない、はずだ。でも――。
昼食後も、わたしの思考はまとまらず、わたしは一人、庭園を歩く。足が勝手に薔薇園に向かい、やはり昨日の鉄条網の前で立ち尽くす。
……ここが、売られてしまったら。
「やっぱりここにいるのか」
聞きたくない声に、わたしは身構えて振りむく。咥え煙草のダグラスがにやにやしていて、わたしは眉を顰めた。
「習慣で来てしまうだけよ」
「昔はよく、ここに入り浸っていたらしいからな」
近づいて欲しくなくて下がろうとするが、鉄条網があってそれもできない。そんなわたしの手首を、ダグラスが掴む。
「放して!」
「俺と結婚するなら、この庭を売るのはやめてやるよ」
「やめて! あなた、ヴィクトリアと結婚するんでしょ?」
「はん、あんなブス。……本当なら、お前が代襲相続をして、俺が夫に収まり、俺の子に伯爵位を継がす予定だったんだがなあ。……まあでも、俺が伯爵も悪くはないだろう?」
耳元でヤニ臭い息で言われて、吐き気がこみあげる。――同じ煙草の匂いでも、殿下のはそれほど嫌じゃなかったけど、この男は死ぬほど嫌!
「放してよ!」
下がろうにもすぐ後ろが有刺鉄線で、それ以上逃げることができない。力ずくで引っ張られてダグラスに抱きしめられ、わたしは嫌悪感と恐怖で悲鳴をあげた。
「やめて、助けて!」
無理矢理キスされそうになってもがき、服の一部が鉄条網に引っかかる。
「往生際の悪い! 逃げられると思ってんのかよ!」
目の前のダグラスのいやらしい笑顔に背筋がゾッとした、その時。
「何をしている!」
「エルシー!」
バタバタとした足音と、聞きなれた男性の声がして、ダグラスの手が緩む。その隙に逃れ出たわたしを、大きな背中が庇った。――この感覚。
「……ダグラス・アシュバートン君。女性に対してなんて無礼を」
威厳のある声が響き、見れば、小道をゆっくりとマクガーニ閣下が歩いてきていて、鉄条網のすぐそばで、ロベルトさんがダグラスを後ろ手に捻り上げている。
「い、いで、いでで……やめろぉ、何だよ、てめぇら!」
「ロベルトさん?! それに――」
「どうもぉ、エルスペス嬢。このロベルト・リーンとリジー・オーランドが殿下の代理人でーす!」
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