34 / 58
第2ラウンド
第34話 残念な人
しおりを挟む
「さぁ!! やってしまいなさい!!」
マリーの声で一斉に動き出した4人のイケメンども。永遠の忠誠を誓った騎士のように、マリーの命令通りに私に襲いかかる。
黒髪男は身長よりもずっと長い槍、メガネ男はぺチンと鳴らすムチ、金髪褐色男は鎚矛、ショタ男は2個の鉄球を鎖でつないだ棍棒。
4人は同時に襲いかかってくるが、イタチのように軽やかに左右に避け、飛んで回避。彼らは無言のままで、私を倒すことに全力集中。代わる代わる攻撃を仕掛け、マリーがいるベッド以外は荒れ果てていく。
……………なぜ?
なぜ世界掌握を駆使せず、戦ってこないのかしら?
その疑問を抱きマリーを注視しつつ、1人目、2人目と順に私の相棒日本刀で薙ぎ、男たちを倒していく。そこまで強くなかった。
「イッショニ、アソボ?」
倒して一段落した肩を落とした瞬間、聞こえてきた機械的な声。下に視線を落とすと、私の足に多数の人形が抱き着いていた。
ただのお飾りにしか思っていなかった人形。動きと声は不気味ではあったが、あまりの可愛さにモフモフしたいという欲求がよぎる。
「アソボ!」
刹那、人形の目が不気味に赤く光った。
あ、やば――――――。
ドガッ――――――ンっ!!
鼓膜が裂けそうなほどの爆音が響き――大爆発。体は吹き飛ばされ、壊れた壁から転落。幸い意識は飛ばず、石畳の地面へ華麗に着地できた。
「はぁ、はぁ、はぁ……やってくれるわね………」
「アハハッ!! どう!? 私の人形ちゃんたちはッ!? どう!? 苦しい!?」
壊れた壁から見下ろすマリーは私を見下して狂ったように笑う。彼女の笑みとともに、その建物の全景を目にした。
………………なるほど、ここお城だったのね。
女児の心をくすぐる可愛さがふんだんにつまったピンクのお城。どこもかしこも♡だらけで、桃色だらけ。あまりの甘さに吐気がしそうになるぐらい、乙女な城だった。
ピンクの部屋という強烈メルヘンチックさにやられていたが、マリーはお城を作り、そこに自分好みの部屋を作っていた。
マリーの頭の中って、こんなに可愛いで溢れていたの…………女子らしいわね。
私を追いかけて、空から次々と降ってくる人形たち。モフモフの可愛い人形たち。敵でなければ、全部受け止めてぎゅっと抱きしめていただろう。
「でも、全部爆弾だものね!!」
正直あんなに可愛い人形が爆散していくのは心苦しい。可愛いと狂気が混在しているマリーにはふさわしい武器だった。
『世界掌握』があるから、人形の無限製造ができている。マリーの本当の武器は、今手に持っている大鎌。本来可愛いらしいマリーには死神が持っていそうな大鎌はアンバランス。だが、今は狂気さもあって、本物の死神のようにも見えた。
いいわね。その武器を使ってくれたら、尚更楽しめそうだけど――――。
バンバンッと連続して爆発する人形たち。地面に顔がついてしまいそうなぐらい、低姿勢で私は城の庭を抜け、塀を超え、街へと出る。人形たちも、私の後を追って来ていた。
そうして、道路を突っ走り、着いた広場。王城にいたマリーだが、私よりも一足先にそこに到着し、ハートの噴水の前で待ってくれていた。自分の世界だから、どこでも瞬間移動し放題なのだろう。
「アドヴィナ!! 私の手で殺してあげるわッ!!」
興奮でガンギマリなマリーは大鎌を振り、空気を切る。彼女と私に距離はあった。普通なら鎌を振った所でかすりもしないほど遠かった。
「っ!!」
しかし、彼女の攻撃は当たり、腕に切り傷が入る。斬撃が飛んできていた。
「アハハッ!! バカね!! 私の攻撃って必中になってるのよ!! 逃げたって意味ないのよ!!」
「言われなくたって知ってるわよ!!」
彼女の言う通り、世界掌握では術者の必中。避けたと思っても、必ず当たる。距離があろうがなかろうが関係ない。
「でも、あなただけが魔法薬を飲んでいないとは限らないわよね――――?」
ここにくる前のこと。あの全裸会長と戦ったあの場所には多数の魔法薬があった。
「あ――――」
そう――――そこにあったマリーと同じ魔法薬を私は飲んでいた。
マリーが小さく単音を発した瞬間、世界はまた一転。空は澄み切った青が広がり、丘には色とりどりの花々が輝かしく咲き誇っていた。遠くにそびえたつのは、ノイシュバンシュタイン城やユッセ城に似た可愛らしいお城が見える。
『世界掌握』は通常術者の魔力量の差でどちらが展開されるのかが決まるが――――魔法薬の場合、展開タイミングがいつかで決まる。マリーの魔法薬はもうそろそろ効力が切れる頃。だから、私の『世界掌握』が展開されていた。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら」
「…………」
「あなたが私になりすましていたの? なりすまして、ハンナに嫌がらせをしていたの?」
私が『世界掌握』を展開した瞬間、放った一瞬の攻撃。日本刀の斬撃は、マリーの足を一刀両断。断片から血が噴き出し、マリーは花畑の中でしゃがみ込む。
そして、私の問いに、ニコリを微笑んだ。
「そうよ。私よ、全部わ・た・し♡」
だけど、彼女に苦しむ反応はなかった。変わらず笑顔を浮かべて、地面に座りこんでいた。
「公爵令嬢が落ちていくところを見たかったの。私の邪魔をする者は全員排除したかったの」
何もない空に手を伸ばし、静かに語るマリー。そこに風が吹き、亜麻色の髪をなびかせる。夕日のようなオレンジの瞳には、彼女の夢が映っていた。
「王妃の席も私、みんなの中心に立つのも私、全部全部私のものになったの。なったはずだったの――……」
所詮夢は夢。幻想でしかない。だけど、彼女は本当に夢を現実にしようとした。己の手で自分の願いを叶えようとしていた。
「ハンナも手にかけるつもりだったのね」
「ええ。だって、邪魔だもの。一番の邪魔者だわ」
乙女ゲームにおいては主人公の支援キャラ。転生してから彼女たちを見かけることがあったが、親友のようだった。
なのに、親友が裏切る予定だったとは………あーあ、ハンナは本当に友人だと思っていたでしょうに……かわいそうな子。
「なりすましにいつ気づいたの? 気づかれないようにやっていたのだけど?」
「気づいたと言っても、さっきよ。デスゲーム中に気づいたの」
きっかけは第1インターバル。エイダンたちが、いないはずの私の姿を見たという主張を受けて、そしてマリーと実際に対面してようやく分かった。
エイダンたちの幻覚としか思っていなかったが、彼らの主張が事実であったとしたら、なりすましがあり、その犯人はマリーだとこれまでの彼女の行いから判断した。
「あなたが私に呪いをかけていたから、なりすますとしたら、あなただろうと思ったのよ」
「………………」
「あなたが私にかけた呪いは、3か月前に気づいたわ」
そう。
私はマリーから呪いをかけられていた。
気づいたのはデスゲームが始まる前、前世を思い出してから3ヶ月経った頃。全員から嫌われる呪いをかけられているのだと、状況から悟った。
だが、誰が呪いをかけてきたのか不明。最初こそ見当もつかなかったが、魔法で術者を特定し、マリー・ビンガムが私を陥れるためにかけた、と分かった。
「でも、呪いは自力で解いたのよ。でもね――――」
マリーが私が嫌いになる呪いをかけたから、みんなが冷たくするのだと思っていた………でも、どうやらそれだけじゃなかった。
私はマリーに近づき、耳元に口を近づける。
「――――」
「…………!!」
そして、彼女に真実を告げる。その瞬間、マリーのオレンジの目がカッと見開いた。
「……………ああ、そうだったの…………アハハ……アハハッ!」
彼女は笑いだしていた。
足を切られて痛いだろうに、爆笑。
お腹を抱えて笑っていた。
「アハハ! あんたって人はほんとに――――ね!」
「ええ、そうね。私はそういう運命なのかも」
珍しく私はマリーに同意。
否定するなんてできない。
彼女の言っていることは真実だもの。
「アハハ………ざまぁないわ…………」
笑いがつき、肩に入っていた力も消え、顔を俯けるマリー。死が近づいているのだろう、彼女の声は弱々しくなっていく。そよ風よりも小さくなっていた。
「さようなら、アドヴィナ。地獄で待ってるから………ぜひ来てちょうだい………」
悟ったのだろう――――マリーは最期の挨拶をする。
「残念な人ね…………」
膨張していく貪欲さ、笑顔の裏に隠す企み。
マリーは不思議と嫌いにはなれなかった。
私を陥れた張本人だし、うざかったとしても。
現実を誰よりも見て、その上で自分を偽り、努力し準備し、自分の望む物を手に入れようとしていた。相手のことを理解しようとせずに、正論だけ言ってくるハンナよりかは何倍もいい。
私にさえ刃を向けなければ、生かしてあげたかもしれない。
「もしかしたら、友人になれたのかもね……」
私の呟きに、マリーはそっと目を閉じ笑った。
「冗談を……」
そうして、マリーの息が消えた直後、静かな花畑にビィ――――とサイレンが鳴り響く。私の体がキラキラと輝き始め、次の休憩所へ向かう準備が始まる。
「さようなら、マリー」
笑顔のまま息絶えた彼女に別れを告げ、私はそっと目を閉じた。
――――――
第2ラウンド終了です。1話インターバルを挟み、第3ラウンド開始となります。
明日は2話更新します。第35話は明日10時頃更新いたします。よろしくお願いいたします。
マリーの声で一斉に動き出した4人のイケメンども。永遠の忠誠を誓った騎士のように、マリーの命令通りに私に襲いかかる。
黒髪男は身長よりもずっと長い槍、メガネ男はぺチンと鳴らすムチ、金髪褐色男は鎚矛、ショタ男は2個の鉄球を鎖でつないだ棍棒。
4人は同時に襲いかかってくるが、イタチのように軽やかに左右に避け、飛んで回避。彼らは無言のままで、私を倒すことに全力集中。代わる代わる攻撃を仕掛け、マリーがいるベッド以外は荒れ果てていく。
……………なぜ?
なぜ世界掌握を駆使せず、戦ってこないのかしら?
その疑問を抱きマリーを注視しつつ、1人目、2人目と順に私の相棒日本刀で薙ぎ、男たちを倒していく。そこまで強くなかった。
「イッショニ、アソボ?」
倒して一段落した肩を落とした瞬間、聞こえてきた機械的な声。下に視線を落とすと、私の足に多数の人形が抱き着いていた。
ただのお飾りにしか思っていなかった人形。動きと声は不気味ではあったが、あまりの可愛さにモフモフしたいという欲求がよぎる。
「アソボ!」
刹那、人形の目が不気味に赤く光った。
あ、やば――――――。
ドガッ――――――ンっ!!
鼓膜が裂けそうなほどの爆音が響き――大爆発。体は吹き飛ばされ、壊れた壁から転落。幸い意識は飛ばず、石畳の地面へ華麗に着地できた。
「はぁ、はぁ、はぁ……やってくれるわね………」
「アハハッ!! どう!? 私の人形ちゃんたちはッ!? どう!? 苦しい!?」
壊れた壁から見下ろすマリーは私を見下して狂ったように笑う。彼女の笑みとともに、その建物の全景を目にした。
………………なるほど、ここお城だったのね。
女児の心をくすぐる可愛さがふんだんにつまったピンクのお城。どこもかしこも♡だらけで、桃色だらけ。あまりの甘さに吐気がしそうになるぐらい、乙女な城だった。
ピンクの部屋という強烈メルヘンチックさにやられていたが、マリーはお城を作り、そこに自分好みの部屋を作っていた。
マリーの頭の中って、こんなに可愛いで溢れていたの…………女子らしいわね。
私を追いかけて、空から次々と降ってくる人形たち。モフモフの可愛い人形たち。敵でなければ、全部受け止めてぎゅっと抱きしめていただろう。
「でも、全部爆弾だものね!!」
正直あんなに可愛い人形が爆散していくのは心苦しい。可愛いと狂気が混在しているマリーにはふさわしい武器だった。
『世界掌握』があるから、人形の無限製造ができている。マリーの本当の武器は、今手に持っている大鎌。本来可愛いらしいマリーには死神が持っていそうな大鎌はアンバランス。だが、今は狂気さもあって、本物の死神のようにも見えた。
いいわね。その武器を使ってくれたら、尚更楽しめそうだけど――――。
バンバンッと連続して爆発する人形たち。地面に顔がついてしまいそうなぐらい、低姿勢で私は城の庭を抜け、塀を超え、街へと出る。人形たちも、私の後を追って来ていた。
そうして、道路を突っ走り、着いた広場。王城にいたマリーだが、私よりも一足先にそこに到着し、ハートの噴水の前で待ってくれていた。自分の世界だから、どこでも瞬間移動し放題なのだろう。
「アドヴィナ!! 私の手で殺してあげるわッ!!」
興奮でガンギマリなマリーは大鎌を振り、空気を切る。彼女と私に距離はあった。普通なら鎌を振った所でかすりもしないほど遠かった。
「っ!!」
しかし、彼女の攻撃は当たり、腕に切り傷が入る。斬撃が飛んできていた。
「アハハッ!! バカね!! 私の攻撃って必中になってるのよ!! 逃げたって意味ないのよ!!」
「言われなくたって知ってるわよ!!」
彼女の言う通り、世界掌握では術者の必中。避けたと思っても、必ず当たる。距離があろうがなかろうが関係ない。
「でも、あなただけが魔法薬を飲んでいないとは限らないわよね――――?」
ここにくる前のこと。あの全裸会長と戦ったあの場所には多数の魔法薬があった。
「あ――――」
そう――――そこにあったマリーと同じ魔法薬を私は飲んでいた。
マリーが小さく単音を発した瞬間、世界はまた一転。空は澄み切った青が広がり、丘には色とりどりの花々が輝かしく咲き誇っていた。遠くにそびえたつのは、ノイシュバンシュタイン城やユッセ城に似た可愛らしいお城が見える。
『世界掌握』は通常術者の魔力量の差でどちらが展開されるのかが決まるが――――魔法薬の場合、展開タイミングがいつかで決まる。マリーの魔法薬はもうそろそろ効力が切れる頃。だから、私の『世界掌握』が展開されていた。
「ねぇ、一つ聞いてもいいかしら」
「…………」
「あなたが私になりすましていたの? なりすまして、ハンナに嫌がらせをしていたの?」
私が『世界掌握』を展開した瞬間、放った一瞬の攻撃。日本刀の斬撃は、マリーの足を一刀両断。断片から血が噴き出し、マリーは花畑の中でしゃがみ込む。
そして、私の問いに、ニコリを微笑んだ。
「そうよ。私よ、全部わ・た・し♡」
だけど、彼女に苦しむ反応はなかった。変わらず笑顔を浮かべて、地面に座りこんでいた。
「公爵令嬢が落ちていくところを見たかったの。私の邪魔をする者は全員排除したかったの」
何もない空に手を伸ばし、静かに語るマリー。そこに風が吹き、亜麻色の髪をなびかせる。夕日のようなオレンジの瞳には、彼女の夢が映っていた。
「王妃の席も私、みんなの中心に立つのも私、全部全部私のものになったの。なったはずだったの――……」
所詮夢は夢。幻想でしかない。だけど、彼女は本当に夢を現実にしようとした。己の手で自分の願いを叶えようとしていた。
「ハンナも手にかけるつもりだったのね」
「ええ。だって、邪魔だもの。一番の邪魔者だわ」
乙女ゲームにおいては主人公の支援キャラ。転生してから彼女たちを見かけることがあったが、親友のようだった。
なのに、親友が裏切る予定だったとは………あーあ、ハンナは本当に友人だと思っていたでしょうに……かわいそうな子。
「なりすましにいつ気づいたの? 気づかれないようにやっていたのだけど?」
「気づいたと言っても、さっきよ。デスゲーム中に気づいたの」
きっかけは第1インターバル。エイダンたちが、いないはずの私の姿を見たという主張を受けて、そしてマリーと実際に対面してようやく分かった。
エイダンたちの幻覚としか思っていなかったが、彼らの主張が事実であったとしたら、なりすましがあり、その犯人はマリーだとこれまでの彼女の行いから判断した。
「あなたが私に呪いをかけていたから、なりすますとしたら、あなただろうと思ったのよ」
「………………」
「あなたが私にかけた呪いは、3か月前に気づいたわ」
そう。
私はマリーから呪いをかけられていた。
気づいたのはデスゲームが始まる前、前世を思い出してから3ヶ月経った頃。全員から嫌われる呪いをかけられているのだと、状況から悟った。
だが、誰が呪いをかけてきたのか不明。最初こそ見当もつかなかったが、魔法で術者を特定し、マリー・ビンガムが私を陥れるためにかけた、と分かった。
「でも、呪いは自力で解いたのよ。でもね――――」
マリーが私が嫌いになる呪いをかけたから、みんなが冷たくするのだと思っていた………でも、どうやらそれだけじゃなかった。
私はマリーに近づき、耳元に口を近づける。
「――――」
「…………!!」
そして、彼女に真実を告げる。その瞬間、マリーのオレンジの目がカッと見開いた。
「……………ああ、そうだったの…………アハハ……アハハッ!」
彼女は笑いだしていた。
足を切られて痛いだろうに、爆笑。
お腹を抱えて笑っていた。
「アハハ! あんたって人はほんとに――――ね!」
「ええ、そうね。私はそういう運命なのかも」
珍しく私はマリーに同意。
否定するなんてできない。
彼女の言っていることは真実だもの。
「アハハ………ざまぁないわ…………」
笑いがつき、肩に入っていた力も消え、顔を俯けるマリー。死が近づいているのだろう、彼女の声は弱々しくなっていく。そよ風よりも小さくなっていた。
「さようなら、アドヴィナ。地獄で待ってるから………ぜひ来てちょうだい………」
悟ったのだろう――――マリーは最期の挨拶をする。
「残念な人ね…………」
膨張していく貪欲さ、笑顔の裏に隠す企み。
マリーは不思議と嫌いにはなれなかった。
私を陥れた張本人だし、うざかったとしても。
現実を誰よりも見て、その上で自分を偽り、努力し準備し、自分の望む物を手に入れようとしていた。相手のことを理解しようとせずに、正論だけ言ってくるハンナよりかは何倍もいい。
私にさえ刃を向けなければ、生かしてあげたかもしれない。
「もしかしたら、友人になれたのかもね……」
私の呟きに、マリーはそっと目を閉じ笑った。
「冗談を……」
そうして、マリーの息が消えた直後、静かな花畑にビィ――――とサイレンが鳴り響く。私の体がキラキラと輝き始め、次の休憩所へ向かう準備が始まる。
「さようなら、マリー」
笑顔のまま息絶えた彼女に別れを告げ、私はそっと目を閉じた。
――――――
第2ラウンド終了です。1話インターバルを挟み、第3ラウンド開始となります。
明日は2話更新します。第35話は明日10時頃更新いたします。よろしくお願いいたします。
0
お気に入りに追加
225
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。
悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい
斯波
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。
※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。
※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。
元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
転生したら大好きな乙女ゲームの世界だったけど私は妹ポジでしたので、元気に小姑ムーブを繰り広げます!
つなかん
ファンタジー
なんちゃってヴィクトリア王朝を舞台にした乙女ゲーム、『ネバーランドの花束』の世界に転生!? しかし、そのポジションはヒロインではなく少ししか出番のない元婚約者の妹! これはNTRどころの騒ぎではないんだが!
第一章で殺されるはずの推しを救済してしまったことで、原作の乙女ゲーム展開はまったくなくなってしまい――。
***
黒髪で、魔法を使うことができる唯一の家系、ブラッドリー家。その能力を公共事業に生かし、莫大な富と権力を持っていた。一方、遺伝によってのみ継承する魔力を独占するため、下の兄弟たちは成長速度に制限を加えられる負の側面もあった。陰謀渦巻くパラレル展開へ。
しっかり者のエルフ妻と行く、三十路半オッサン勇者の成り上がり冒険記
スィグトーネ
ファンタジー
ワンルームの安アパートに住み、非正規で給料は少なく、彼女いない歴35年=実年齢。
そんな負け組を絵にかいたような青年【海渡麒喜(かいときき)】は、仕事を終えてぐっすりと眠っていた。
まどろみの中を意識が彷徨うなか、女性の声が聞こえてくる。
全身からは、滝のような汗が流れていたが、彼はまだ自分の身に起こっている危機を知らない。
間もなく彼は金縛りに遭うと……その後の人生を大きく変えようとしていた。
※この物語の挿絵は【AIイラスト】さんで作成したモノを使っています
※この物語は、暴力的・性的な表現が含まれています。特に外出先等でご覧になる場合は、ご注意頂きますようお願い致します。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
『魔王討伐クエスト』で役に立たないからと勇者パーティーに追い出された回復師は新たな仲間と無双する〜PK集団が英雄になるって、マジですか!?〜
あーもんど
ファンタジー
1プレイヤーとして、普通にVRMMOを楽しんでいたラミエル。
魔王討伐を目標に掲げ、日々仲間たちと頑張ってきた訳だが、突然パーティー追放を言い渡される。
当然ラミエルは反発するものの、リーダーの勇者カインによって半ば強制的に追い出されてしまった。
────お前はもう要らないんだよ!と。
ラミエルは失意のドン底に落ち、現状を嘆くが……『虐殺の紅月』というパーティーに勧誘されて?
最初こそ、PK集団として有名だった『虐殺の紅月』を警戒するものの、あっという間に打ち解けた。
そんなある日、謎のハッカー集団『箱庭』によりゲーム世界に閉じ込められて!?
ゲーム世界での死が、現実世界での死に直結するデスゲームを強いられた!
大混乱に陥るものの、ラミエルは仲間達と共にゲーム攻略へ挑む!
だが、PK集団ということで周りに罵られたり、元パーティーメンバーと一悶着あったり、勇者カインに『戻ってこい!』と言われたり……で、大忙し!
果たして、ラミエルは無事現実へ戻れるのか!?
そして、PK集団は皆の英雄になれるのか!?
最低で最高のPK集団が送る、ゲーム攻略奮闘記!ここに爆誕!
※小説家になろう様にも掲載中
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる