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天使編

神殿での出来事。8

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「... で、結局特典って何ですか?」

ド直球に聞いた。

途端に顔色を悪くしてコソコソ話し出す監督官の方々。... もしや、考えてなかったな?

あの後──つまり、私が自己犠牲の精神のもと立候補して騒ぎになった後──、主に監督官たちの会議室として使われている [第4の間] に連行された。

「おい、まさか考えてなかったとか言うんじゃねーだろーな?いくらなんでも無責任すぎるぞ!」
「今回の件、少し強引すぎるきらいがあった様に思うんですけど、これって職務放棄に近いんじゃないでしょうか?いえ、僕はただ毎度のことながら自滅したトーム... 天使番号4444のことを心配してるんですよ、ええ、それだけですよ」

「そ、それは... 」
「うむ... 」
「ごほっごほっ!」

「... はぁ」

何故か、こいつらも着いてきたんだが。何だ、意外とミーハーなのか?

バシッ

ええぇ... 奴等と目が合う度に何かしらの電波を送ってくるんだが、私がすべてを理解できるはずもなく、取り敢えず存在感を薄めている。


そんなざわめきの中で、一つの咳払いが聞こえた。

「さて、そろそろ本題に移ろうと思うが、宜しいか?」

この会議室の中で一番偉い監督官、マーシンさんだ。

マーシンさんはその存在感の高さと筋肉質な体に似合わぬ冷静沈着さで噂される方だ。

もちろん、私自身も尊敬している。

特に天使の必須科目である、『徳』の授業では、彼のヒトの善悪についての話に深く感動させられ、また己の未熟さに恥じ入るばかりだった。

そんな彼の隣には、会場でマイク片手に堂々と『自己犠牲を発揮して∼』等と言い放ったハジスさんが鎮座していて、周囲の不甲斐なさに眉の皺が史上最高の彫りの深さを発揮していた。

おまけにそこそこ太い両腕を組んでいるので、どこのヤの付く職場の方からいらっしゃったかと聞きたくなるレベルだ。

因みに、一番に私や不良たちの話に耳を傾けてくれたヤムさんは外で待機している。

彼はどちらかというと天使たちの健康管理を担う、救護係としての仕事がメインなため、この話し合いには参加できないらしい。

ただ、最初にハジスさんを通して上位の監督官たちに話をぶり返した責任を感じてか、はたまた私を心配してかは知らないが、片が付くまで待ってくれるという。

本当に、泣きたくなるほど良い人だよね、何でまだ彼女出来ないんだろ?

──もしかして、持ち前の優しさでイイ人止まりだったりして... あはは。


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