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20.後始末
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ソフィアとリシャール家への罰が下されたら、あとは流れに任せるだけだ。
俺はエレノアを抱き締めてからエルメーテに託し、マリーの元へ向かう。が、その前にルカに呼び止められてしまった。
「どこに行く?」
「マリーのところだ。俺のために怖い目に遭ったからな。フォローに行ってくる」
「行く必要はない。俺のものだと自覚を持て。これからは全てに対して俺の許可を取れ」
ルカは冷たく俺を見下ろす。冗談を言っているようには見えない。
俺はここで言い争うつもりはなかったため、言われた通りルカに寄り掛かり笑顔を見せる。
「ルカ、夜までには帰るから、今日一日好きにさせてくれ」
「ダメだ」
だが、ルカも良い笑顔で拒絶の言葉を吐いた。なるほど、許可取りは楽ではないらしい。
「後始末は俺がやる。もうお前にやることはないだろ。大人しく別邸に帰れ」
確かにやらなければならないことはない。
「少しくら、っゔ、ぐ」
途中、声が出なくなった。原因は首輪だ。ルカが首輪の形を変えて首を絞めてきたのである。
俺は呼吸がままならなくなり、ルカへと倒れ込む。
「アリーチェ、今すぐ帰るな?」
こんなところで意識を手放している暇もない。俺はルカに縋りながら頷いた。すると絞める力が緩む。
「お前がしたいことは終わっただろ?」
声が出ず頷くしか出来ない。
「じゃあ、お前が今から何をするか分かるな?」
「……別邸に戻って、お前を待ってるよ」
ルカは満足気に微笑む。その顔が憎たらしくて、俺は喉の調子を整えてから言葉を続けた。
「だから俺の代わりにマリーのフォローをしてくれ。俺と彼女の名誉が傷付かないように上手くな。あとソフィアには誰も近付けさせるなよ。皇太子殿下もだ。エレノアには婚約破棄してもしなくても好きなようにして良いと言っておいて。新聞社に記事を送るのも忘れるなよ。原稿はすでに作ってあるからエルメーテに聞け。あと俺を買った商団が今夜帝国を去るから見届けてくれ」
「……良いだろう。全て上手くやっておいてやる。だからお前は体を綺麗にして待っていろ」
俺はエレノアを抱き締めてからエルメーテに託し、マリーの元へ向かう。が、その前にルカに呼び止められてしまった。
「どこに行く?」
「マリーのところだ。俺のために怖い目に遭ったからな。フォローに行ってくる」
「行く必要はない。俺のものだと自覚を持て。これからは全てに対して俺の許可を取れ」
ルカは冷たく俺を見下ろす。冗談を言っているようには見えない。
俺はここで言い争うつもりはなかったため、言われた通りルカに寄り掛かり笑顔を見せる。
「ルカ、夜までには帰るから、今日一日好きにさせてくれ」
「ダメだ」
だが、ルカも良い笑顔で拒絶の言葉を吐いた。なるほど、許可取りは楽ではないらしい。
「後始末は俺がやる。もうお前にやることはないだろ。大人しく別邸に帰れ」
確かにやらなければならないことはない。
「少しくら、っゔ、ぐ」
途中、声が出なくなった。原因は首輪だ。ルカが首輪の形を変えて首を絞めてきたのである。
俺は呼吸がままならなくなり、ルカへと倒れ込む。
「アリーチェ、今すぐ帰るな?」
こんなところで意識を手放している暇もない。俺はルカに縋りながら頷いた。すると絞める力が緩む。
「お前がしたいことは終わっただろ?」
声が出ず頷くしか出来ない。
「じゃあ、お前が今から何をするか分かるな?」
「……別邸に戻って、お前を待ってるよ」
ルカは満足気に微笑む。その顔が憎たらしくて、俺は喉の調子を整えてから言葉を続けた。
「だから俺の代わりにマリーのフォローをしてくれ。俺と彼女の名誉が傷付かないように上手くな。あとソフィアには誰も近付けさせるなよ。皇太子殿下もだ。エレノアには婚約破棄してもしなくても好きなようにして良いと言っておいて。新聞社に記事を送るのも忘れるなよ。原稿はすでに作ってあるからエルメーテに聞け。あと俺を買った商団が今夜帝国を去るから見届けてくれ」
「……良いだろう。全て上手くやっておいてやる。だからお前は体を綺麗にして待っていろ」
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