妹×僕・かいぎ

十四年生

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『悪魔の仕業』について

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 妹が倒れた……。

 あり得ぬ! 何をしているんだ神は! 

 我が愛すべき妹を守らないで他の誰を守るというのだ。全く許し難し!

 全く僕のホントの力を出せれば、神なぞ一握りだというのに……。

 はぁはぁ……あぁイケナイイケナイ、もう卒業したんだった。



 今、妹は苦しそうにしながら布団で寝ている。寝がえりの一つも打たずに、おでこには冷え〇タをつけ、

 頭の後ろにはアイ〇ノンが置かれている。



 そして、妹の部屋には僕は入れない。面会謝絶だというのだ……。ナンタルチーアだよ本当。

 一回忍び込もうとしたら大地母神に見つかり、説教された。そしておとなしくしてろと言われて引きずり出された。高一の僕を力づくで外へ出す、大地母神のパワーはいまだ健在だ、恐るべし。

 しかし僕は聞いたのだ、あの辛い中、僕を見て妹が苦しそうに言った言葉を。



「兄……インフルエンザは悪魔の仕業です…かいぎ……を」



 そう確かに言ったのだ。『かいぎを……』と……。



 あぁ、今日も妹の会議が始まるようだ。

 妹曰く、世界の真実を知る会議が……。

 妹不在だけどな…。



 妹は今不参加、参加できないのであるのであれば、ここはあいつの出番だな。

 そして僕はを召喚した。



 ※



「……で? 妹ちゃんが倒れていて心配で仕方なく、その原因の対処法も含めて検討してほしいと??」

「お、おう……」

「んで?……私を呼んだと??」

 来たのは、幼馴染。



 こいつとは小学生以来からの付き合いで、なんだったら厨二病仲間でもある。あとこいつは女子でもある。子供の頃は全く気がつかなかったんだけどね。男の子だと思って接していたら、正体がわかってこっちはびっくりさ。しかも、そう言ったら本気で殴ってくるんだから本当困った奴だよ。



「はぁ……。んで、かいぎするの? しないの?」

「するよ! するさ、しないわけがない(キリッ)」

 僕の決意を聞くと幼馴染は、呆れた風な顔をして、深いため息をつくと、かいぎを始めた。



「で? インフルなんだっけ?」

「そう、悪魔の仕業と言われているインフルエンザだよ。妹はインフルエンザなんだよ(バンッ)」



 インフルエンザ、これにはA,B、Cの3種類がある。Aは最も激しく高熱なども出て、兎に角しんどい。Bはおなかに来る奴で下ったりする。最後のCはほとんどの人が免疫を持っていて、なったことも気づかないらしい。



 インフルの有名どころだと、スペイン風邪と言われるものが結構有名らしい。大正七年~八年の間に流行って、死者五千万人~一億人と言われている最強の奴だったとか。それでこいつはA型だったらしい。今は流石にそこまでにはならないのだけど、もちろん油断はできない。そして妹もA型のだ。



 治療法は『ノイラミニダーゼ阻害薬』の服用になるんだけど、有名どころは『タミフル』らしい。なんか飲むと幻覚がぁ~とか言われていたけど、妹は少なくとも、空を飛んでいないので大丈夫だと思う。



「本当、あんた相変わらず、どうでも良いことはよく知っているわよねぇ……」

「よくはないよ? すごく大事なことだと思うよ今は」

「はいはい……」



 ちなみに、タミフルだけど、奴ら(インフル)がこれに対応してきちゃったらしく、最近は、リレンザ、ラピアクタ、イナビルといったものが出てきているらしい。



「ラピアクタは本当にあったんだ!!」

「はいはい……それで、結果的には悪魔じゃないのね?」

 ち、ロマンとジョークのわからぬ奴だ……。



「ち、かつては救世を共に誓った仲だというのに。しかも互いに手の甲に星を描いて合わせたりもしたというのに……」

「わわわわ……、ば……ばっかじゃない! 本当もう!」

 顔を真っ赤にして怒る幼馴染。

「ははは、憂い奴め」

「うるさい! んで?! どのくらい安静にしてないとだめなのよ?」



 発症後5日間、解熱後2日間。五日は絶対ダメで、四日目とかに解熱した場合、そこからさらに二日はだめってことらしいよ。



「ふ~ん、大変ね、あんたも。あれよ、気を、付けないさいよね! 倒れたって私、看病とかしに来ないからね? わかった!?」

「くぅ、薄情な奴め……」



「ふん!絶対来ないからね? なんか色々わかったわ。あ、そうそう、予防、予防はどうするの?」

「あぁ、それは、よく食べよく休む。適度な温度と湿度(50~60%)。手洗いうがい、人込みを避けマスクをする。それと、予防注射ね。それでかかるときはかかるけど、リスクは下げたほうがいいよね? 色々巷では言われているけどするのとしないのでは大きな違いだよ?」

「そ、そうね……」



 っというわけだから、幼馴染も気をつけろよ? 僕は誰かと違って、優しいから看病に行くかもしれないけどねw」

「え?……」

「ん?」

「なんでもありません!! じゃあ妹ちゃん、お・だ・い・じ・にね! もう帰る! これでかいぎはおしまい! じゃね!」

 良く怒る奴だなぁ……。そういって幼馴染は帰っていった。



 このお話は、どこにでもいる家族、どこにでもいる兄妹のお話し。

 ただ、少しだけ違うのは、この妹は、小学一年生にして既に厨二病だということ……だったのです。

 そうこれは、どこにでもありそうでない、妹と僕の世界の真実の会議のお話し……あ、今日は幼馴染との……なのです。



 ※



 妹はその後、数日たって完全回復をした。



 かいぎのことを話そうとしたが、それは記憶になかったといっていたので、話さないでおいた。

 今、妹はパジャマ姿のまま、こたつに入ってテレビを見て足をバタバタとさせては僕にぶつけている。



「元気になったようでよかったよ~」

「ん、元気回復、完全回復した。今ならたぶんベヒモスだって我が大魔術にて一撃。ところで、兄?」

「ははは、妹は元気だな…、ん? どうしたんだマイスィート妹よ」

「さっき、兄の部屋に入った時、よからぬものの気配を感じた。あれはなに?」

「え? よからぬもの? あぁ……幼馴染が来てたけど?」

「ん!?……、あのめすぶ……」



 妹が何か小さい声で言っていたけど、足のバタバタが強くなっていてそれどころじゃなかった。こうして僕の妹はまた可愛さを増し、見事な完全復活を遂げたのであった。



『看病……きてくれるだって……』

「くっ……不覚……」
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