呟きの箱

心の中のフォトグラフ

心の中のフォトグラフ

白い花園のうえで
今は少女は眠り
うなされ続ける悪夢に
頬をぬらす
神様のくれた突然の不幸
ありがたくもない
贈り物を押し付け渡された

同じ年の子は恋に人生に花を咲かせ
あのこはいつも狭いベッドのうえで
小さな世界
広がって見えるのは窓枠の向こう
季節は切り取られた
一枚のフォトグラフ

この窓の向こうへといつかいくんだと
笑って力瘤をつくりながら
小さな体で弾き鳴らすギター
無我夢中で痛みも忘れて音は窓の外

狭い世界を広げていく
かき鳴らすギターの本音が
聞こえてきた耳の中で
木霊してはしめつける

白い花園のうえで
今は少女は眠り
ひと時続く幸福に
頬をぬらす
みんなのくれた突然の幸せ
惜しみない拍手と
笑顔をそえて渡された

広がって見えるのは想いの向こう
願いは切り取られた
心の中のフォトグラフ