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第一章 枯れそうな花

第四話 東へ

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 東へと言われても困る。なぜ困るのかといえば東がわからない。目印もない荒野をどうやって東へ行けと言うのだろうか。脳内に響いた『東へ……』は助かるのだが、何も目印がない……だから困っている。

「今はいったい何時なのだろう」

 せめて時間がわかれば太陽の位置でなんとなくならわかる。うん、そんな気がする。だからどうだと言われても困るのだが、止まっているわけにもいかないので、今は勘で進んでいる。勘で進んでいると、脳内に語り掛けてくれる心の声(ややこしい)が語りかけてきてくれた。

『そっちじゃない』
『そっち』

 なんだろう、急になかなかの自己主張っぷりだな。だがその主張に心から感謝するする。いやーもうなんっていうか全部教えてくれても良いのにと思うが、そんなことを思いだしたら、なんだかストライキを始るのではと怖くなったので、そこは優し目に優しめにいく。そう、ほめて伸ばす子を扱うみたいに丁寧に頑張ることにする。

 暫く歩くと建物が見えてきた。何の建物だろうか? 一瞬目を疑ったがそれはコンビニだった。幸いなことに機能の生きている状態で残って売れていたようだ。商品補充とかだれかやってるのかな?そんなどうでも良いことを考えながら中へと入っていく。

 店内に人の入ったことを知らせるチャイムが鳴る。一瞬構えてみたがやはり誰も出てこない。やはり世界というか人類は、滅びちゃっているんだろうか。思ったよりもしっかりとしていてしかも残っている。

「水……水……あ、あった」

 二リットルのペットボトルものを3本。それとなんか適当にライターと、アルミホイル系でできている鍋焼きうどんみたいなもの(インスタント)、みんな大好きレトルトカレー、あと何故か置いてあった、防災系の道具も持ってレジへと行く、だいぶ重いな。

 代金は払うべきだろうか……ポケットを漁るが、札はおろかコインもない、あ、財布……ないわぁ……。
 まぁしかたない滅びた世界だし、取り立てもなければ、そもそも貨幣の意味などもうないだろう。とりあえずは良しとすることにした。それよりもこれを運ぶとなるとなかなかに、骨が折れるなぁ。

「これ持っていくの大変だなぁ」

 何とかいい方法はと、バックヤードの方を見たらなんと台車があった。よし、お借りしよう! 返すのはいつになるかわからないけどね。コンビニにあるカゴを数点を更にのせ、ついでに衣料品だのも入れてみる。台車があればだいぶ楽できそうだ。

「こいつも……いやこれはダメだ。うん、ダメな気がするのせちゃダメ」

 一瞬、背中の人形も台車にと思ったのだが、何故だかそれはダメだなぁと思いやめた。さて、防災用品の中に入っていた方位磁石と心の声に従って、花のところへと急ごう。枯れちゃったら願いを叶えてあげられなくなるからね。さぁ、今行くからね何だかわからない花。とにかく枯れずに待っていてね。

 背中の人形が一瞬カチャッとなった気がしたけど、多分気のせいなのだろうなぁ……。

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