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第三章

ジャンヌ、その愛と欲望

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 ────男の価値とは何か。


 そう以前のジャンヌが聞かれたなら、迷うこと無く「それは強さだ」と答えただろう。

 ジャンヌは騎士としての才能に溢れるがゆえに、強さに固執し、自らの強さを基準として相対的に男を評価していたからだ。

 そのため、どれだけ見目が良い男だろうと、どれだけ財力がある男だろうと、自分より弱ければ興味を持つことすら無かった。

 しかし、今は違う。

 二度の絶望を経て、心が壊れる寸前だったジャンヌを救ったのは、強さでは無かった。

 快楽だ。
 
 快楽がバラバラになりそうだったジャンヌの心をつなぎ止め、そして新しい形につなぎ合わせた。

 その結果、ジャンヌの価値観は以前とは全く別の物に変化してしまっていた。


 ────男の価値とは何か。

 
 今のジャンヌが聞かれたならば、一切迷うこと無く「それはチ☆ポだ」と答えるだろう。

 まず重要なのは大きさと硬さだ。

 入り口から子宮までをみっちり埋め尽くす大きさと、鍛え抜かれたジャンヌの膣圧にも負けず、肉襞をごりごりと削り取るような硬さがなければならない。

 次に重要なのは持続力。

 どれだけ具合のいいチ☆ポだろうと、ジャンヌが満足する前に果ててしまっては意味が無い。
 最低でもジャンヌが五回絶頂するまでは、高速でピストンし続けられるだけの我慢強さが欲しいところだ。

 それに加え、もちろん射精力も重要だ。

 一度の射精で子宮を満たすくらい吐き出して貰わなければ、射精アクメを得ることは難しいだろう。

 そして、最後に欠かせないものがある。

 それは愛と情熱だ。

 セックスとは、ただチ☆ポを突っ込んで前後に動かせばいい、というような単純なものではない。

 どこが感じるのか、どこが弱点なのか。

 腰を振りながら女の反応を見てそれを探り、強弱をつけ、緩急をつけ、浅いところを焦らしていたかと思えばいきなり子宮まで貫いたりと、相手を絶頂に導くための工夫が必要不可欠だ。
 
 そしてそれは、自分だけが気持ちよくなることを考えていたのでは、決して出来ない行為である。

 ゆえに、愛と情熱なのだ。

 セックスをする相手に対する愛情、セックスそのものに対する情熱。

 それを持たぬ男は、例えどれだけ立派なチ☆ポをぶら下げていようとも、宝の持ち腐れに過ぎない。

 …………などと言うことを、経験人数一人のくせに、したり顔でジャンヌは語るだろう。

 それくらい、今のジャンヌの頭の中はチ☆ポで満たされ、チ☆ポに依存していた。

 今日もまた、裏街を中心に情報収集をしてきたジャンヌは、労働の対価として一発ハメて貰えないだろうか、なんてエロい期待に胸を膨らませながら、正男の部屋の扉を開いた。

 だが、そこに待ち受けていたのは、正男では無かった。
 
 いきなり飛びかかってきたポチ(エロース)によって、ジャンヌは床に押し倒されてしまったのだった。




 ◇


 何が何だか分からぬ内に、ジャンヌは拘束されていた。

 服を剥ぎ取られ、股を開いた状態でベッドに縛り付けられ、目隠しと猿ぐつわまで嵌められていた。

 しかも、犬によってだ。

 ジャンヌはこれでも王国内で上から数えた方が早いくらいの実力者なのだが、抵抗をする隙など一切なかった。

 女を縛り上げることを生業なりわいとしている者ですら、ここまで鮮やかな拘束は不可能だろう。
 まさに熟練の早業であった。

 いったい、この犬は何者なんだ……と戦慄するジャンヌだったが、股間をヌルリとしたもので撫で上げられたことで、そんな疑問を抱く余裕は消え去った。

 突然の刺激に腰がビクリと跳ね、ベッドが軋みを上げる。

 それは一度では終わらず、何度も何度も、ぬるぬるとジャンヌのマ☆コを往復した。

 ────舌だ。

 ポチ(エロース)がその大きくて長い舌で、ジャンヌのマ☆コを舐め上げているのだ。

 連続して自分の身に降りかかった異常事態に、ジャンヌは混乱するしか無い。

 だが、その混乱も長くは続かなかった。

 ポチ(エロース)のテクが、尋常では無かったからである。

「ぅぅ~……むぅぅ~……♡」

 猿ぐつわの奥から響くジャンヌの声には、すでに甘いものが混じっていた。
 
 ポチ(エロース)の舌がねっとりと、ちろちろと、ぬぷぬぷとジャンヌのマ☆コをねぶるたび、ジャンヌの理性は遠ざかり、絶頂に向けて押し上げられていく。
 
 そして、あと一歩でイクという、その直前にまで到達した時……

「……ぅぅっ?」

 ポチ(エロース)の舌が、ピタリと動きを止めた。

「ふぅ~っ♡ むふぅ~♡」

 なんとか最後の一歩を踏み越えようと、ジャンヌは鼻息を荒くしながら腰をへこへこと上下に動かす。



 だが、手足を拘束された状態では、マ☆コに刺激を与えることなどできるはずもない。

 ゆっくりと、昇り詰めていた絶頂感は冷めていき、そのなんとも言えないもどかしさにジャンヌが体をよじっていた、その時。

 ────ねろり

「んんっ!?♡ んふぅ~っ!♡」

 また、ポチ(エロース)の舌が、動きを再開した。

 しかも、今度その舌が舐め上げたのは、マ☆コでは無くアナルだった。

「ふぅ~っ!♡ ふっ、ふっ!♡ んん~っ!♡」

 ジリジリと身を炙るような物足りない快感に、ジャンヌの体がベッドの上を跳ねる。

 イキたい。

 あとほんの少し強く刺激してくれるだけでイケるのに、イカせてくれない。

 懇願するように股間を押しつけるも、絶妙なタイミングで逃げられてしまう。

 頭がおかしくなりそうだった。

 気が狂いそうだった。


 ────そんな状態が、いったいどれだけ続いたのだろうか。


 息も絶え絶えになっていたジャンヌの耳に、扉の開く音が届いた。

 それと同時に、床を軋ませる足音も。

 ジャンヌにとってその音は、囚われの姫を救いに来てくれた、勇者の足音に他ならなかった。
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